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ありし夢の空ver2  作者: きゃっくん【小奏潤】
第2章~デート~
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第9話~デート4~

 餃子定食、けっこう大盛りチャーハンを2人で食べた後、ふと、オレは提案をした。もちろん、Togetherに店員さんに言われたように写真と『さんくゆー』の3階のフードコートで食べる! と書き込んだ。


「あっ!! そうだ」

「どうしました?」

「確か、この辺って動物園なかった? もし、アリイちゃんが良かったら行こうよ!!」

「蒼空先輩!! ナイスアイデア!! ……? 待ってください、それってつまり、これは……デートになるんじゃないんですか?」

「オレに下心というか、恋心はないけど、世間一般的に考えると、そうな……る」


 確かに、男女が2人で動物園ってデート(・・・)だ。そう考えると恥ずかしくなった。さっきから何度も同じことを考えているけども。


「まぁ、デートでもなんでもいいや、動物園行きましょ!!」


 『さんくゆー』を出た。そのまま動物園へと向かった動物園へは徒歩で10分も掛からなかった。なんだよ、大阪市内。十分都会じゃないか。ショッピングモール(さんくゆー)もあれば。動物園もあるって。


「なぁ、アリイちゃん、なんでここが田舎なんだ? 『さんくゆー』みたいな商業施設もあれば、動物園もある。十分都会じゃない?」

「その全部あるのが、田舎なんですよ」


 動物園に着いて、チケットを買った。オレはカピバラのイラストが描いたチケットで、アリイちゃんはゴリラのイラストだった。というか、学割効いてる関係あっても500円は安いな。


「スタッフー!! それは逆ですよ!!」

「ん? チケット交換する? どうせ、家に帰ったら、Togetherに『動物園行ってきた』って呟くために写真撮るくらいだし」

「それは嫌です!! このチケットに出会えたのも運命ですから」


 なんと言うのか、アリイちゃんって妙なところでロマンチストだよなぁ。そう言うつもりだったが、またなんか怒られそうだから辞めておいた。


 レッサーパンダやマレーグマのクマ系統が思ったよりも可愛くて2人でじっと見ていた。


「そういえば、ここ、ゾウっていないね」

「あーそうですねぇ、確か、けっこう最近までいた気がしますけど……。あぁ、2018年に大阪で見ることのできる最後のゾウが病死したんだった」

「そのゾウもお疲れさまだったね」


 であったり、


「チンパンジーというかおサルさんも多いですよねぇ」

「そういえば、さっきのトリ舎付近のチンパンジーとこのいったいにいろいろなおサルさんがいるよなぁ。かわいいよなぁ」

「それだったら、私とこのクロシロエリマキキツネザルだったら、どっちのがかわいいですか!!」

「え……」


 思わず、考えてしまった。しかし、冷静に考えると、ここは、『アリイちゃんのがかわいい』のが正解だったのだろう。オレが発した言葉は、


「種類が違うよ」


だった。


 『わかってます!!』とアリイちゃんは明らかに怒っていた。いや、まぁ、オレも悪いけどもさ。おサルさんの一種と自分と同じ種族だけど異性を比べるのって、おサルさんに対しても、異性に対してもすごく失礼な気がする。


 アリイちゃんと動物園を楽しんだ。14時くらいに動物園に入り、閉園の17時までずっといた。すごく楽しかった。最初は動物園の独特のにおいに困惑したことは秘密だ。


 市内を後にした。帰りのメトロでアリイちゃんはぐっすり寝ていた。女の子(アリイちゃん)の寝顔をマジマジと見つめて、思ったのだが、アリイちゃんってかなり可愛い部類に入るのでは? これも何度も考えているか。最寄り駅に着いた。


「すいません、メトロで寝ちゃいました」

「終着駅が最寄り駅でよかったよ」

「えーっと、この後は、お別れですね」

「いや、バスで栄えてる方の駅まで行かないと」

「あーそっか、こっちはメトロだったなぁ」


 バス停で次のバスを待つことになった。土曜日の18時過ぎ。メトロの駅の階段から降りているときに18時10分発予定のバスが出ていくのが見えた。予定通り来ても次来るのは、20分後だ。……、ここは思っていた以上に田舎かもしれない。メトロや鉄道を使えば、大阪市や東大阪市に、後、奈良県にも簡単に行ける。そりゃ、まぁ、いかにも田舎!! というわけではないが、そこそこの田舎だ。


「蒼空先輩は途中でバス降ります?」

「あー、それが無難か……、いや、自転車を栄えてる方に置いてきたからなぁ。というか、駅名くらいメトロみたいに東西南北のどこかつければいいのに」

「あー、駅名は同意します。それじゃ、バスの中で渡しますね」

「ん?」


 20分後の予定だったバスが道が空いていたのだろう、15分予定よりも早く着いた。この停留所で3人が降りた。オレたちが乗った時点で、乗客はオレとアリイちゃんのみだった。一番後ろの席に座ろうと言われるかと思ったが、意外にも一番前の横で2人掛けのスペースに座った。運転手が『時間調節のため、5分ほど止まります』とアナウンスした。そのアナウンスを聞いてから、アリイちゃんはカバンから服屋の『薄緑色のパーカー』が1着だけ入った紙袋を差し出した。


「はい」

「ん?」

「いやぁ、いろいろワガママ聞いてもらったから、そのお礼というかお詫びというか……、でも、プレゼントではないです!!」

「え、いや、チョーカーもらったし、いいよ、それはアリイちゃんが着てよ」

「わたしはわたしの同じ物がありますし、気にせず、受け取ってくれないなら、わたしはここから歩いて帰ります!!」

「あ、え、じゃ、ありがとう」


 運転手さんが思わず、『ふふっ』と笑っているのが聞こえた。


「仲良いねぇ、キミたちみたいなカップルはケンカしてもなんだかんだ、うまくいきそうだねぇ」


 運転手さんがこちらを向いて声をかけてきた。ホントはこういう業務と関係ない声かけは禁止なのだろう。そして、これはドライブレコーダーに収録されている。この後、おそらく、なにかしらの処分が下されるだろう。この運転手には路線バスの運転手よりもタクシー運転手の方が向いているかもしれない。


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