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ありし夢の空ver2  作者: きゃっくん【小奏潤】
第1章~プロローグ~
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第5話~合同模擬店~

「文化祭だが、まず、残念なお知らせから、舞台発表は今年はすべて禁止だ。だから、有志のバンドとかもなしだな。面白いお知らせは、今年は大規模に模擬店をやろうという話がさっきの職員会議で決まった。例年あるものは禁止だな。するってぇと、バザー、フリマは禁止だ。今年はさらに面白いことに、1年4組と2年5組の合同模擬店だ、まぁ若者言葉を使うなら、コラボすることになった。2年生として恥じぬようにしっかり色々教えてやることだ」


 『するってぇと』? 関東圏でももうそんな江戸っ子いないぞ。ん? 1年4組? オレはぼんやりさっき、クラスを間違えた山下 美波はわざと(・・・)間違えたのでは? と勘繰ってしまった。そうでもないと、わざわざ、教室を1年と2年で間違えることがない。


「そうだ、今日から文化祭までの期間、午後の授業は文化祭の打ち合わせになるぞ。そうだ、先生たちも今年は大規模にしようと必死なんだ。もし、文化祭、特にやる気ない奴はこの期間だけ午前授業で帰っても成績に響かないからなー。やる気ない奴は帰れよ」


 先生の言葉通り、文化祭にやる気のなさそうな生徒は午前で帰っていった。そういうところはマジメなんだな。その日の午後から、文化祭の打ち合わせが始まった。1年4組の生徒がゾロゾロ2年5組の教室に集まってきた。


「あれ? デジャブ」


 山下さんが教室に来て、ボソッと言った。いや、まぁ、キミは朝、登校してすぐに教室間違えているからね。


「わっ、ヒミコ先輩に、三条先輩!!」

「アリイちゃん、いらっしゃい」

「よっ!!」


 ガヤガヤと2年5組の男子がざわついた。なにかと思えば、オレのウワサだった。


-これって修羅場じゃないか……-

-そうだよな、三条の二股かけてる相手、2人ともそろったもんな-


 朝の山下(おバカな後輩)とのやりとりを見ていた男子がボソッとオレにも聞こえるくらいの声の大きさで話していた。その辺のガヤは気にしないことにしよう。いや、でも、気になる。あれ? オレ、こんなに自分のこと話されるの、人生初だよな。ふと耳にもう1つオレのウワサが耳に入った。


-三条って誰だっけ?-

-ほら、希咲、船原、後輩の山下に3股かけてる転校生-


 これは否定しよう。3股の前に誰とも付き合っていない。というか、ふつうにヒミコさん以外は同級生や後輩の関係だ。


「男子はバカなこと言ってないで、何やるか考えろー。まぁ、考えるのは女子もだけどな」


 どんどん意見が出て、色々話し合った。オレたちの合同模擬店は、カレーということになった。それだけでは、面白みにかけると思った2年4組の誰かが出した、男女交換衣装カフェも一緒に採用となった。カレーってけっこう作るの大変じゃないか……? そもそも、男女交換衣装カフェはは、男子は女子の格好、女子は男子の格好で接客などをするということだ。さらに話し合いが進み、調理は男子、お金もしくはチケットとカレーを交換するのは女子の役目と決まった。そして、衣装交換も、実費で異性の服を買うとなった。貸し借りするのもあり、ということだ。


 では、何カレーにするか? その話し合いが始まろうとしたところで、文化祭の打ち合わせの時間が終わった。そのまま、1年4組も一緒に帰りのホームルームにいた。


 放課後になった。1年4組の生徒も2年5組の生徒も部活であったり、友だちと過ごすために帰路についたりし始めた。


「なんだかんだで楽しくなりそうだね、空くん」

「そうだよな」


「あの三条先輩……」


 山下さんが恥ずかしそうにオレに話しかけて来た。なんで、恥ずかしそうにしているんだ……?


「ん?」

「わたしと付き合ってください!!」

「は?」

「ちょっと、アリイちゃん!?」

「いや、その、結婚前提とかじゃなくて、恋愛の付き合ってじゃなくて……。男女衣装交換カレーのことで……。」


『あっ、そっちのことね』とヒミコさんはホッと胸をなで下ろしていた。しかし、どうしてクラスメイトではなくて、オレに白羽の矢がたったのかが不思議だった。


「まぁ、わかったよ」

「ありがとうございます。またWIREしますね」


 山下さんはそのまま下校した。オレも帰るか。そう思い、家に向かっていた。かなり、今年のこの高校での初めての行事の文化祭は楽しくなりそうだ、という期待を胸に膨らませていた。


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