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ありし夢の空ver2  作者: きゃっくん【小奏潤】
第1章~プロローグ~
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第4話~お似合い~

「……」

「転校せーい!!」


 転校して1週間くらい経っているのに、未だに、オレのことを『転校せーい』というのは船原さんだ。いや、まぁ、三条 蒼空だからあだ名はつけにくいのはわかる。つけるとしたら、『サン』とか『ソラ』だろう。小学生の頃は、なぜか『ジョウ』と呼ばれていた。もしかしたら、あの頃もなよなよしていたから、女の子という意味で『嬢』かもしれないと気づいたのは最近だ。いや、今も、なよなよとはしてるけども。そして、舩原さんが座っているのはオレの席だ。他の友達と話しているわけではない。そして、舩原さんは言葉を続ける。


「後輩の山下さんのブラを無理やり剥ぎ取って、自宅で洗濯した。なんて変態!! What's 変態!! 許されざる罪」

「船原さん? オレ、そんなことする様に見える?」

「ふっ、人は見かけじゃ判断しちゃいけないんだ」

「それはそうだけど、つーか、ホントにしてないし。あれは山下さんのブレザー(・・・・)の言い間違えで……」

「そうかそうか、転校せーいは、文化祭のテーマ決めた?」


 船原さんは何か納得して、いったん席を立って、オレの横の……違う、またオレの席に座った。これはこの前同様にわかりにくいボケなのか? いや、それよりも変態と思わないでくれ。ほどほどに男の子はしてるけどもさ。でも、よく考えてみると、なよなよしている人は『ブラ』を剥ぎ取るイメージはない。立ちっぱなしだったが、ちょっとだけガッツポーズしてしまった。このガッツポーズはなよなよしているイメージがないことに対してだ。


「転校せーい、なんでガッツポーズ? ん? 何かいつもより視線が右に寄ってる」

「ガッツポーズはなんでもない、視線がずれているのは、船原さんの席がそこのひとつ左だからだよ!!」

「おー後輩のブラを取った変態の転校せーいの席だったのか、ごめんごめん」

「だから、それでイジるな!! あれはブレザー(・・・・)だし」


「おはよう」


 そこに現れたのは、このブラ騒動を引き起こしたおバカな後輩(・・・・・・)と思っている山下さんだ。それに、この時間は朝のホームルームの前だ。どうして、この時間に後輩の山下さんがこの2年5組の教室に来るのだろうか? 美術部の用事だろうか? しかし、それには、あたかもクラスメートに挨拶する感覚で『おはよう』と言っていた。


「あれ? 三条先輩?? どうして、1年4組にいるんですか? はっ、わたしに会いに来てくれたんですか? やだなぁ、美波照れちゃう」

「いや、待て、冷静に外のクラスプレートを見て。転校生のオレでもわかるくらいはっきりと2年5組と書いているぞ」

「えー、そんなことないですよ」


まさか、オレが間違えているのか!? そう思って、外のクラスプレートを見に行った。外のクラスプレートに書かれていたのは、『2年5組』だ。


「よーくみろ、『2年5組』だ。おバカ」

「バカとはなんですか!!」


「おいーっす、空くん」

「ヒミコさん!! このおバカな……」

「あれ? アリイちゃんじゃん。どうしたの?」


 そこに来たのはノリのいい女子のクラスメイトのヒミコさんだ。え、待って。『アリイちゃん』? ヒミコさんと山下さん(おバカな後輩)は知り合いなの? そういえば、親しげに話しているのを何度か見たことがある。


「ヒミコさん!! それがですね、この三条先輩がここを2年5組だって言うんです。ここ、1年4組ですよね?」

「ん?」

「あははっ。アリイちゃん、1年はもう1つ上だよ。間違えてるよ」

「えーまた1階あがらないといけないんですね」

「そういうことだ、頑張れ、若者」

「若者って、アリイちゃんが1つだけ年下なだけなのに」

「精神年齢46歳なんだけどなぁ、後輩のセンパイ」

「後輩のセンパイいうな、ややこしいだろ」


 そのままぶつくさ上がっていった山下さん。あれ? あの子の名前って山下 美波だったよな? ヒミコさんはさっき『アリイちゃん』と言っていた。どういうこと?


「なぁ、ヒミコさんや」

「なんや、空爺(ソラジイ)

「同い年に(ジジイ)言われた……。まぁ、いいや、それはさておき、山下さんとは知り合いなの?」

「おっ、惜しいなぁ。ノリツッコミまでもう少し!!  アリイちゃんはウチに憧れてここに来た子だよ。まぁ、アリイってのはTogetherでの名前だけど、ね」

「どういうこと? 憧れるところある? ヒミコさん」

「むっ、お主を呪い殺してやろうか……」

「わっ、急にバカにしたからって呪わないでーって違う。ヒミコさんに憧れてこの高校に来たってどういうこと?」


 この後、ヒミコさんの自慢話を体感で15分前後は聞いた。簡潔にまとめると、ヒミコさんは山下さんの中学校の部活の先輩で、部活名は、あまり聞かない部活名だったが、そこで部長を務めていたらしい。ちなみに、オレはその部活の名前は話を聞いてる最中に忘れた。そして、ヒミコさんは学力も優秀だった。この高校の偏差値は平均くらいだ。あれ? そこまで優秀じゃないんじゃ……。ヒミコさんが引退する時、山下さんは『絶対、姫巫女(ヒミコ)先輩と同じ高校に行きます!!』と宣言したらしく、そして、この高校に入学してきたらしい。なんというのか、異性の憧れの先輩を追っかけてきたみたいな話に感じる。ヒミコさんと山下さんは同性……。まさか、禁断の恋愛か!?


「あっ、空くんの思ってるような禁断の関係とかではないよ? むしろ、空くんとアリイちゃんお似合いじゃないかな?」

「オレ、年下に興味ないんで」

「うわっ、空くんゲツメンー。年齢で判断するんだ」

「それは幻滅な」

「ほら、そこ、そこがお似合いかなぁと」

「ん?」

「そのボケにちゃんとツッコむところ。あの子、天然だからねぇ。ま、アリイちゃんを傷つけるようなことしたらうちが空くんを許さないからね」



それはないと思うけど……と答えようとしたところに朝のホームルームの為に担任の教師がやってきた。


「文化祭のことだが……」


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