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ありし夢の空ver2  作者: きゃっくん【小奏潤】
第7章~クリスマス~
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第27話~彼氏失格1~

「好きです、三条先輩」


 今日もガバァと布団を剥いで起き上がった。夢か!! ふっと、昨日の池内との出来事を思い出ししてしまった。あのあと、どこまでいったんだっけ? 濃厚なキスをされたとこまでしか記憶はない。でも、これってオレに気はないにしても、浮気だよな……。今日、美波とどんな顔して夜景を見ればいいんだ?


 そして、時間は午後5時。すでに街は夕焼けに包まれつつある。


「はぁ」

「幸せ、逃げて行きますよ? 蒼空くん」

「美波。大丈夫、オレは今、すんごい幸せ者だと思う」

「何言ってんですか」

「美波とこうやって神戸まで夜景見に行けるんだから」

「そうですね、わたしも蒼空くんも幸せ者だね」


 電車に乗って、神戸に向かっているところだ。神戸で最高のイルミネーションを見るんだ。


「もうそろそろだね」

「そうですねぇ」


 電車からも少しずつ、街の明かりがキレイに見え始めた。そして、神戸駅についた。


「というか美波、さっきから思っていたけど、顔赤くないか?」

「ふへへ、幸せ熱ですよ」

「そっか」


 神戸の夜道をぶらぶら歩いてイルミネーションの会場まで向かった。やっぱり、美波は足がおぼつかない。大丈夫だろうか? そんな心配をよそに美波は確実にゆっくり歩いている。


 神戸のイルミネーション会場にたどり着いた。


「わっ、キレ……」


 オレも美波もイルミネーションの輝かしさに目を奪われていたと思った。しかし、


「蒼空くん、ごめ……」


 オレの服の裾が引っ張られて、『ん?』と思うと同時に、バタッという音がした。横を見ると、美波が倒れていた。


「おい、美波!!」

「蒼空くん……」


 そこに通りすがったおじさんがオレたちを見た。そして、口を開いた。


「キミは、この女の子の彼氏か?」

「はい……」


 オレは一刻も早く救急車を呼びたかった。でも、手が震えて、119番を押せなかった。おじさんは119番に電話してくれた。おじさんは美波のおでこを触って救急車の人に『すごい高熱の女の子が倒れています、住所は……』と事細かに通報してくれた。それに対してオレはどうだ。美波がいなくなるんじゃないかという恐怖心に駆られて手が震えて何もできなかった。その後、救急車が来るまで、おじさんは一緒に待ってくれていた。


「あの、すいません、本当にありがとうございます」

「別に、ワシは当たり前のことをしたまでだ。それはそうと、キミたちはこの辺の子か?」

「いえ、大阪から来ました」

「キミは、彼氏失格だな」

「ど……う……して?」

「この高熱は今出たものではない。元々熱があったのに、無茶してここまで来たからだ。多分、この女の子はキミと一緒にここに来たい、その一心で無茶したんだ。彼女にこんな無茶させるのは彼氏失格だ」

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