第21話~デート勝負の結果~
謎のデート勝負が始まった。その勝利条件はデートをしてオレを楽しませたほうが勝ちだ。それ、どう考えても、雨音が負けないか? 裏を返せば、雨音は絶対的に勝つ自信があるのかもしれない。
先攻後攻のジャンケンが始まった。
「3回勝負ですね」
「いえ、5回勝負ですわ。4勝した方が先攻ですわ」
いや、普通に一発勝負で良くないか?
「それでは、その勝負数を決めるために一発あっち向いてホイしましょ!!」
「よろしくてよ」
「あのさ……」
「蒼空くんは黙ってて!!」
「蒼空さまの関与することではないですわ」
「最初はぐー!!」
ここだけ見るとすごく平和なんだけどなぁ。
「あっち向いてホイ!!」
雨音がじゃんけんに勝ちそのまま、あっち向いてホイでも勝ったのだ。
「くっ、負けた。このわたしが……」
美波はあっち向いてホイに負けてすごく悔しがっていた。負けたのはデート勝負の順番決めのためのじゃんけんの3回勝負か5回勝負を決めるための『あっち向いてホイ』だけども。
「それでは、蒼空さまとのデート勝負のジャンケンは3回先に買った方が勝ちですわ。最初はぐー!!」
結果、美波がじゃんけん勝負でも負けた。ちょっとこの流れだと、デート勝負も負けるのでは? いや、審判がオレである以上、そんなことはない!!
その頃の時刻は、午後6時30分。
先攻は、雨音だ。
「さて、蒼空さま、行きますわよ!!」
「はぁ、行ってくる」
結局、雨音はオレを商店街へと連れて行った。肉屋さんのコロッケが美味しいだとか。
「コロッケ2つ!!」
「あら、麗央ちゃん、横の男の子は彼氏?」
「いえ、違います!!」
オレは何も考えずに否定した。
「何を蒼空さま、恥ずかしがらず。わたくしのことを彼女だと言えばいいのに」
「オレの彼女は、美波だー!!」
「麗央ちゃん、恋愛というのは、お互いに思ってこそ成立するもので、ただの片思いは恋よ? 麗央ちゃんとその男の子には、思い合ってるものが見えないわ」
さすが肉屋のおばちゃん!! いいこと言う。
「そうね、うちの美波をよろしくねぇ、蒼空くん」
肉屋の名前を見た。『肉屋の山下』
山下……?
なるほど、ここは美波の家?
「あの、もしかして、娘さんは、美波さんなのですか?」
「あはっ、そうよ。さっきの、オレの彼女は美波だー!! で納得がいったの。これからもよろしくねぇ」
「ムキー負けですわ!! このわたくしの負けですわ!!」
そして、元いた場所に戻ってきた。
「猫の骨、いえ、肉屋の娘!! この勝負、あなたの勝ちでいいですわ」
「何があったんですか?」
「いや、肉屋の山下の人に言われたんだ。オレと雨音の間に思い合いが感じられないと」
「あぁ、それ、お母さんだ」
「山下 美波とやら、今後ともうちの息子をよろしく!!」
オレの母さんもとりあえずは、美波のことを認めてくれるらしい。この後は恋人としてうまくいくといいけどなぁ。




