表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありし夢の空ver2  作者: きゃっくん【小奏潤】
第3章~気付いた想い~
12/33

第12話~文化祭~

 その後、もっとスパイスいるだろ派とレシピ通り作ろうよ派に別れて揉めたりした。決着は、本来は大学生くらいで取る料理の資格を持っている女子生徒の『初心者はレシピ通りに離している話しているすきに船原さんが板チョコを1欠片いれようとして、その有資格者に怒られているのも見た。


 1ヶ月ほど経って今日は文化祭当日だ。オレは転校生なのに、現場指揮をしていた。もう、転校生ブランドは剥がれてるか。


 無事、1年4組と2年5組の合同模擬店でこの文化祭唯一の飲食店『インドカレー屋ナンですか?』は開かれた。この『ナンですか?』の店名は、インドカレーによくあう『ナン』と『(ナン)ですか?』をかけているのだ。


 周りを見渡すとお客さんもぽつぽつといた。その少しのお客さんの反応は、『えーなにこの匂いすごい美味しそう!!』『あそこでイケメンちゃんがカレーって言ってるよ』『あの地雷系の子、めっちゃかわいい!! でも、まな板なのがなぁ』と言った感じだった。


 女装した男子と、男装した女子がナンを配ったり、ラッシーにカレーなど模擬店のBGMもインドの民族音楽のCDを流していた。『いや、インドの民族音楽のCD持ってるやつよくいたな!!』ともお客さんから言われた。実を言うと、誰もインドの民族音楽のCDを持っていなかったから、急遽、市内の民族音楽の専門店に行って買ったのだ。


 接客や配膳などは基本的に男装女子で、当日は学園内を練り歩いて『ナンですか?』の宣伝をするのが基本女装男子の役目だ。普段から、カレー鍋の交代要員として、普通の私服男子は3人は教室にいるはずだ。オレは、現場指揮の関係で女装して教室に常時いる。なお、衣装は『さんくゆー』で買ったフリル付きの地雷系の衣装を着ている。もしかして、オープンしてすぐに『まな板』と言われた地雷系衣装はオレなのか? 地雷系の衣装を着ている生徒はオレだけだ。


「空くん!! 休憩してよ」


 ずっと現場指揮をしているオレを心配してか、ヒミコさんが声をかけてきた。時間は13時半過ぎ。ここで、オレは初めての休憩だ。文化祭のスタートが8時30分だった頃もあり、とてもとても疲れていた。他のクラスメイトや後輩は適宜休憩を取っている。現場指揮をしている以上、勝手に休んでいいものか?  と心配になった。あと、唯一の飲食店と関係があるかないかわからないが、ずっとお客さんがひっきりなしに交代していて、ほぼ満員だった。


 少し癒しが欲しいとも思った。脳裏によぎったのは……。


「山下、休憩時間だぞー」


 少しだけ、気持ち程度、a little程度にはアリイちゃんと休憩被るといいなぁと期待していたオレがいた。いや、別に、好き(・・)とかじゃなくて、ただ、高校での数少ない友だちだから……。


「蒼空先輩、一緒に周ります?」

「そうだなぁ、周るか」


 アリイちゃんと周ることになった。しかし、ふと思うことがある。オレも人のこと言えないが、アリイちゃんは同学年に友達がいるのだろうか? こう、付き合っているわけでもなく、ただの先輩(・・・・・)のオレとこうもベッタリだと心配になる。


 隣のクラスでは、射的が行われていた。


「とりあえず、射的行く?」

「いいですねぇ」


「バン バン ショットへようこそ」


 そう言って隣のクラスの模擬店の店番の人にモデルガンを渡された。中には、黄色くて小さな弾が入っている。いや、それで景品撃ったらもらえるもの傷つくよなぁ。と思ってモデルガンをマジマジとみていた。


「うーん」

「欲しいものあります?」

「塩飴」

「蒼空先輩、渋い!!」


 『塩飴……?』と店番の生徒が首を傾げていた。模擬店の景品には確かに塩飴はある。ただ、それは参加賞のひとつだ。ふと、アリイちゃんがオレの首を触った。虫でもいたのかと思った。


「ふふ、チョーカーつけてくれてるんですね」

「あぁ、せっかくアリイちゃんが買ってくれたんだし」


 ゆるゆるな雑談しつつ、射的『バン バン ショット』を楽しんだ。


 その後、各クラス回ろうとしたが、クラスメイトや後輩からヘルプを出されて、急遽教室に戻った。なにかと思い、説明を聞こうとしたら、『三条、お前……チョーカーまでしてるのか……』とドン引きされた。朝からしてたんだけどなぁ。それはさておき、問題としては、インドの民族音楽が流しすぎて、擦り切れたのだ。インドの民族音楽の代わりに、何かあった時用にと思い、インド映画のダンスシーンだけを集めた動画を流していた。なお、ちゃんと映像も一緒にだ。


 模擬店終了の放送が流れた。


「どれくらい残ったー?」

「もう綺麗な鍋になったよ!! 途中でなくなりかけてたよ!!」


 片付けをはじめた。オレは鍋を洗っていた。他のクラスメイトも片付けしていたこともあり、結構早めに後片付けは終わった。時間は午後7時。夕闇がそろそろ空を支配する時間だ。


「文化祭終わったんだな」

「そうだよ! 空くん、本当にお疲れ様!!」

「転校せーいがいなかったら、多分、この模擬店の成功はなかった」

「三条バンザーイ!!」


 なぜかオレは胴上げをされていた。ちらっとアリイちゃんが視界に入ったが。今までにみたことないくらい不機嫌だった。


「こんなのわたし望んでない。蒼空先輩はわたしのもの!!」


 胴上げから下ろされたオレに聞こえるか聞こえないかのような小さな声でアリイちゃんが呟いていた。


 なお、この後、後夜祭などはなかったのだ。学校が全面的に禁止している。見つければ、問答無用に1ヶ月停学という謎の校則があるらしい。なお、調べた結果、校則はなく、ただの先生の脅しだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ