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悪夢  作者: &E
4/6

夢か現実か?~母の助言~

あぁ、またこの痛みだ。


お腹の痙攣のような痛みに、私はもう慣れつつあった。

いつものように、声を出そうと試みる。

あーあーあーあーあー、


目が開く。お腹の痙攣が続く。これは夢の中だ。

あーあーあーあーあー、


目が開く。お腹は痛い。まだ夢の中。

あーあーあーあーあー

あーあーあーあーあーあー


目が開く。今度は体が動かせた。

上半身を起こして電気を付けようと試みる。

お腹は痛い。電気はつかない。

あーあーあーあーあ、


(いいや、電気はつかなくても)

私は、リビングに通じるドアの方に行こうとする。

二段ベッドを降りて、床に足がつく。ドアの方まで、お腹に手を当てて痛みを堪えながら歩く。ドアノブに手をかけると、手に金具の固い感触がある。ドアが開いてリビングに入る。


(リビングだ!)

電気に手をかけると、カチッと電気がついた。


(電気がついた?)


お腹は痛い。でも、リビングの電気がついた。これは現実?

お母さん。


(お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん)

叫ぶ。寝室の方に歩いて、ドアノブに手をかける。すると、母が起きてきた。


母が起きてきた?

これは、現実か。


「お母さん、お腹いたいの、助けてよ」


母は私の顔をみて、驚く。

「どうしたの?」

「お腹痛いの、助けて」

母の隣に父がいる。母は父の顔を見て心配そうに言う。

「救急車を呼ぼうか」

「ちがうの、この痛みはお化けなの。幽霊が私を蹴っているの!」

驚くべきことを母は言った。

「どこかの神社でお祓いしてもらわないと」

母が私の話を信じてくれた。信じがたいことだ。私は愕然とする。これは夢だ。


夢だと気づいた途端、私は目が覚めた。

ベッドの上に横たわっている。まだお腹の痛みの余韻が残っていた。

私の夢の中に母や父が出てきた。悪夢を見ていた中で、はじめての登場人物だ。夢の中の母は私の話を信じてくれた。これは私が夢の中で強く願ったからか?願望が悪夢の中で叶えられたのは初めてだ。私の意思が悪夢の干渉を搔い潜って母や父を出すことができたのか。


現実世界の母は、私の話を信じてくれるだろうか。いや、うまくはいかないだろう。だけれど、もしかしたら、いくつか案を出してくれるかもしれない。


そう、確かに現実世界の母は話を聞いてくれた。そして諭された。

「この世に幽霊は存在しない」そしてこうも言った「死んだら人は無になるだけ」今のような人間の意識はなく、死んだら自分は意識ごと消滅するのだと。


母は、強迫神経症で現実主義者で無神論者である。そんな母に「幽霊に蹴られる」「除霊をしてもらいたい」なんて信じてもらえるはずはないのだ。

だがしかし、母は一応私の話を受けて、部屋に入って二段ベットの状態を見てくれた。

「あんたのベッド、汚いのよ。漫画とか小説とか大量にあるでしょ、それ片づけたら?」


たしかにそれは、一理あった。

私は、ベッドの上で漫画や小説を読むクセがあり、そして読んだ本は一応ベッド横にキレイに陳列する。

私の部屋には、本棚がなかった。だから、漫画や小説を収納する場所がなく、ベッド横に陳列していたのだ。

寝るところに、NARUTOだの、ワンピースだの、ブリーチだのハリーポッターなどが並んでいるのだ。

安眠はできないかもしれない。


私は母の助言を受けて、ベッドに本を置くのをやめた。本を収納するために、父に小さい本棚を2つ買ってもらうことにした。本棚は、二段ベッドの下に収納することにした。


ベットは片付いた。

しかし、悪夢は見続け、決定的な出来事が私を襲うことになるのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


あぁ、またこの痛みだ。

あーあーあーあーあーあー。


目を開ける。

真っ暗な闇の中でも、その濃淡が分かれば、部屋の中にいるのだと気づく。

(あれ、豆電球を付けて寝ていたのに)

私は、悪夢対策のために電気をつけたまま寝ようと試みたのだが、明るいのが煩わしくてやめたのだ。今夜は悪夢を見ると分かっていれば電気をつけたままにもするが、悪夢は不定期だし。アイマスクも嫌だった。だから、私はいつも豆電球にしていたのだ。


悪夢を見るかもしれないのに、豆電球を消して寝るなんてありえない。

なのに、暗い。部屋の電気はついておらず、真っ暗だった。

豆電球が切れた?暗い。そして痛い。あぁ、すごく痛い。


目を開けた。

体が重かったし、動けなかったし、部屋は真っ暗なのに、もっと黒い人間が私に覆いかぶさるようにして存在していた。

黒い人間だ、顔は見えない。でも、直観で女だと思った。その黒い人間が包丁を振りかざして、私のお腹を刺そうとしていた。


体は動かなかった。動く隙なんて与えてはくれなかった。なんのためらいもなく、一気に包丁を振り下ろす。

あぁ、痛い、痛い、怖い!嫌だ!


目が覚めた。

豆電球は消えていなかった。豆電球の赤い光の中で、私がお腹を押さえてうずくまる。

痛みは、緩やかになっているとはいえ、痛い。まだぴくぴくと痙攣をしているような気がする。


怖かった。

私は包丁でお腹を刺されていたのだ。真っ黒な髪の長い女性のように見えた。

もう嫌になった。



「お母さん、お願いがあるんだけど」

私は母に控え目にお願いをする。

「寝室で寝かせてほしい」


色々な説得の仕方をしてみた。

父と一緒に寝るよりも、私と一緒に寝たほうが、いいはずだ。

そんな、感じのことを言ったかな。

母は、不都合が起きると私のせいにするが、それは父のせいにすることもあった。つまり、母の機嫌しだい。運のようなものだ。だから、私だけを嫌悪するわけではなかった。


母は不眠症で、必ず睡眠薬を飲んで寝ていた。

そんな中、父がトイレに起きると起こされて迷惑だと話していたのを思い出した。

私はそこに付け込み、そしてその作戦は成功したのだ。

次回、父が私の部屋で寝て、私は親の寝室で寝ることに。

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