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悪夢  作者: &E
1/6

それは避けようもなく

はじめに言っておくと、この話は、作り話ではない。


これは、私が実際に体験した出来事であり、この話を読んだ読者がその後、何か不運な出来事に巻きこまれたとしても、それに私は一切責任がもてない。


それを踏まえた上で、私の話に興味がある人はどうぞ。



人は眠った後、どうやってこれは現実で、これは夢の中だと判別がつくのだろう。

私は、いつも夢の中で夢だと気づけたことはない。

夢の中で私は遅刻をしたり、試験勉強をしていなくて頭を抱えたり、人に殺されたり殺したり、追いかけられたり、追いかけたりするような悪夢を見る。

それは目覚めたときに分かる。あぁ、これは夢だったのだと。


だからこそ、悪夢の中でこれは夢の中だと強引に思い知らされた時、愕然とするのだ。

私は、どうやって目覚めればいい?


私は、学校が嫌いだった。

親の見栄で小学校受験させられ、小・中・高とエスカレーターで上がれる女子校に通っていた。

やんごとなき学友と12年間学校生活を送ったわけだが、悪夢を見始めたのは忘れもしない、私が中学2年生の時だった。

クラス替えをしたとき、私は仲の良い友人と全て離されて同じクラスに友達がいなかった。クラスの半分はジャニヲタで、もう半分はアニヲタだった。

女子高というのは、世界が狭い。決まった人間関係。内部の人間の個性は把握済み。私という人間は、然るべきレッテルが張られ、その中で新しく人間関係を築くのは至難の業だった。

クラスの主導権は、かわいい顔したジャニヲタに握られていた。彼女らは、当然のようにスクールカーストの上の方にいたわけで、そんな派閥に私が入れるわけがなかった。

アニヲタの派閥には、小学校の時に喧嘩別れした知人がいた。アニヲタ派閥に入るには、喧嘩別れした知人と顔を合わし、喋る必要があった。そんなのは嫌だった。


家にも私の居場所はなかった。

母の感情が不安定で、3日に1度は大したことのない出来事に憤怒した。例えば、私はシャンプーが空になったためごみ箱に捨てた。それを見た母は激怒する。理由は、そのシャンプーの空き容器は詰め替え用を入れて再利用するつもりだったからだ。でも、一度ゴミ箱に捨てたシャンプーの空き容器は使いたくない。私は提案する、では新しいシャンプーを自分のお小遣いで買ってくる、母は狂ったように否定する、「許さない、なぜなら私はこの空き容器と同じ柄、色じゃないと嫌だから」。新しくでているシャンプー容器と捨ててしまったシャンプーの容器では、中身が同じでも柄や色がちょっと違う、この色、同じ柄でなければいけない。同じ物を買ってこれなければ、お前なんて家から追い出す。


同じ色で同じ柄のシャンプーの容器は、もう存在していなかった。どこに行ってもなかった。私は、途方に暮れる。敢えてやっているのだ。母はどういうわけか、人に苦しみを与えることに長けていた。どう言ったら人が絶望するのかを知っている。

「そんなに怒るほどのことじゃない」はずなのに。でも、どう立ち回っても詰むのだ。母は何か不運や不都合があった時は、その責任を人に押し付けるクセがあった。だから、「お前のせい」なのだ。どんな時も。


そんなことがしょっちゅうで、どこにあるか分からない母の地雷に私はいつも怯えていた。

私は母の言動が恐ろしかった。


父親は、母親の言葉をいつも肯定していた。私がどんな汚い言葉で罵られても、父はあの時期一度だって否定したことはなかった。寧ろ母と一緒に私を罵っていた。それは、母の暴言が自分に向かないようにするためなのだと、私は知っていた。

私は、一人っ子だった。だから、私は独りで母と父の暴言に耐えるしかなかった。


家にもクラスにも居場所はなかった。

疲れていた。正直、よく気が狂わなかったなとも思う。「死にたい」が口癖だった。本当に死にたいわけではなかった。死ぬのは怖かった。自殺したら、その時の苦しみが永遠に続くんだって、そんな迷信を私は信じていた。でも、生きるのも同じくらい嫌だった。死んでも生きても苦しいのだ、どうすればいいのだろうね。


そんな時期だった、私があの悪夢を見たのは。

それは、避けようもできなくて、誰にも理解されなかった、悪夢の話。

次回から、悪夢の話になる。

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