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離婚の計画 ホームシック作戦決行

結局なにもなかった二人、いやフロレンティーヌの愛さない宣言以外は。

あれからの物語は?

あの愛さない宣言からのなんにもなかった夜以来、一緒に寝てもそういう行為は全然まったくない白い結婚状態が続く。


私はそんなつもりはなかったのに。

予想を完全に外して軽い狼狽状態の私だって。

私だってわかってる愛とそれは違うってことくらい。


確かに妊娠したら離婚どころではない事はわかっている。

まあただ後継が出来れば務めは果したとと言えばそう責任は果したといえるかもしれない。

前向き?


皇太子はいつも昼は政務で忙しいようで食事の時にしか一緒にいない。

その席でも終始穏やかで私にも何のわだかまりもなく微笑みかける。

こちらが恥ずかしくなるくらい。


わからない皇太子がどう思っているのか?

絶対私ならシカとする。

罪悪感からなのか?居心地の悪い日々が続く中で、私は私で昼間は常に伯母様に呼ばれ皇后宮でほぼ一日を過ごす。

挿絵(By みてみん)

吟遊詩人の歌会

音楽会

観劇会

はたまた読書会やお散歩会、皇后の政務である慈善事業に慰安訪問、女性貴族を招いてのお茶会などなんだかんだで三週間たつ。


やばい~~~わ。

こんな流暢な事ではあっという間に一年過ぎちゃう。


さあ~~~どうしようどう嫌われて追い出されるか?


あんまりえげつない事して外交問題になってもだめだし。


ん~~~~……。

頭をフル全開で回転させて~~!

そう考えて考えて考えてたら一週間が経ち!やばい~~一ヶ月過ぎてしまった!!


そうあまり大きな大きな事をでも着火剤になりそうな問題を起こしてみる?!


そう例えば~~~良くない知恵が働く時ってなんだかドキドキする。

悪い事しているような罪悪感の上に高揚感が暴れている。



よし!!

明日から決行ね。

第一弾はこれで!!



白い夜が明けて、寝台に一人になったら私が呼ばないと基本侍女からは声をかけれない。

だからといって放置される訳でなく。

多分伯母様の元へ報告されるはず、内宮の事は皇后の責任だから。


うふっ~

悪い私が復活かも。


さっそくその朝、寝台で布団を被り冬眠する小動物のようにうずくまる。

カーテンは閉まったままで、布団に隠れる皇太子妃。

どう考えても変でしょ。


いつもの起きる時間を1.2.3時間が過ぎ

さすがに家族の食卓に同席しないのは駄目でしょ。


扉の向こうがざわついています。

侍女達の何か話す声が聞こえて、パタパタと廊下を歩くいくつもの足音。


これは伯母様がいらっしゃる空気感満載です。


さあ伯母様いらっしゃいませ!!


案の定遠くから優雅ないくつものサンダルの足音が聞こえる。


被っている布団を少し外して隙間から扉の方向を見てみる。


下の隙間から伯母様の足元がわずかに見える。

その横に皇太子妃付き筆頭侍女が説明しているようだ。話している内容はこちらには聞こえないが、どうみても私の事よね。


これは伯母様入ってくるわね。

よし!私ここからが勝負よ。ゴングが鳴った。


「フロレンティーヌ

 入りますよ」


伯母様の声が聞こえた。

よし準備万端


ガチャッと鳴るドアノブの音とギィ〜と扉を開ける摩擦音。


と同時に布団を被り、身を震わせてシクシク泣いている私を演じる。


伯母様は少しずつ私に近寄り、寝台の脇にゆっくり腰を降ろした。

布団の上から香しい百合の香りがします。


「どうしたの?

 具合が悪そうよ」


私を労るようにゆっくり穏やかな声。

お人柄がわかる。

また罪悪感が蘇るがそれを押し殺す。


伯母様は私の肩らへんを手で擦りながら、私を優しく力を決して入れず包みこんだ。


「大丈夫?

 もう少ししたら宮廷医長を呼びましょうね。

 忙しかったもの」

何度も何度も叔母様の白い手が私の背をさする。


布団越しでも伯母様の心の温かさが伝わるような気がして胸の奥で心臓をわしづかみされそうな慟哭が襲う。

小さな良心が黒い物で覆われる感覚が心苦しい、息苦しさに呼吸が荒くなる。

自分が強烈な悪人に思える。

いや事実そうだろう。

こんなに優しい伯母様達をだましているんだ。

今自分もしている事に異様なまでも罪悪感は自分への怒りに変化していく。

何てことしているんだろう。

急に恐怖が襲う。

何からくる恐怖なのか、自分が悪人で善人を騙してもう善人には戻れない恐怖といえばいいのだろうか?


気がついてたら、感情もないのに瞳から涙が粒になって流れていた。

自分は悲しくないのに。

勝手にまさに泉から川へ自然に流れてくる様に次々と流れ出し止まらない。


伯母様は泣きじゃくってくしゃくしゃになった私の顔を両手で覆い、早朝の太陽の光の様な微笑みを湛えながら私の額に口付けた。


「大丈夫よ」


そう言って私の身体をベットに横にして上から被っていた布団を掛けて、横に添いながら静かに子守歌を歌い始めた。

それは小さな頃お父様がよく歌ってくれた歌詞。

懐かしい、おそらくフェレイデン育ちには馴染みの歌だ。

懐かしいその歌……フェレイデンの………。

そう思っていた時に強烈な眠たさが襲ってきた。


もう睡魔には勝てないそのまま意識を手放してしまった。



後日宮廷医長が呼ばれて診断した結果は私の望んでいた。


異国ので慣れない生活によるストレスによる




「ホームシック」という結果だった。




宮廷医長は薬草の治療を進言し、規則正しい生活としばらくの静養と何よりもリラクゼーションを。

しばらく夫婦の営みも遠慮するようにと進言した。

元々夜の営みはないのだが、隣に人がいて一緒に寝るという行為はなかなか慣れない。

ようは常に緊張状態になるので良くないと判断らしい。


しばらくは皇太子妃宮殿でゆっくり過ごすことが出来るようになった。


全体としては計画は始まったばかりだけど、なんだか後味の悪い生活あいかわらず伯母様のいろんな贈り物と皇太子からは二日に一回が綺麗な花束が届く。


それを受け取る度に罪悪感で自分を潰しそうになるが、これは自由への一歩だと自分に言い聞かせる。


そんな日々が一か月ほど経った頃、さすがに皇太子妃の不在は宮廷人の不振と不快を買うには十分のようだ。

まだ私は表舞台にほぼ立っていないからここから不協和音が生まれ「皇太子妃不適格」印を押されるのも時間の問題だ。


少し余裕の持てた頃、夜の散歩と称して勝手に部屋を出て暗い廊下を歩く。

まだ慣れない宮殿だが、そこはそこで面白い。


燭台に蝋燭が付けられた薄暗い廊下は昼間とは違う陰鬱で闇へと吸い込まれそうな恐怖さえ感じる。

長い廊下の先に少し開いた扉が見える。

興味本位でその扉を開けてみる。

すると下に行く螺旋階段があり足を進めた。

こういうの好き。

ワクワクしちゃう。

下への下る階段は明かりがなく暗闇に吸い込まれそうになりながら足を踏みはずさないように下る足元が弾む。


長く寝室しかいなかったので、持ち前の好奇心の嵐が身体十を駆け巡った。


階段の一番下に行きつくと木の扉が両側にある廊下がある。

質素な造りで宮殿の下女達の宮殿の私部屋だ。


一番奥の部屋の明かりが漏れている。


少し話声もする。


漏れてくる部屋の明かりからそこに夜勤の下女達の控え部屋とわかる。


「そうそう皇太子妃遂にダウンだって?」

下女の一人が酒を一気に飲み干した。

「あぁ~ホームシックだってさ。もう皇太子妃宮は大騒ぎさ」

大変そうに愚痴交じりの口調に胸が痛む。


「じゃあ」


扉の隅で話し声を盗み聞きする。


わずかに漏れる光の向こうに何人も輪になって酒を飲みあかしているようだ。


「それで皇太子妃殿はどうしてんの?」

酒の入ったグラスを傾けながら意地悪そうに下女が質問した。


「倒れられてあいかわらず部屋でお過ごし。」

不満そうな様子でグラスの酒を一気に口に流す。


「へェ~そりゃ困ったね。

 この機に及んでフェレ派の貴族達は盛り返すだろうね」


「こうなると皇太子妃不適格で離縁されるかもね」


「ン~。そうだね。」


「フェレイデン派は劣勢だね。」


「そぉだね。フェレ派と中道派が組めば木っ端微塵だろね。」


「でも大公家が動いてないよね」


「迂闊には動かないさ。

ても内宮は大きく変化するね。」


「リアディーヌ様 

 以前から慈善事業に熱心だったのに最近はまったく興味がないようで。

 内宮の人望を得る為に金銀宝石を使って必死に侍女達を買収しているわ」


「メディルス公爵家は昔からフェレ派の最大派閥だからね。

 リアディーヌ様動くよ。」


「後は皇后のフェレイデン派の攻防だね。」


「ここで一気に皇后へ圧力をかけるんじゃない?」


「なんせ皇太子妃をフェレイデンの大公妃にと強力に押したのは皇后様だからね」


「最近の勢いは目を見張る物があったけど。ここにきてきな臭い話もあるしね」


「中道派の筆頭ダルディアン大公の動向も気になるね」


「最近はダルディアン大公女アマーリエ様もめっきり宮殿にこなくなったね」


「大公からまったがかかったんだろ。慎重な人だからね」


「へたに動いてどっちかに就いて痛い目に合いたくないんだろうね」


「その慎重さで皇位継承権を持ち、常に皇統への挑戦者として敵視されてきたからね。

 そうそう信用しないだろうね」


「まぁあたし達には関係ないからさ。

 上の侍女達とは関係ないからね。」


「あの人達からしたらあたしらなんかただの雑用係だからね。」


「まあね。だからこそあたしらこうやって愚痴や情報がたんまり手に入る」


「酒のあてには最高~~」


私はこの会話を聞いて全身が氷ついた。

そして自分の浅はかな行動は何をもたらすのか知った。


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