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蓮vs高梨




ーー梓の偽恋人としてスタートしてから、2週間経ったある日の放課後。


俺は奏と一緒に帰ろうと思って廊下に一人で歩いていると……。

すれ違いざまに高梨に話があると呼び止められて、そのまま校舎裏に連れ出された。




「この間の件は礼を言う。悪かったな。柊のお陰で助かったよ」


「勘違いすんな。別に先生を助けた訳じゃない。俺は梓が退学にでもなったら困るだけ」




梓と交際している高梨。

そして、梓の偽恋人の俺。

ライバル関係にある俺達は険悪ムードに。


高梨は礼を伝えてきたが、話はそれだけではない。




「柊……。僕達の仲を知ってるのに、どうして彼女ばかりに執着するんだ」


「あいつに惚れてるからに決まってるだろ」



「お前はこれから高校を卒業して、進学をして、まだまだ多くの人と出会いがあるのに、元カノばかりに執着する必要はないと思う」


「人の人生勝手に決めつけんなよ。世界中何処を探してもあいつは一人しかいないよ。それに、先生は校長室であいつを守りきれなかっただろ?」



「最善策を練っている間にお前が校長室に入って来ただけだ。大人には気持ち一つだけで動けない複雑な事情がある」


「そんなの俺にはわかんないし、知りたくもない。先生がどんな切り札を出してきても、俺は負けない。1パーセントでも可能性が残されてる限り戦い続ける。卒業までには絶対梓を返してもらうからな」




男同士の一対一の真っ向勝負。

お互い1歩も譲らず睨み合いは続く。


普段は冷静沈着な高梨がカッと熱くなっている様子からすると、梓への気持ちは嘘偽りない。

だから、勝負に出るなら今しかないと思った。




「何を言ってるんだ。昔は柊の恋人だったかもしれないけど、今は違う」


「じゃあ、先生はあいつの悩みを知ってる? 今あいつの身に何が起こってるか」



「……それは、何の話だ」




高梨はそう言ってハッと目を見開いた。

もしやと思ってカマをかけてみたけど、やっぱり梓の現況に気付いていない。




「センセーは誰にも認めてもらえないような関係を続けているから、見えるものが見えなくなってるの。梓は素直だけど、いつも肝心な事を口にしないから、こっちが先に気付いてあげないと守ってあげれないよ」


「見えなくなってるもの? 肝心な事? わかるように説明しなさい」



「それがわかんないなら、この勝負は更に燃えるな。まぁ、あいつの問題は一番近くにいる俺しかわかんないと思うけどね」




蓮は勝気な態度でそう言い残すと、背中を向けて高梨に手を振って立ち去った。




高梨は梓の身に起きている事にまだ気付いていない。

梓の事だから、きっと心配させないように胸の中に留めているのだろう。


高梨の気持ちが梓の深部に行き届いていないのなら、梓を守れるのは高梨じゃなくて俺しかいない。


泣いてる時も笑っている時も、梓の隣で青春時代を共に過ごしたかけがえのない時間。

2年間交際を続けた俺にしかわからない、梓の心情。

コツコツと積み重ねてきた愛情だけが、俺の心を奮起していた。


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