俺に聞きたい話
ーー街の景色が冬支度を始めた、11月上旬のある日の帰り際。
「大和……、やめろ。本人にデリケートな質問をするんじゃない」
「頼む。止めないでくれ。俺はもう辛くて耐えられないんだよ」
奏は大和の腕を掴んでは乱雑に振り解かれるといったひと悶着をしながら、俺の教室へとやって来た。
一見、大和が感情的になってるように思えたが、どうやら俺に聞きたい話があるんだとか……。
俺は二人に連れられて駅前のファーストフード店へやって来た。
向かいには大和、右斜め前には奏が座る。
大和はDVDプレイヤーの一時停止ボタンを押されてしまったかのように、俺から目線を離さない。
一体、どうしたんだろう。
俺がそう心配していると、大和は一度深いため息をついた後、しょんぼり肩を落としながら口を開いた。
大和「蓮。余命は………あとどれくらいなんだ」
奏「よせ! 本人には直接聞かないように約束しただろ」
深刻な表情のまま質問されたのは余命話。
俺は今シーズンまだ風邪一つすら引いてないほど健康なのに、いきなり余命話をされてもどうしたらいいから対応に困る。
しかも、奏も話に乗っかりすぎ。
『本人には直接聞かないように約束した』って、どーゆー意味?
そんな先の事なんて今まで1度も考えた事ないのに……。
蓮「何言ってんの? 余命ならあと60年くらいある予定だけど」
俺は日本人男性の平均寿命に乗せて答えた。
ま、こんなものだろうと。
だけど、大和は眉をピクリと動かした後、真顔で聞き返してきた。
大和「えっ、60年? そんなに………、あるんだ」
蓮「は? そんなにと言われても……。普通そのくらいじゃないの?」
奏「……」
大和の話の意図が全くわからない。
しかも、切迫したような表情で言われても困るんだけど。
大和「嘘をつくな。お前とは2年半の付き合いだから、もうわかってる。お前、先は長くないんだろ?」
奏「よせ、大和! はっきり言うな。空気読めって」
蓮「えっ、俺の先は長くないの? 知らなかった……」
俺には二人の話が理解不能だったから首を傾げた。
でも、どうしていきなり俺の余命話に?
冗談だとしても二人とも熱演し過ぎだろ。




