表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/184

邪魔に入る蓮




蓮から衝撃的かつ突拍子もない決意を告げられた日の翌日。

別れてからめっきり大人しくしていたはずの彼だったが、この日を境に驀地(まっしぐら)な行動が波乱を導く事になるとは、この時は思いもしなかった。


キーン コーン カーン コーン……




「じゃあ、今日の授業はここまで」




6時間目終了のチャイム音と共に高梨先生の数学の授業が終わった。


授業中は勉強どころか先生しか目に映らず、うっとりした瞳でラブビームを送りながら心地よい声を身体中で感じている。



実は数学が苦手。

だから、わからない箇所はデートの時にマンツーマンで教えてもらっている。

先生は私の将来を想って一生懸命教えてくれるけど、それでも理解できないからどうしても好きになれない。

だけど、理数系の大学志望が故に受験に数学は欠かせない。




「今日の日直は……えーっと……菊池だな。みんなのノートを集めてから私の所に持って来なさい」


「あっ、ハイ!」




先生が日直当番の私にこう言う時は、だいたい密会デートのメモを渡す時。

だから期待で胸が弾んだ。


ところがノートを集めようと思って席を立った瞬間、蓮は斜め二つ後ろの席からピンとまっすぐに手を上げた。




「センセー!」


「ん……、(ひいらぎ)。どうした?」



「俺もノート運び手伝いまーす」




すっかりメモの事で頭一杯になっていた私達に予想外の展開が……。

しかし、先生はさらりと返答する。




「ノートはそんなに重くないから日直だけで十分だよ」




すかさず断ったが、高梨先生の存在が気に食わない蓮は挑発的な態度に。




「俺がせ~っかく大変な役割を分担しようと思っているのに、そんな簡単に断るの? それとも、先生は菊池と2人きりがいいから俺が邪魔なの?」




蓮が冗談交じりで難癖をつけた。

そのせいで教室中はドッと笑いに包まれる。

だが、笑ってないのは私と先生と蓮の三人だけ。


先生は私達の関係が蓮にバレている事を知らない。

チラッと上目遣いで先生の方を見ると、若干口元が苦笑いをしている。




「柊……。つまらない冗談はやめなさい。手伝おうとしてくれる気持ちは嬉しいよ。だけど、お前だけ特別に成績を上げられないからな」


「はーい」




先生は小学生のように茶化してくる蓮に大人な対応。

どうやら引き下がった模様。

だけど、私は蓮の爆弾がいつ暴発するかと心配している。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ