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一方的な彼



「お前さぁ、本当は高梨と付き合いたかったから、俺と別れたんじゃねーの?」


「いい加減にして。あの時の事をまだ反省してないの? 自分が悪いクセに都合のいいように解釈しないで」




彼が難癖つけてくるから、私もムキになってつい喧嘩腰に。

本当はこれ以上関係を拗らせたくないと思っているのに。




「いま俺がどうしてここにいるかわかる?」


「そんなのわかる訳ないでしょ」



「体育館前でお前を見かけたから話をしようと思ってついて来たの! 少しでも関係改善をする為にな。そしたら見たくないもんまで見ちゃったし」


「バカ! 趣味悪っ。覗き見なんてしないでよ」



「はぁ〜? だから、いま見たくねーって言っただろ!」




私達は荒波のような感情でお互い気持ちをぶつけ合う。


これじゃあ痴話喧嘩と変わらないし、今さら言い争っても意味がないのに。

友達に戻ろうとしていた努力が全て水の泡になる。

だから、この話に終止符を打とうと思った。




「とにかく黙っててね。先生との関係がバレたら、多分退学になっちゃうから」




梓はプイっと向けた背中越しにそう言うと、その場から離れようとして三歩足を進ませた。


……が、次の瞬間。

蓮は大きく手を伸ばして、まるで手錠をかけるかのようにガッシリと梓の手首を掴んだ。




「俺、うっかりしてたわ……」




蓮はこの一瞬で空気を一掃させるような低いトーンで言った。

振り返ると、表情を隠すかのように手首を掴んでいる反対側の手で自身の顔を覆っている。




「お前ならいつかまた俺を許してやり直してくれると思っていたけど。何だろう……、この気持ち。ウズウズすると言うかムカムカすると言うか。許せねぇ……。俺、おまえにいく事にするわ」


「えっ?」



「最近、花音(かのん)に言い寄られてて付き合うかどうか迷っていたけど……。やっぱりやめる。俺、お前とやり直したい」




蓮は手を顔から外すと、別れたあの日のような寂しい目を向けた。

既に気持ちは友達へと移行していたけど、彼自身は気持ちの根詰まりを起こしている。




「何言ってるの? さっき見たんでしょ、私達の関係を。それに、蓮はどうしていつも計画性がないの? 私とはもうとっくに別れたから花音とつきあえばいいじゃん」


「別に花音が好きな訳じゃない」



「ふざけないで! 今さら何? 散々私の気持ちを逆撫でしておいて……。蓮とはもう付き合えないよ」


「……俺、今から高梨に戦線布告してくるわ」



「ねぇ、いま私の話聞いてた? そんな事したら、先生を傷付けちゃうって事くらいわからないの?」


「でも、高梨からお前を返してもらわないと。お前は心がどっか迷子になっちゃっただけだろ。そろそろ俺んとこ帰ってこい」




蓮はいつも一方的。

昔からそう。

計画性がないし、私の気持ちなんてお構いなし。

しかも、強引で馬鹿正直だ。


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