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合格祈願のお守り




元旦に家族で初詣に行った時に、合格祈願のお守りを二つ買った。


一つは自分の分。

もう一つは、謝る時に渡そうと思っていた蓮の分。

お守りはいつでも渡せるように学生カバンの中へ忍ばせておいた。

だけど、関係が悪化してしまったせいで渡せていない。




蓮の向き合う体制が整ってないから、まだ謝れない。

せめてこのお守りだけでも渡したい。

焦る気持ちとは裏腹に試験は目前に。


気付けば大学入試共通テストの3日前。

だから、謝罪も兼ねて学校帰りに彼の家までお守りを渡しに行く事にした。



蓮が私を避けるように急ぎ足で教室を出て行った様子を見ていたので、時間的にはもう家に着いてるはず。

学校から途中まで一緒に帰宅していた紬と別れて、その足で彼の家に向かった。



最近すっかり足が遠退いていたせいか、彼の家までの道筋ですら懐かしい。

大袈裟に言えば、目を閉じたままでも到着できるほど、足が道筋のプログラムを記憶している。




ーーいよいよ、蓮の家の前に到着。

玄関先で一度立ち止まって、下から彼の部屋を見上げた。

連絡も無しに家まで来ちゃったけど、話を聞いてくれるかな。


彼女だった頃はよく出入りしていたけど、今はインターフォンを押す事ですら勇気がいる。

一度大きく息を吸い勇気を振り絞って指に力を入れてインターフォンを押した。


すると、インターフォン越しに出て来たのは仕事を終えて帰宅したばかりの蓮の母親だった。




『はい、どちら様ですか?』


「あっ、あの……。私、梓です」



『あら、梓ちゃん。いらっしゃい。いま扉を開けるから、ちょっと待ってね』




玄関先で数秒待つと、おばさんは愛犬のキャラメルを連れて玄関にやってきた。




「今日はどうしたの? 蓮と約束していたの?」


「あっ、いいえ……。蓮は帰って来ましたか?」



「あの子は帰って来たんだけど、すぐ塾に行っちゃって……。せっかく来てくれたのにごめんね」


「いえ、いいんです。勝手に来ただけですから……」




梓は期待が外れてしゅんと肩を落としていると、暗い表情に気付いた母親はハッとした目で梓の腕を引っ張ってニコリと微笑んだ。




「せっかく来たんだから上がって。蓮の部屋を使っていいから受験勉強して帰りを待つのはどう?」


「でも……」



「今日は帰りが遅くならないはずだから。あまり待つようなら車で家まで送ってあげるから遠慮しないで上がって」


「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて」




こうして、おばさんのご好意で家にお邪魔して、彼の部屋で待たせてもらう事にした。


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