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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
引き離された親子と闇潜む闘技場 フラリア王国編

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牧場の仕事体験です

 

 次の日の朝が来た。

 大きな前掛けを着けたフィーと俺は、ココルと共に現場へと向かう。

 その場所とは、昨日見た小屋の事だ。


「これから何をするんだ?」

「家畜の世話だよ。私の担当がここだからね。」


 激しい動きをすれば、治りかけの足に響くだろう。

 なので、その代わりを俺達がするという事だ。

 早速小屋へと入ると、昨日の女性が迎え入れる。


「あら、昨日のお客さん。どうしたの?」

「私が怪我しちゃってね。サポートをしてもらう事になったんだ。」

「あらそうなの? 怪我は大丈夫?」

「安静にしたら治るって。だから、大丈夫だよ。」


 心配させまいと明るく振る舞うココル。

 それを聞いた女性は心配そうに見るが、直ぐにフィーに向き合う。


「私はここのリーダーを勤めているわ。何かあったらいつでも聞いてね?」

「その時はよろしく頼む。」


にゃー。


 よろしく頼みます。


「ふふっ。いい返事だわ。」


 頭を下げて挨拶をする俺達。

 そんな俺達を笑顔で受け入れた女性は、小屋の中を見渡す。


「見ての通り、ここでは家畜の世話をしているわ。臭いとか大変だと思うけど。」

「命を分けてもらってる身だ。わがままは言わないさ。」

「そう? それは良かったわ。それじゃあ、早速取りかかってもらおうかしら。」

「あぁ、任せてくれ。」

「じゃあ、行くよ。私に着いてきてね。」


 挨拶を済ませると、ココルに連れられて移動する。

 その途中、子供達と挨拶しながら小屋の奥へ。

 そこに集められた藁の束の前で止まる。


「さてと。私は子供達と掃除をするから、フィーさん達は集めた藁とかを運んでね。」

「分かった。」


にゃ。


 分かったよ。


 ココルがスペース毎に分けられた寝床へと入り掃除を始める。

 その間に、藁を運ぼうと持ち上げるが…。


「うわっと。あ…。」


 あ…。


 足を滑らせて、盛大に背中から落ちてしまう。


「ぐえっ。」

「ちょっ、だ、大丈夫!?」

「だ、大丈夫だ。はは。」


 気づいたココルが駆け寄る。

 当の本人は、背中をさすりながら立ち上がる。

 そして、藁を運ぶのを再開する。

 それが終わると…。


「次は搾乳用の容器を持って来て貰うよ。」

「あぁ、今度こそ失敗はせん。」


 ほんとかな?


 絞ったものを入れる容器だ。

 鉄製でかなり重い。

 それをフィーが持った時だった。


「ぐえっ!」

「フィーさん!?」


 再び派手に転んでしまう。

 重たい容器がフィーのお腹へ。

 更には…。


「ぐあっ!」

「フィーさん!?」


 転んで餌が入った袋をひっくり返す。

 更には…。


「ぬあっ!」

「フィーさーーん!?」


 家畜を誘導しようとした時に頭突きで吹き飛ばされる。

 そして最後には…。


「がんばれー。」


 と、子供達に応援されるしまつ。


 お恥ずかしい。


 一緒に手伝う俺も巻き込まれて応援されている。

 そんな羞恥に耐えつつも、作業を進める。

 それらを済ませたフィーと俺は、投げ出されるように地面へ座る。


「くはあっ。牧場の仕事がこんなに大変とは。子供達は、毎日こんな事をしているのか?」

「いや。転ぶ事は全くないんだけどね。」


 うちの相方がポンコツなだけです。

 申し訳ない。


 ついには、ココルまでにも呆れられてしまう。

 ポンコツなせいで転んでばかりのフィーには、大変な作業だっただろう。

 疲れを取る為に休んでいると、食堂から声が聞こえてくる。


「マレーヌさん。手伝える事は?」

「うーん。無いわね。」

「ほ、本当に?」

「えぇ。人手は足りてるわ。」

「そ、そっかぁ。」


 ウィロがマレーヌに協力を申し出ているが断られている。

 実際、他の従業員もいるため困ってはいないだろう。


「なんだか、もどかしいな。」

「でしょ? いっつもあんな感じ。師匠がへたれだから進展しないんだよね。」


 そうなんだね。

 回りくどいアピールばっかだし。


 好きな人にアピールをしたい。

 しかし、積極的に関わる程の勇気がない。

 だから、いつも呆気なくかわされているのだ。


「ココルは、ウィロとマレーヌが交際するのはどう思ってるんだ?」

「してくれるなら勿論嬉しいよ? 師匠には世話になってるしね。でも、ママがどう思うかだからね。」


 ココルとしては、二人に交際して欲しいと思っている。

 しかし、決めるのはマレーヌだ。

 回りがどうこうしていい問題ではない。


「あーあ。師匠がもっと頑張ってくれたらなー。」

「だな。」


 だね。

 後はウィロしだい。

 がんばれ!


 これからどうなるかは、ウィロの勇気にかかっている。

 しかし、当の本人はトボトボと建物から外に出てきたのだった。


「ははっ。邪魔だからって追い出されちゃったよ。」

「うん、見てたよ。相変わらずだね。」

「はあーっ。どうして上手くいかないんだろ。」


 もっとガツンと言った方が良いんじゃない?

 って、出来ないからこうなっている訳だよね。


 がっくりと肩を落とすウィロ。

 ウィロ自身もまた、上手くいかない事に落ち込んでいるようだ。

 その横でフィーへ耳打ちをするココル。


「ね? へたれでしょ?」

「思った以上だな。」

「聞こえてるよ。変な事教えてるんじゃないだろうね?」

「さぁ、どうだかねー。」


 じと目で睨んでくるウィロ。

 それから目を逸らすココルはフィーを見る。


「さ、フィーさん、昼までに終わらせるよ。後、師匠も手伝ってよ。どうせ暇なんでしょ?」

「…なんか、僕の扱い雑じゃない?」


 仕方ないよ。

 ぜひ、自分の胸に手を当てて考えてほしいよ。


 落ち込むウィロを無理矢理立たせたココルに連れられ移動する。

 向かう先は、先程作業していた場所とは違う小屋だ。


「ここにも何かいるのか?」

「うん。馬車用の馬がね。私の仕事は家畜の世話と馬の調教だから。」


 小屋に入った馬を外に連れ出す。

 そして、馬に指示を覚えさせていく。

 そうしていると、いつしか昼が近づいてくる。

 その時だった。


カランカラン。


 牧場全体に、鐘の音が鳴り響く。

 そして、建物の方からマレーヌの声が聞こえてくる。


「皆! お昼ご飯の時間だよ!」


 どうやら、先程のベルの音は食事が出来た合図のようだ。

 それを聞いたココルが、指示を出して馬を止める。


「ご飯だって。急ご!」


 作業を止めた俺達は、食事へと向かうのであった。

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