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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
引き離された親子と闇潜む闘技場 フラリア王国編

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牧場のご飯です

 建物に入った俺達は、食堂らしき場所へと招かれる。

 そこでは、長い机に多くの椅子が並べられている。


「今すぐ作るから待っててね。…えぇと、にゃんすけさんも同じもので大丈夫よね。」

「あぁ。人間と同じものを食べれるから問題ないよ。」

「そう? それじゃあ、皆同じで良いわね。」


 お構い無く。

 何でも食べれますよ。

 猫だけど。


 奥へ引っ込むマレーヌを見送る。

 それから、各自適当な場所に座っていく。


「牧場のご飯か。どんなものだろうな。」

「色々あるよ。お肉を使ったものとか乳製品とか。」

「乳製品? 高級品だと聞いてるが。」

「うん。ここでは、簡単に手に入るからね。」

 

 そうなんだ。

 確かに、保存とか大変そうだしね。


 乳製品となると、保存が難しくなる。

 だから、保存方法がないこの世界では基本的には出回らない。

 その為に、高級品として扱われているのだ。


「直ぐに材料が採れるからね。ここでは、保存がきかない物を使った料理を食べられるんだ。凄いでしょ。」

「これぞ、牧場の強みってやつだね。」

「ほう。それは楽しみだ。」


 料理の種類も豊富そうだね。

 俺も楽しみだよ。


 ウィロとココルの説明に感心する俺達。

 採れたてを直ぐに料理に使える。

 だから、保存方法なんて気にする必要はないのだ。

 そんな話を聞いていると、良い匂いが漂ってくる。


「良い匂いだ。」


 そうだねぇ。

 じゅるり。


「あははっ。よだれが出てるよっ。」

「だとさ、にゃんすけ。」

「フィーさんもだよ?」


にゃ。


 あなたもね。


「おっと。面目ない。」


 慌ててよだれを拭くフィー。

 匂いにつられて、食欲が湧いてくる。

 お腹の方も限界だ。

 我慢して待っていると、マレーヌが現れる。


「お待たせ。時間をかけれないから、簡単な物しか作れなかったけど。」


 マレーヌが手に持つ盆を置いていく。

 最初に置いた大きな盆の上には、沢山の野菜と肉をそのまま焼いた物が乗っている。

 そこからは、ほんのりと焼けたバターのかおりが漂ってくる。

 そして、次に置いた横の長い盆の上には小さめのパンが並べられている。


「ねぇ、もう食べていい?」

「良いわよ。」

「わーい。」


 並べられたパンから一つを取るココル。

 それとは反対の手で、備え付けられた小さなトングのようなものを掴む。

 そのトングのようなものを野菜と肉を掬い上げると、パンに乗せて食べる。


「いい火加減だよ。流石ママ。」

「良かったわ。フィーさん達も食べてね。」

「そうさせて貰うよ。」


 他の者も、同じように食べ始める。

 俺もまたパンを持って、トングで野菜を掬い上げる。

 丁度、野菜と肉が一塊になるよう持ち上がったものをパンに乗せる。


 こんな手でも意外と器用に出来るのよね。

 っと、いただきまーす。


 そのまま一口でパクリと食べる。

 しゃきしゃきとした野菜とバターの味が乗ったお肉がお口の中に広がる。


 程よいバターがお肉と上手くあってるね。

 野菜とパンの食感もそれを補ってる。

 最高だよ。


「どうかしら?」

「うん、美味しいよ。」


にゃ。


 とても美味しいよ。


「だろ? マレーヌさんの料理は美味しいでしょ?」

「何で師匠が誇らしげなのさ。美味しいのは事実だけど。」


 全くだよ。

 アピールは欠かさないね。


「私の料理っていったって、ただ焼いただけよ。本当なら、もっと凝ったものを作れたのに。」


 呆れつつも、パンを頬張るマレーヌ。

 そう言いつつも、満足そうにしている。

 料理の出来映えに、自身でも納得しているようだ。


「んー、でもそうねぇ。折角だから、明日は本格的なものを作っちゃおうかしら。」

「本当? じゃあ、デザートも!」

「デザートか、いいね。」

「はいはい。作ってあげるわよ。」

「わーい!」

「マレーヌさんのデザート、久しぶりに食べるよ。」


 喜ぶココルとウィロ。

 そんな二人を、マレーヌが微笑んで見ている。

 その姿はまるで…。


「本当の家族みたいだな。」


にゃ。


 ほんとだね。


 その姿は、まるで本物の家族そのものだ。

 ずっと、こうしてきたかのように馴染んでいる。

 その光景を、眺め続ける俺達。


「いい? その代わり、しっかり働くように。」

「分かってるって。って、いたたっ。」


 遠くのパンを取ろうと、立ち上がったココルの足に痛みが走る。

 まだ、足の痛みが引いてはいないようだ。

 そんなココルを、マレーヌが支える。


「ちょっと、大丈夫?」

「大丈夫だよ。ちょっと痛むだけ。」


 ちょっとに見えないけどね。

 心配。


 ちょっとのわりには動くだけで痛そうにしている。

 どうやら、長引いているようだ。

 ココルの足の様子を見るウィロ。


「薬を塗ったから明日には治ってるだろうけど、この調子じゃ様子を見た方が良さそうだね。明日は休んだ方が良いかもね。」

「大丈夫だって。これぐらい平気だよ。」

「大丈夫って。」


 マレーヌが心配そうにココルを見ている。

 治ると言っても、心配になるのは仕方がない。


「では、私がサポートしよう。」

「え?」


 サポート?

 どういう事?


 提案したフィーを一同が見る。

 思いがけぬ言葉に驚いている。


「牧場を手伝うって事?」

「どうせ私も世話になるんだ。それぐらいはやるべきだろう。」

「でも、お客さんを手伝わせるなんて。」


 フィーは牧場のお客さんだ。

 そのような人に手伝わさせるのは心が痛む。


「でも、ココルをこのまま働かせるのは心配だろう?」

「それはそうだけど。牧場の仕事は大変よ?」

「力には自信がある。任せてくれ。な? にゃんすけ。」


 にゃ。


 俺は別に良いけど。

 でも、どこから出てるんだろうね。その自信。


 牧場の仕事は、簡単な気持ちで出来る程の物じゃない。

 それでも、フィーは自信満々な顔をしている。


「どうしようかしら。」

「僕は良いと思うよ。ココルはここのベテランだしね。」

「うーん、そういう事なら任せちゃおうかしら。」

「あぁ、任せてくれ。」


にゃ。


 俺も頑張るよ。

 世話になるだけなのは申し訳ないし。


 俺もまた、世話になるだけなのはと思っていたところだ。

 牧場の作業は大変だとしても、サポートなら何とかなるだろう。

 そんな事で、俺達の牧場体験が始まるのだった。


「そうと決まれば、今日はもう休んで頂戴。フィーさん、早速だけどお願いするわね。」


 いつしか、辺りは暗くなっていた。

 建物の案内を受けた後、寝る準備をする。

 そして、ココルの足の大事をとって今日は休む事となった。

 沢山ある部屋のうち、ココルと同室の部屋に入る。


「明日はよろしくね。」

「あぁ、よろしく。」


にゃ。


 よろしくね。


 そう挨拶を交わして、就寝につく。


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