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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
呪われた村と堕ちた聖獣 フラリア王国編

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その剣は振れません

「ほんと、びびったぜ。じいちゃん師匠はいねぇし、変なのは彷徨いてるしよう。」

「ね。しかも、皆がこの変に明るい場所に集まるんだもん。」

「何かがあると思うのは当然だろう。」


 ドーセン達が元村人達を斬っていく。

 元の正体を知らないからか容赦がない。


「それに、フィーさんとにゃんすけまでいないんだもん。」

「リアと一緒に探しました。」

「そうか。それは、すまなかった。」


 ごめんね。

 迷惑かけちゃったかな。


 ここで何かが起きてると、駆けつけてくれたようだ。

 しかも、圧倒的な戦力の差を覆していく。


「来てしまったものは仕方ない。嬢ちゃん達、ワシらも腹を括ろうぞ。」

「だな。もう一押し、いってみようか。」


にゃん。


 そうだね。

 気合いを込めて一本集中だよ。


 俺達もまた、立ち上がって駆け出す。

 目指すはドクロの蜘蛛。

 しかし、三人の守る者達が現れる。


「ぐぅ、しつこいのう。」


 斬っても斬っても立ち上がる。

 相手をしようと剣を構えた時だった。


「ここは俺達が!」

「だから、早く!」

「そうじゃな、任せたぞ。」


 同期達が、それらが持つ鎌を押さえ込む。

 その間に、ドクロの蜘蛛へと向かう。


「邪魔をする者は、もういないようじゃな。一気に叩み掛けるぞっ。」

「任せろっ!」


 ドクロの蜘蛛に迫ると、相手が高く跳ぶ。

 そして、こちらに向けて降ってくる。


「潰しに来る気じゃ!」


にゃっ。


 じゃあ、ぶっ飛ばせば良いじゃん。

 おらっ、圧縮玉っ。


 力を圧縮した物を、ドクロの蜘蛛にぶつける。

 すると、落ちる直前に奥へと吹き飛んだ。


「いいぞっ! このまま押し込めっ。」


 そのまま駆けると、縦に落ちた相手に剣を叩き込む。

 それでも、相手は後ろ足で踏ん張っている。


「やはり、足がある内は厳しいか。」

「では、また勢いを利用して転ばすか?」

「いや、あやつもそこまで馬鹿じゃないじゃろう。」


 相手にだって知能はある。

 ならば、先程の戦い方をしても対処をされるだろう。


「ならば、足を落とすか。」

「じゃな。」


 対処をされるなら、させないようにすれば良い。

 つまり、それを行う為の足を切り落とせば良いのだ。


「にゃんすけっ。こいつを押さえろっ!」


にゃん!


 任されたっ!


 地面、前足のつけね、胴の横へのポイントダッシュ。

 しかし、相手に耐えられる。

 でも、それで抑えられるなら問題なし。


「今のうちじゃっ!」


 その隙に、二人が反対方向の後ろ足へと向かう。

 そして、一番踏ん張っている足に剣を合わせて叩きつける。

 すると、その足が吹き飛んだ。


「次じゃっ!」


にゃん!


 任せて!

 もう一度っ。


 片方の後ろ足を失った事により、相手は後ろに傾いている。

 となれば、その方向の足に力が入っているだろう。

 一度離れた俺が、ポイントダッシュエアで宙を蹴って上から押しつける。


「よい判断じゃ。まとめて二本いくぞ!」

「あぁ!」


 まずは、真ん中の一本を切り落とす。

 そして、そのまま駆けて前足をも切り落とす。

 すると、ドクロの蜘蛛が横に倒れる。


「よしっ、これなら返す必要もないじゃろっ。あやつの腹を突き刺すぞ!」

「あぁ、合わせるっ!」


 完全に落ちた胴体を剣で刺しても、力は後ろに流れない。

 なので、ひっくり返さずとも全ての力を押し込めるだろう。

 二人が相手のお腹に回り込んだ時だった。


「ぬっ!」

「なっ!」


 ドクロの蜘蛛のお腹から噴出した、黒い聖火が二人を襲う。


「ぬうっ、近づけんわい。」

「まさか、ここでっ。」


 二人が顔を腕で守りながら耐えている。

 その黒い聖火が二人を近づけさせない。


「くそっ。もう少し、なのにのう。」

「いや、まだ方法はあるっ。にゃんすけ!」


にゃん!


 了解!

 聖火といえばあれだよねっ。


 お面になってフィーの下へと飛んでいく。

 そして、それを被ったフィーが剣先から紫の聖火を噴出させる。


「嬢ちゃん、それはっ。」

「話は後だっ。私の後ろへ!」


 頷いたヴァグナーが、フィーの後ろに回り込む。

 それと同時に、フィーが聖火の火力を上げる。


「一瞬だっ! 払うと同時に攻める!」

「うむっ。いつでもよいぞ!」


 フィーが更に聖火の火力を増やす。

 そして、剣を振り切って黒い聖火を払いきる。


「今だっ!」


 それと同時に、二人が前に踏み出す。

 邪魔をするものはもう何もない。


「これでっ。」

「終いじゃっ!」


 ドクロの蜘蛛のお腹へと一瞬で距離を詰める。

 そして、踏み出した勢いのまま二人は剣を突き刺した。

 すると、相手は動きを止める。


「終わった・・・か。」

「そうじゃな。」


 ドクロの蜘蛛の体から、紫と黒の聖火が血のように吹き出ている。

 そして、ピクリとも動こうとしない。

 どうやら、倒す事が出来たようだ。


「こっちは倒したぞ!」

「私達も、これでっ!」


 ドクロの蜘蛛を倒したのとほぼ同じ時だった

 同期達も、宙を舞う大きい二体の守る者の首を跳ねる。


「後はドーセンだけよ。やっちゃえっ。」

「あぁ、任せなっ!」


 後は、ドーセンが戦う小さいのだけだ。

 ドーセンもまた、守る者を倒すために剣を首に向かって振るが。


「っ!」


 その寸前で、剣が止まってしまう。

 

「ちょっ、ドーセン。なにやってんのっ!」

「首を跳ねるだけだっ。」

「ぐっ、分かってるよっ!」


 剣で斬り飛ばしたドーセンが、相手の首に剣を突きだす。

 しかし、当たる直前で剣が止まる。

 代わりに、ドーセンの腕が切られてしまう。


「ちょっと、どうしたんだよっ。」

「分かんねぇ。分かんねぇけど。」


 血が流れる腕を手で押さえる。

 それでも、迫る鎌を弾いて首を狙うが。


「・・・無理だっ。」


 どうしても、斬る事が出来ない。

 それだけでなく、ドーセンの目から涙がこぼれだす。


「俺はっ、こいつを斬れねぇ!」

「なっ!」


 ついには、剣を持つ手が震えだす。

 どうやら、ドーセンに何かが起こっているようだ。


「ならば、俺がっ。」

「あたしもいくわっ!」


 エイスとリアが、ドーセンの代わりに剣を振る。

 それでも、二人の剣までもが止まってしまう。


「何だとっ。」

「何でっ。」


 二人までもが、ドーセンと同じ事になってしまう。

 涙こそ流れなくとも、手が震えている。


「二人まで?」

「どうしたの、三人ともっ。」

「分からん。だが。」

「この人は、斬れない。」


 ドーセンだけでなく、他の二人でも斬れない。

 斬れる訳がない。


「やはり、無理じゃったか。」

「どういう事だ?」

「記憶は無くとも体が覚えておる。そういう事じゃろう。」


 ドーセン達には、この家族達の記憶はない。

 しかし、共にいた時間が体に植え付けたのだろう。

 戦ってはいけない相手だという事を。


「だから、連れて来たくは無かったんじゃ。」


 全ては、この時を危惧しての事のようだ。

 こうなる事を知っていたのだろう。

 それでも、相手は関係なしに斬ってくる。


「くそうっ!」


 鎌が当たる直前に、ドーセンが何とか防ぐ。

 それでも、それが精一杯なのだろう。


「仕方ないっ。ワシが斬るぞっ。」

「待てよ、じっちゃん。俺が斬る。俺が斬らなきゃなんだ。」

「言っとる場合かっ。斬れぬくせに!」


 どれだけ斬ろうとしても、その剣は止まってしまう。

 それでもドーセンは譲れない。


「分かってる。分かってるよ。でも、俺が斬らなきゃ駄目なんだっ!」


 ドーセンが鎌を払って剣を振る。

 動かぬ手を無理矢理に動かす。

 その時だった。


ちりーん。


 辺りに鈴の音が響いた。


「鈴の音っ。」


 その音に気づいた直後、黄色い聖火が地面を走る。


「この聖火は、まさかっ。」


 ヴァグナーが言っていた聖獣の黄色い聖火だ。

 その濁りの無い聖火が、ドーセンと守る者を離す。


ちりーん。


 再び鈴の音が聞こえる。

 その直後、戦場の真ん中に誰かがゆっくりと着地した。

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