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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
呪われた村と堕ちた聖獣 フラリア王国編

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稽古を受けました

「んじゃ、木刀を取ってくるぜ。」

「うむ。ついでに眠気を取っておけ。」

「分かった。あまりきつくしてやるなよ。」


 そう言い残し、ドーセンが建物へと向かう。

 それを見送ると、フィーの前にウァグナーが立つ。


「では、始めるぞ。最初は、お主の剣で素振りじゃ。剣を抜け。」

「分かった。よろしく頼む。」


 ウァグナーに言われて、フィーが剣を抜く。

 その剣を構えると、ウァグナーも構える。


「ワシの剣は、足と腰で打つ。このようになっ。」


 ウァグナーが前足を踏み込み剣を振る。

 すると、地面の土が上がり剣圧で舞い散る。


 凄い。

 素振りをしただけなのに。


「やってみろ。」

「あぁ、分かったっ。」


 フィーが同じように剣を振る。

 しかし、同じようにはいかない。


「駄目じゃ。それでは、地面を叩いてるだけじゃよ。しっかりと踏み込むんじゃ。」

「こうか?」


 フィーが再び剣を振る。

 しかし、何も起こらない。


 うん、さっきと同じだね。


「先程、鍬を振ったはずじゃろ。それを思い出せ。」

「なるほど。あんな風にかっ。」


 鍬を振った時を思い出しながら、フィーが剣を振る。

 今度は、体勢がおかしくなっている。


「なんか、動きが上手くいかないな。」

「いや、それでいい。言ったじゃろ、足と腰で打つと。今はとにかく、そこに集中して剣を振るんじゃ。」


 頷いたフィーは、先程のように剣を振る。

 不格好だが、ウァグナーから見ればそれでいいらしい。


「いいよ、フィーさん。頑張ってね。」

「はい。その調子です。」

「ありがとう。しかし、出来ているようには、見えないがっ。」


 見えないよね。

 どうみても。


「大丈夫、そのうち分かるよ。」

「あぁ、それが後々活きてくる。」


 同期の四人が、フィーを応援している。

 同期達から見ても、しっかりと出来ているらしい。

 それを繰り返していると、ドーセンが戻ってくる。


「ほいよ、持ってきたぜ。フィーの進捗はどうだ?」

「中々じゃな。ただ、剣の振りはおかしいがのう。」

「え?」


 あ、やっぱりおかしいんだ。

 そんなもんかと思っちゃったよ。


「おかしいのう。最初見た時は、しっかりと振れておったんじゃが。」

「そう言われてもな、私は常に全力で振っている。」


 相変わらずなんだね。

 ほんと、よく分かんないよ。


 それからも、しばらく振り続ける。

 しかし、剣の振りはよくならない。

 その代わり、地面を叩くような足の動きはもうしない。


「もうよいじゃろ。ほれ、ドーセン。木刀を二本頼むぞ。」

「お、早いな。もう良いんだな?」

「うむ。しっかりと踏めている。次に行ってもいいじゃろ。」


 ドーセンが、フィーとウァグナーに木刀を渡す。

 すると、ウァグナーが数歩離れて剣を構える。


「ほれ、そっから突いてこい。」

「いや、届かないが。」

「動いても良いぞ。ただし、動いたら一秒以内に突け。」

「一秒以内か。はっ!」


 フィーが前に出て木刀を突く。

 その時間は、しっかりと一秒以内だ。

 しかし、ウァグナーまでは届いていない。


 駄目か。

 全然、届いてないよ。


「ふむ、剣の振りは良くなったか。不思議じゃなぁ。でも、足の踏み込みはまだまだか。」

「流石に遠すぎないか? 俺達の時は、もう少し近かったろ。」


 ドーセンの時よりかは厳しめのようだ。

 しかし、ウァグナーは横に首を振る。


「いや、これでいい。どれ、ドーセン。手本を見せてやれ。」

「おう、任せな。」


 フィーが退くと、ドーセンが入る。

 そして、呼吸を整えると前に踏み出す。

 すると、勢いよく前に出てウァグナーの木刀を突く。


「ほう。凄いじゃないか。」

「まあな。大事なのは足と腰だ。忘れては駄目だぜ。」


 足と腰で打つのは、基礎中の基礎だ。

 ただ、剣を振っても意味がない。

 再びフィーが立つと、足と腰に力を入れる。


「足と腰か。行くぞっ!」


 再び、フィーが前に踏み出した。

 しかし、それでも届かない。


「力の入れすぎじゃっ。入れれば良いものじゃないぞ。」

「フィーさん、思い出して。足で踏み込む。叩いちゃ駄目だよ。」

「そうだったな。」


 先程の素振りと同じなのだ。

 地面を叩くのではなく踏み込む。


 頑張れ。

 フィーなら出来るよ。


「思い出せ。しっかりと、踏み込むっ!」


 素振りを思い出しながら、フィーが前へと踏み出した。

 すると、今度はウァグナーの木刀を突くことが出来た。


「うむ、合格じゃ。」

「マジかよ。」

「凄いわね。あんな数回で。」

「あぁ、やるじゃないか。」


 ほんとだね。

 凄かったよ。


「ほっほっ。興味深いのう。本当はもっと見てみたがったが、次で最後の稽古じゃ。」

「良いのかよ、まだ教える事あるだろ。」

「簡易的なテスト・・・いや、稽古じゃからな。これで最後じゃ。」


 この稽古は、フィーに任せられるかを確かめるテストだ。

 だから、全てを教える必要はない。

 今度は、ウァグナーがフィーの届く範囲に立つ。


「最後の稽古。それは、追撃じゃ。今教えたのは、一撃必殺の技。しかし、それを防がれては意味がない。ならば、相手の動きを奪ってから一撃を与えればよい。」


 必ずしも、こちらの攻撃が当たる訳ではない。

 なので、先に相手の動きを止めてからこちらの攻撃が当たるようにすればいい。


「しかし、その為の初段の後には必ず止まる。そうなれば、追撃なんて出来はしない。なので、よりいっそうの踏ん張りがないと繋げられん。」


 力を込めた一撃の後は、必ず動きが止まる。

 ならば、踏み込んで無理にでも動かせばいい。


「了解した。それで、私はどうすればいい?」

「ワシがお前さんに斬りかかる。それを突きで弾け。そして、そこから前へ跳んで叩き込め。さ、剣を構えるのじゃ。」


 ウァグナーとフィーが木刀を構える。

 すると、ウァグナーが先に斬りかかる。


「はっ。」

「そこっ。」


 フィーがウァグナーの木刀を突き飛ばす。

 そして、そこから高く跳ぶ。


「そこだっ!」


 そして、ウァグナーを目掛けて木刀を振る。

 しかし、それは体勢を直したウァグナーに防がれる。

 木刀と木刀が打ち合う音が、辺りに響く。


「おっ。」


 その光景に、同期の五人が歓声を上げた。

 しかし、攻撃は防がれている。


「くそっ、防がれたか。」

「いや、合格じゃ。」

「えっ。」


 えっ。

 防がれたのに?


 ウァグナーが痛そうに手を振る。

 間違いなく、その一撃は相手に与えたようだ。

 しかし、目的は違うはずだ。


「私の攻撃は当たっていないぞ?」

「上に跳んだら斬るまでの時間が延びるからのう。上の技にはあるにはあるが、嬢ちゃんにはまだ早い。しかし、追撃は出来た。後は、踏み込みの練習をすればいけるじゃろう。」


 この稽古の目的は、追撃の為の踏み込みだ。

 それさえ出来れば良かったのだろう。


「ならば、私は・・・。」

「合格じゃ。これにより、お前を一流の剣士として認めよう。」

「そうか。ありがとうございました。」


 フィーがウァグナーに向けて頭を下げる。

 すると、同期の五人がフィーの周りに集まる。


「やった、やったよ!」


 リアがフィーに抱きついた。

 嬉しそうに笑っている。


「おめでとう、フィーさん!」

「初級とは言っても、こんな短時間で合格するなんてね。」

「良く出来ていたぞ。」

「はい。私でも一月は掛かりましたから。」

「まぁ、小さかったからってのもあるからな。でも、おめでとさん。」


 同期の五人がフィーの合格を喜んでくれている。

 そんな姿を、ウァグナーもまた嬉しそうに見ている。

 昔を懐かしむように。

 しかし、直ぐに師匠の顔つきに変わる。


「まだ喜ぶのは早いぞ。言ったじゃろ、まだ踏み込みが浅いと。今から、突きの練習じゃ。お前達、付きおうてやれ。」

「だな。フィーが早く習得出来るように、協力してやろうぜ。」

「「「「おーーっ!」」」」


 同期の五人もまた、それぞれが木刀を持つ。

 そして、フィーの周りに集まる。

 まだ、習得は出来ていない。

 夜に間に合うようにと、フィーが剣を構える。

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