調査の結果です
「とんだ悪夢だったな。」
にゃん。
そうだね。
趣味が悪いよね。
「ん? ちょっと待て。にゃんすけも同じ夢を見たのか? 村が襲われる夢。」
にゃん。
うん、見たよ。
でかい蜘蛛が暴れた夢。
あまりにも酷い悪夢。
俺とフィーは、くしくも同じ夢を見たようだ。
俺が頷くと、フィーが悩み出す。
「同じ夢を見る事なんてあるのか? いや、実際見たわけだからなぁ。」
そういえばだね。
そんな事、ほんとにあるの?
どれだけ考えても答えは出ない。
少なくとも、同じ悪夢を見たという事だけが事実だ。
それ以外は、証明をしようがない。
そう悩んでいると、横から布が擦れる音がする。
「んな? もう朝?」
「朝・・・だな。日は上がった所だと思う。」
「うーん。分かったぁ。」
外を見れば、外は少し明るい。
夢のような炎の明るさではない。
それを聞いたリアは、目を擦りながら上体を起こす。
「早いね。フィーさん。」
「いつもだからな。もしかして、起こしたか?」
「ううん。昨日は早く寝たからね。その分、早く起きただけだよ。」
思えば、起きてから普通に声を出していた。
しかし、そのせいで起きたわけではないようだ。
そんな話をしていると、ナンシーも起きてくる。
「んー? あれ、二人とも起きたの?」
「起きたよー。ナンシーが最後だよ。」
「そうなんだ。ふぁーっ。」
ナンシーが欠伸をしながら上体を起こす。
しかし、まだ眠そうだ。
起きてもなお、目を瞑っている。
「そういえば、ナンシーって朝が弱かったよね。」
「リアが早いだけだよ。」
「そうかな。でも、フィーさんとにゃんすけちゃんの方が早かったけどね。」
「いや、にゃんすけは偶然だ。普段はもっと遅いぞ。」
「そうなの?」
にゃん。
どうも、寝坊助です。
朝に弱いです。
猫なのに。
今回は、悪夢のせいで早く起きただけ。
それほどの、強烈な悪夢だったという事だ。
「慣れない場所で寝つけなかったのかな?」
「確かに、私もちゃんと寝れなかったから。」
「それなら、リアが上に乗っかってたからだな。」
「・・・。リア?」
「あぁ、うん。よし、起きる準備をしよう。」
ナンシーが、じっとリアを見る。
すると、誤魔化すようにリアが起き上がる。
「逃げたな。」
「逃げましたね。」
うん、逃げたね。
でも、微笑ましいね。
とにもかくも、リアに続いて朝の準備をする。
そして、昨日と同じくリアの母親のご飯を食べる。
「朝だから少なめだけど良い?」
「構わない。ありがたくいただこう。」
献立は、相変わらず野菜が中心だ。
しかし、昨日よりもお肉が多い。
「このお肉って、私達が昨日取ったやつ?」
「そうよ。今日の朝早くに届けられたの。」
「ほう。もう配っているのか。」
「まぁ、腐るといけないからね。」
保存しておくのは無理なんだろうね。
お肉好きだから良いけど。
村なので、お肉を新鮮に残しておく技術がないのだろう。
だから、なるべく早くにと配ったのだろう。
「そうそう。お肉と言えば、森の様子の事も見なくちゃね。」
「森が荒れてないか調べるんだな?」
「はい。フィーさん、にゃんすけさん。帰れると良いですね。」
「そうだな。」
少し、寂しいけどね。
仲良くなり始めた訳だし。
元々この村に留まっているのは、肉食の獣が荒れているからだ。
つまり、それが収まり次第この村とはお別れだ。
「あーあ。もう、いなくなっちゃうんだなぁ。」
「まぁ、無事収まったらの話だがな。」
だよね。
収まってないと村から出れないしね。
結局のところ、森の様子にかかっている。
お別れするのかしないのかは、まだ分からない。
「ふふっ。出れなかった時は、また美味しいご飯を作ってあげるからね。安心して、帰ってきなさい。」
「あぁ。その時は、またお世話になるよ。」
にゃん。
お世話になります。
これで、どんな結果になっても安泰だね。
そんな話をしながらも、食事を進める。
そして、食事を終えると外へと出る。
早速、森の外の調査に向かうのだろう。
「こっちこっち。目的地は村の門だよ。」
「焦っちゃ駄目だよ。さ、二人とも行きましょう?」
「分かった。行こう。」
にゃー。
行こー。
さて、どうなるやら。
リアを先頭に、村の門へと向かう。
そこに近づくと、誰かがいるのが見えてくる。
男性陣とウァグナーが先に来ていたようだ。
「お待たせー。」
「おっす。来たな。」
「これから入るの?」
「そうだ。」
すぐに、森へと向かうようだ。
俺とフィーが、村をすぐに出れるようにとだろう。
ドーセンなりの思いやりだ。
「私達のためにすまないな。では、行こうか。」
「いや、あんたらは残っておいてくれ。」
「ん? 何故だ?」
「森に入るには連携が必要だからな。悪いが足手まといだ。」
森の中では、相手に見つからないようにする必要がある。
なので、息の合った動きが必要なのだろう。
「なるほど、その通りだ。なら、ここで待っていよう。」
にゃん。
仕方ないね。
待ってるよ。
「すまねぇ、なるべく早く調べるからよ。じっちゃん、行こうぜ。」
「いや、ワシも残る。腰が痛くてな。」
「そうか。じゃあ、しゃあねぇな。んじゃ、一緒に待っててくれ。行こうぜ、皆。」
ドーセンを先頭に、同期の五人が森へと入っていく。
残されたのは、俺とフィーとウァグナーだけだ。
「出れると良いな。嬢ちゃん達。」
「そうだな。出れると願っているよ。」
ウァグナーは、俺達の心配をしてくれている。
昨晩の取り乱していた姿はそこにはない。
「なぁ、夜の事だが。」
「っ! ・・・夜か? すまないが、熟睡していてのう。何かあったのか?」
「いや、何でもない。気にしないでくれ。」
知らないんだ。
その割には、動揺していたように見えたけど。
気のせいか。
今は、朝も早い。
なので、寝ぼけているだけだろう。
そう判断して、同期の五人の帰りを待つ。
それから、少しの時間が経った。
「おーい。」
森の方から声が聞こえてくる。
調査を終えて帰って来たようだ。
「お、戻って来たようじゃの。」
「らしいが、随分と急いでるな。」
みたいだね。
何かあったのかな。
五人は走って戻って来ている。
どうやら、急いでいるようだ。




