表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
呪われた村と堕ちた聖獣 フラリア王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/319

食事会をしました

 そのまま歩くとリアの家に到着した。

 村長と同じような、至って普通の家だ。

 リアが扉を開ける。


「ただいまー。さ、入って入って。」

「あぁ、お邪魔しよう。」


にゃん。


 お邪魔します。


 リアに促されたので家の中へと入る。

 そして、家の奥へ向かうリアに着いていく。

 その奥の部屋には、一人の女性がいた。


「おかあさん。ただいまー。」

「お帰り、リア。」


 その声に、台所に立っていた女性が後ろを向いた。

 この人が、リアの母親なのだろう。

 すると、リアの後ろにいる俺とフィーに気づく。


「あれ、お客さん?」

「そう。村の外から来た人。この家に泊めてあげたいんだけど。」

「私は良いんだけど、この家狭いけど大丈夫?」

「あぁ、フィーとにゃんすけだ。お世話になる。」


にゃ。


 お世話になります。

 狭いのは好きだよ。

 猫なので。


「良かったわ。私はリアの母親よ。よろしくね。」

「いつまでになるか分からないがよろしく頼む。」


 いつ肉食が落ち着くのかは分からない。

 しかし、泊まる場所は確保できたので安心だろう。


「あぁ、ナンシーも泊まるからね。」

「そうなの? じゃあ、足りない布団の出してくるわ。」

「お願いね。」


 リアの母親が、どこかへと向かった。

 俺とフィーを泊める準備に向かったのだろう。

 代わりに、リアが台所に立つ。


「じゃあ、早速昼ごはん作るね。」

「何を作るんだ?」

「パンだよ。って言っても、お粗末なやつだけど。」


 材料がないので、きちんとしたパンは出来ないのだ。

 リアが粉が入った袋を取り出した。

 一から作るのだろう。

 早速、ボールに粉と卵と牛乳を入れ始める。

 すると、フィーがリアの横に並ぶ。


「どれ、私も手伝おうか。」

「え、いいのに。フィーさんとにゃんすけちゃんは休んでていいよ?」

「いや、見ているだけではいけかない。手伝わしてくれ。」


にゃん。


 俺も手伝うよ。

 やった事あるから大丈夫。


「にゃんすけちゃんも? じゃあ、お願いするわね。」

「あぁ、任せてくれ。」


にゃ!


 腕の見せ所だね。

 やっちゃうよ!


 水で手を洗ってお手伝い。

 俺とフィーとリアでこね始める。

 パンの生地は、大きいからこねやすい。


「二人ともしっかりとこねてね。」

「任せろ、得意だ。」


にゃん。


 何度もこねたもんね。

 今でも覚えてるよ。


 それは、かつて団子を皆でこねた時の事だ。

 その時の記憶が、こねている手を動かす。

 そうしてこねていると、扉が開いた音がした。


「リア、来たよ。野菜も持ってきた。」

「ありがとう。先に始めてるよ。」

「分かった。私もやるよ。」


 どうやら、ナンシーが合流したようだ。

 野菜が入った籠を持っている。

 それを台に置くと、水で手を洗う。


「パンはやってるみたいだから野菜切るね。」

「分かった。調味料ある?」

「うん、入ってるよ。」

「じゃあ、潰しておいて。どうせ、お肉を乗せるだろうし。」

「やっておくね。」


 ナンシーが、自身が持ってきた野菜を取り出す。

 そして、台に乗せて切っていく。

 一方リアも、こねたパンを千切って丸める。

 二人とも、手慣れた手つきだ。


「二人とも手慣れているな。」

「まぁね。お母さんに、作り方を教えて貰ったし。」

「え? 私教えて無いわよ?」

「え、そうだっけ。」


 戻って来ていたリアの母親が否定した。

 それに対して、リアが頭を横に傾げる。


「あれ、そうだっけ。」

「そうよ。私、教えた覚え無いわよ。」

「おかしいわね。確かに、教えて貰ったはずなのに。ナンシーも一緒だったよね?」

「うん。確かに、・・・あれ?」


 ナンシーが言葉に詰まる。

 どうやら、思い出す事が出来ないようだ。

 上を見上げて固まってしまう。


「まぁ、いいや。続き続き。二人とも、こね終わったら私と同じようにしてね。」

「了解した。丸めて伸ばせば良いんだな。」


 なるほど。

 やってみよう。


 まずは、大きな団子を作る。

 それを転がして、棒状に伸ばしていく。


「本当は、膨らませる物も混ぜて置いておくんだけどね。あいにく、この村には無いんだよね。いつかふっくらしたパンも食べてみたいなぁ。」


 イースト菌だね。

 まぁ、こんな村じゃあ手に入りようがないか。


 交通手段もない村では、手に入る材料も限られる。

 そうなると、満足のいく物は諦めるしかないのだ。

 そう言いながらも、リアが二つ目の生地をこねだした。


「随分と作るな。」

「男性陣の分もあるからね。この後、持ち寄った料理で食事をするの。」

「そうか。一緒に食べるんだな。」

「はい。いつの間にか、恒例になっているんですよね。」

「ほんと、いつの間にかね。長い付き合いだから忘れたけど。」


 付き合いが長いと、一緒に活動する事も増えるのも仕方ない。

 そうして、毎日を過ごしているのだろう。


「火の準備できたわ。」

「ありがとう、お母さん。よし、焼くよ。二人とも並べて。」

「分かった。リアの横に並べれば良いんだな。」


 リアの母親がかまどの準備をしていてくれたのだ。

 早速、鉄の板の上に丸めたパンの生地を並べていく。


「それじゃあ、入れるよ。」

「いつでもどうぞ。」


 かまどにパンを入れて焼いていく。

 それから、しばらく経ってから取り出す。

 やはり、パンというには不格好だ。


 でも、良い匂い。

 良い焼き加減だね。


 出来たパンとナンシーが切った野菜を籠に入れる。

 そうして、食事の準備は出来た。

 リアが籠を持って出口に向かう。


「じゃあ、行ってくるね。」

「ちょっと待って、はい。」


 家から出ようとした時だった。

 リアの母親が呼び止める。

 そして、一本の瓶を渡してくる。


「あ、野菜スープ。」

「沢山作ったから持っていきなさい。」

「ありがよう。皆も喜ぶよ。」

「はい。おばさまのスープ美味しいですから。」

「ありがとう。そう言って貰えると、作ったかいがあるわ。」


 スープも良い匂い。

 なんのスープだろう。


 ナンシーが瓶を受け取ると、今度こそ歩きだす。

 しかし、先程とは違う場所だ。


「あれ、何処に向かってるんだ?」

「待ち合わせの場所だよ。すぐ近くだから。」


 歩き出してしばらくの事だ。

 大きい囲いの家が見えてきた。

 広い敷地のある建物のようだ。


「あそこだよ。」

「随分と大きいな。誰の家なんだ?」

「さぁ、それが分からないの。変でしょ。」


 村人なのに?

 不思議だね。


「私も聞いた事がありますが、誰も住んでいないそうです。」

「しかしこの大きさ、普通の村人のではないだろう?」

「そうなんですが、お年寄りの方すら分からないそうです。」


 誰も知らない不思議な建物。

 年寄りすら分からないなんてあるのだろうか。

 しかし、間違いなくここに建っている。


「つまり、誰も使って無いのか?」

「そ、だから、剣の訓練に使わせて貰ってるの。」


 訓練所って奴だね。

 確かに、訓練にはもってこいな広さだ。


「でも、ここにいると心が温かく感じるんです。」

「あ、それ、分かる。ずっといたいっていうか。なんなんだろうね。」

「そうか。本当に不思議だな。」

「ね、不思議でしょ?」


 不思議だね。

 思い入れがある訳でも無さそうなのに。


 空いているから使っているだけだ。

 しかし、心を動かす何かがこの建物にはあるのだろう。

 そうして建物に近づく度に、話し声が聞こえてくる。

 

「もう来てるわね。急ぎましょう。」


 歩く速度を上げて、囲いの門を潜る。

 すると、建物の軒先で男性陣が話をしていた。

 しかし、ウァグナーはいない。

 その中の一人が、入って来た俺達に気づく。


「あ、やっと来た。こっちだこっち。」

「ごめんごめん。あれ、師匠は?」

「仕事で家に帰ったよ。さぁ、食おうぜ。食材がたんまり入ったからよ。」


 男性陣の横には、束ねられた肉の塊が置いてある。

 そしてその横には、肉を焼くであろう道具が用意されている。


「さて、焼くぞ。並べていってくれ。」

「はいー。」


 ドーセンが、地面にくべた木に火をつける。

 そして、その上にある台の網に野菜や肉を乗せていく。


「ドーセン、まだか?」

「おう、良いぜ。適当にパンに乗せて食ってくれ。」

「はい。これ、パンね。」

「野菜スープもありますから。」

「お、ありがてぇ。」


 リアからパンを受け取った者から乗せていく。

 その際、何か黒い粉のような物を振りかける。

 それを俺が見ていると、ナンシーがパンを持ってきた。


「はい。にゃんすけさん。」


にゃん。


 ありがとーございます。

 では、まずは一口。

 ん? 胡椒っぽい。


 降りかけられた粉から胡椒のような味がする。

 それが、肉の味を引き立てている。


「この上の粉はなんだ?」

「あ、それ初めて? 美味しいでしょ。」

「あぁ、塩とは違った辛さだな。」


 だよね。

 この味が欲しいって思ってたんだ。


「塩? 気になるな。美味しいのか?」

「まぁな。似たような辛さだが、これとは違う辛さがある。」

「へぇ、外にはそんなのがあるんだな。」


 この村には無いんだ。

 まぁ、海なんて縁がなさそうだしね。


 村の周りには、見渡す限りの山がある。

 海なんて何処にも見当たらない。

 海が無ければ塩もない。


「パンもそこそこ旨いな。」

「でしょ? フィーさんにゃんすけが手伝ってくれたの。」

「お、ありがとな。って、獣なのに器用なんだな。」


にゃ。


 そこまでじゃないけどね。

 猫なので。


 こうして、話をしながら食事を堪能する。

 すると、ドーセンが最後のパンを口に詰め込んだ。

 そして、野菜スープで流し込む。


「ごちそうさん。今日も旨かった。」

「早いわね。ゆっくり味わいなさいよ。」

「いやいや、騎士を目指すなら食事も素早くだ。」


 そう言って、ドーセンが庭へと飛び出した。

 そして、剣を取り出し振り回す。


「へぇ、騎士を目指しているのか。」

「まぁな。男なら騎士に憧れるのは当たり前だろ?」


 気持ちは分かるけどね。

 他の人も?


「いや、俺は違うけどな。」

「うん、僕も。どっちかというと、魔法に興味があるかな。」

「おーい。乗りが悪いぞ?」


 違ったらしい。

 でも、確かに騎士っぽくないかな。

 失礼だけど。


「まぁ、夢があるのは良いことじゃないか。」

「私もそう思います。」

「そうね。でも、頭が悪いのがね。」

「おい。一言多いぞ。」


 ドーセンの突っ込みに、場が笑いに包まれる。

 なんだかんだいって、仲が良いのだろう。


「仕方ない、付き合うか。」

「だね。拗ねちゃうと面倒だし。」

「拗ねねぇよっ。子供扱いすな!」


 イグルとエイスもまた、パンを食べ終えて庭に出る。

 そうして、剣の打ち合いが始まった。

 日が落ちるまで、剣を打ち合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ