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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
呪われた村と堕ちた聖獣 フラリア王国編

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森の中を逃走です

 俺とフィーは、森の中を全力疾走している。

 その後ろには、追撃者達が追ってきている。

 どうやら、完全に獲物として見られているようだ。


「くそっ、この辺のは、狩ったからいないんじゃなかったのかっ。」


 嘘つきめー!

 いっぱいいるじゃんっ。


 事前の情報では、大体の肉食は駆っていたと言っていた。

 それが何かとばかりに、かなりの数が後ろにいる。


「しかし、こっちは細身だ。一直線で進めているだけでもありがたいが。」


にゃん。


 そうだね。

 そうじゃなかったら既に捕まってるよ。

 っていうか、走りながら喋ってると噛んじゃうよ?


 俺とフィーは、細い体を利用してなるべく真っ直ぐな道を進んでいる。

 それに対して、相手は大きい体ゆえに樹を迂回しながらでしか進めない。

 そうでなければ、逃げる事など不可能だ。


「くっ、いつまでも逃げている訳にはいかないんだが。」


 でも、こんな数とは戦えないよ。

 どうにかして減らせればいいんだけど。


 一番の問題なのは数だ。

 丈夫で素早い相手を、数匹まとめて相手なんて出来ない。

 なので、相手をするには引き離す必要があるのだが。


「にゃんすけ。どうにか出来ないか?」


にゃああ。


 無理だよ。

 そんな事をしたら森が燃えちゃうよ。


「だよなぁ。流石に自然を破壊する訳にはいかないからな。」


 そういう考えは、こっちにもあるんだね。

 そうなると、森の終わりまで逃げ切るしかないけど。


 自然を壊さないというのは、異世界でも同じである。

 なので、火の魔法を使っての陽動は出来ない。

 それからしばらく走っていると、前方に現れた岩に足を止める。


「っ! なんでここにっ。」


 気づくのが遅れていたら、そのまま突っ込んでいただろう。

 しかし、そのせいで後ろからの追撃者が迫ってくる。


「っ! 隠れろ!」

 

 急いで岩の裏に身を隠す。

 相手は鼻がいいので、本来なら意味がない事だ。

 しかし、追撃者達は早い速度で通り過ぎていく。


「やり過ごしたか?」


 みたいだね。

 助かったよ。


「臭いを嗅がれていたら終わりだったな。しかし、この岩は何なんだ。」


 ほんとだよ。

 お陰で助かったけど。


 その岩は、人と同じくらいの大きさだ。

 辺りを見れば、いたる所にある。

 とても不自然な岩だ。


「よく見たら、人の顔みたいなのがついているな。人の手で作られた物か?」


にゃ。


 ほんとだ。

 自然に出来たにしては変だよね。


 どの岩にも、人の顔のようなものがついている。

 自然に出来たとは考えにくいだろう。

 人の手が入ったと思うのも仕方がない。


「芸術作品という奴か? お兄様のを見てきたからある程度は知っているのだが。しかし、こんな所で作るのか?」


 作らないでしょ。

 作っている途中で食べられちゃうよ。


 ここには、肉食の生き物がわんさかいる。

 芸術作品に没頭していたなら、直ぐに囲まれてペロリだろう。


「まぁ、考えても始まらないか。先ほど撒いたのが匂いを追って戻ってくるかも知れん。早めに立ち去ろう。」


 そうだね。

 これ以上走るのは勘弁だし。


 いないと気づいた肉食達が匂いを頼りに探すかも知れない。

 そうなると、見つかるのもすぐだろう。

 せっかく撒いたのに、また追いかけられてしまう。


「急ぐぞ、にゃんすけ。」


 見つかる前に、早めに移動を始める。

 次の瞬間、フィーの腰の鞘が岩にぶつかった。


「あっ・・・。」


 気づいた時には、既に岩が傾いていた。

 視界の隅で、ゆっくりと岩が地面へと倒れていく。

 そして、地面についたと同時に激しい音を出して崩れてしまう。


 やっちゃったねぇ。


「あっ、いや。こんなに軽いとは。すみません。」


 フィーが慌てて取り繕う。

 しかし、無駄だと判断し素直に謝る。

 だからといって、倒れた事実が無くなる訳ではない。


ガルルルル。


 四方から肉食が現れる。

 音を聞きつけ近づいて来たようだ。


 ほんとにもう。

 この相方はっ。


「本当にすまないっ。しかし、数は少ない。急いで倒すぞ。」


 はいはい。

 んじゃ、追加が来る前に倒しますか。


 思ったよりも、現れた数は少ない。

 これぐらいならば、何とかなるだろう。

 そう思った直後、次から次へと数が増えていく。


「あー、えーと。見逃してくれたりは。」


 無理でしょ。

 どうみても。


 見つけた相手を逃すような相手ではない。

 それを証明するように、ワオーンと吠えた。

 かかれの合図だ。


「だよなっ。逃げるぞっ!」


にゃっ。


 ですよねっ。

 こうなりゃやけだ! 


 再びの逃走劇。

 岩を盾に突っ走る。

 しかし、回り込まれてしまう。


「仕方ないかっ。」


 現れたのには、剣で斬って牽制する。

 そして、いない所へと走り出す。

 他のがまた来るも、今度は俺が蹴飛ばす。

 そして、再び細い樹の間へと逃げ込んだ。


「何とかなったが、じり貧だぞっ」


 誰のせいだと。

 そもそも、いすぎでしょ。


「全く、帰ったら嘘の情報流した奴をしばいてやるっ。」


 それには同意だよ。

 覚えてろよーっ。


 そうは言っても、まずは今の現状をどうにかしないといけない。

 このままでは獲物の餌になってしまう。

 そうならないよう、今は全力で突っ走るのみだ。

 それでも、引き剥がせるような相手ではない。


「くっ、横かっ。」


 先回りしていた一匹が飛びかかる。

 それをフィーが、一回転して剣で払う。

 そして、直ぐに走り出す。


「くうっ、面倒なっ。」


 すると、今度は逆にいたのが飛びかかる。

 それもまた、一回転して受け流す。

 そして、後ろから来るのを一回転して受け流す。

 しかし、その間にも囲まれてしまう。


「しまったっ。」


 相手をすると、当然足も止まる。

 その間に、追いつかれてしまったようだ。

 再び周りを囲まれる。


「仕方ない。もう一度まとうぞ。自然だのと言っている場合ではないっ。」


 仕方ないね。

 少しのぼやは許して欲しいよっ。


 森よりも我が身が優先だ。

 戦うには、装身もどきを使うしかない。

 そう判断し、お面になろうとした時だった。


「しゃがめ!」

「一体なんだっ。」


 どこからか声が聞こえた。

 その声に従い、その場にしゃがむ。

 その直後、複数の矢が辺りに降った。

 それが、この場にいる肉食を貫いていく。


「助けか。しかし。」


 貫いただけでは、丈夫なこいつらは倒れない。

 直ぐ様、体勢を戻して矢の飛んできた方へと唸りだす。

 すると、その視線の先から複数の影が飛び出した。


「後は任せなっ。」


 飛び出してきたのは人だ。

 しかも、一人だけではない。


「もう大丈夫だ。」

「私達に任せて。」


 フィーと同じ位の年だろうか。

 若い少年や少女が飛び出していく。

 そして、肉食に向けて斬りかかっていく。


「一体誰なんだ?」


 さぁ。

 分かんないや。


 どこの誰であろうか分からない。

 しかし、味方には違いなさそうだ。

 目の前で戦う者達の背中をただ眺める。

 すると、肉食の一匹がフィーに飛びかかった。


「くっ。」

「させぬっ。」


 その攻撃はフィーに届かない。

 何故なら、年老いた人が斬り伏せたからだ。

 その人物は、剣を担いでフィーの前に出る。


「大丈夫かい? 嬢ちゃんとおちびちゃん。そこで休んでな。」

「いや、私も戦うよ。」

「かっかっ。そうじゃなくっちゃな。」


 俺もいるよ。

 あと、猫です。


 俺とフィーが、その年老いた人の横に並ぶ。

 見てるだけではいられないのだ。


「んじゃ、やっちまおうかっ。」


 そう言って、並んだ俺達が前に駆け出した。

 そのまま前線へと飛び込んでいく。

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