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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
呪われた村と堕ちた聖獣 フラリア王国編

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親玉の襲来です

 吠えた親玉は、俺達に向かって飛び込んできた。

 周りの樹と同じくらいの図体が落ちてくる。

 それを、俺達が左右に飛んで避ける。


「いきなりか。少しは、休ませてほしいものだがなっ。」


 気持ちは分かるけどね。

 言って聞くような奴じゃないでしょ。


 戦い終えて一息つこうとした時の襲撃だ。

 まさかの連戦に、疲れを取る余裕もない。

 しかも、親玉の攻撃は続く。

 避けられた親玉は、奥の樹を足場に反転して宙を跳ぶ。


「身軽な奴だなっ。」


 親玉が飛びかかった先にはフィーがいる。

 迫る親玉に対して、フィーが剣を握って突っ込む。


「引いてはやられる。こちらも攻めるぞ!」


にゃん!


 了解!


 接触する直前、フィーが親玉の下に滑り込む。

 その際、立つ勢いを利用して後ろ足を斬りつける。

 そして、直ぐに反転して斬りかかるが避けられる。


「くっ、図体のわりにはすばしっこい。」


 それでも剣を握って突っ込んでいく。

 しかし、その寸前で攻撃は避けられる。


にゃん!


 貰った!


 地面を蹴った俺は、親玉へ地面についた隙を狙って飛び込む。

 そして、蹴りかかるが避けられる。


 外れた!

 でもっ。


 爆発を蹴って下へと跳ぶ。

 それと同時に、火の玉を投げての目眩まし。

 地面から親玉へのポイントダッシュで迫る。


 くらえっ!


 繰り出した蹴りは、相手の胴体の横に直撃する。

 しかし、仰け反りはしたものの効いてはいない。


 固いっ。

 でも、充分だっ。


 仰け反った事により相手は動けない。

 その隙に、フィーが迫る。


 任せた!


「任せろ!」


 前足に飛び込んだフィーは、そのまま一回転。

 勢いをつけて、前足に叩き込む。

 すると、相手の前足が折れて顔が落ちる。


「はっ!」


 目の前にきた首を刺してから引き裂いた。

 それにより、親玉の首から血が溢れ雄叫びをあげる。

 そして、地面へと倒れた。


「はぁ、何とかなったか。いきなり来た時はどうなる事かと思ったが。」


 ほんと、いきなりだったもんね。

 ようやく休めるよ。


 休息の邪魔をする相手は倒れた。

 これでようやく休めるだろう。

 そう思った次の瞬間、親玉が立ち上がる。


「っ! 離れろっ!」


にゃ!?


 嘘でしょ!?


 立ち上がったと同時に親玉が噛みついてくる。

 その攻撃は、直前に気づけたから避ける事が出来た。

 しかし、避けた先に尻尾が接近。

 そのまま、二人まとめて吹き飛ばされてしまう。


「くそっ。もふっとして気持ち良さそう、とか思ってしまったが結構痛いな。」


 そりゃそうでしょ。

 戦い中になに考えてるのさ。


 フィーに呆れつつも親玉を見る。

 すると、こちらに向かって突っ込んできていた。

 それを左右に跳んで避ける。


「まだ動けるようだな。傷が浅かったか。」


 避けられた親玉は直ぐにフィーへと噛み付きかかる。

 それを剣で逸らすも、また口が迫る。


「むしろ、元気になってないか。」


 逸らしたと同時に剣を突き出すが避けられてしまう。

 その隙に、再び口が迫る。


にゃ!


 させない!


 フィーが噛みつかれる瞬間、俺が横顔を蹴り飛ばす。

 しかし、親玉はそれに耐える。

 俺を払おうと首を振るが、その直前に離脱する。


「私達では手に負えないか。ならば、あれをするぞ。」


 あれだね。

 行くよ!


 後ろに一回転してお面に変わる。

 そして直ぐ様、フィーが頭にかける。

 契約により可能になった、装身もどきだ。


「体に力が入る。これならいけるっ!」


 剣に紫の火を灯して斬りかかる。

 それに対して、相手は後ろへと跳んだ。

 危険を察知したのだろうか。


「逃がさん!」


 それでもフィーは、前へと駆け出す。

 そして、距離を詰めて斬りかかる。


「くらえっ!」


 剣が当たる直前に、相手は横へと避けた。

 そして、大きな手が降ってくる。


「はっ!」


 それを横に流して逸らす。

 更に一回転して、その手を斬る。


「まだまだっ!」


 ついでとばかりに首を突き刺す。

 そして、そのまま引き裂こうとするも振り飛ばされる。


「くうっ、突きは駄目かっ。」


 何とか着地して体勢を直す。

 しかし、そこに再び親玉が迫る。


「相変わらず元気だなっ!」


 傷を負っているのに、相手の動きは止まらない。

 しかし、フィーはもう避けない。

 迫る口を逸らしてから一回転して首を斬る。


「ならば、倒れるまで斬ってやろう。」


 親玉が横顔で吹き飛ばそうと顔を振る。

 その顔の下を滑り込んだフィーが、そのまま前足を斬る。


「もっとだ。」


 耐えた親玉が前足を振り下ろす。

 それを、フィーが叩いて逸らす。

 それにより、足を滑らせて落ちてくる首を斬りつける。


「もっと。」


 それでもと、立ち上がった親玉が尻尾を振るう。

 その下を滑り込んだフィーが後ろ足を斬る。

 更に、もう片方の後ろ足も斬って親玉を倒す。

 ついでとばかりにお腹も斬る。


「もっとだっ!」


 それでも親玉が立ち上がる。

 しかし、相手が動く前にフィーが動く。

 前足を斬って倒すと、横顔、首、お腹を斬る。


「ここまでしたらもう動けまい。」


 あちこちから血が流れている。

 しかも、足ももう変な所から折れている。

 もう、意識も朦朧だろう。

 それでも親玉は立ち上がる。


「強いなお前。そして、勇敢だ。私にも分けて欲しいよ。」


 死に追いやられても戦う相手の姿に惹かれているのだ。

 だからこそ、これ以上は苦しめたくはない。


「終わらせよう。」


 親玉が最後の力を振り絞って飛びかかる。

 それを、フィーが下がって避ける。

 そして、後ろの樹を蹴って飛び上がる。


「これでっ!」


 そのまま、剣を構えて相手の頭上へと落ちていく。

 狙いは、相手の頭だ。

 そこに向かって剣を突き出す。

 すると、剣が相手の頭へと突き刺さる。


ワオーーーーン。


 頭を貫かれた親玉が吠えた。

 そして、地面へと倒れ込む。


「お前の勇姿、見届けたぞ。」


 そう言って、フィーは剣を引き抜いた。

 今度こそ相手は動かない。

 正真正銘、最後の力だったのだろう。


「さて。戻れ、にゃんすけ。」


にゃん。


 了解。

 終わったんだね。


 俺がお面から戻ると、フィーが座り込む。

 そして、空を見上げて息を吐いた。


「はぁ、疲れた。まさか、ここまで手こずるなんてな。」


にゃ。


 お疲れさま。丈夫だったよね。

 一撃で倒せない敵がいるなんて。


「それに、コロに似てなくて良かったよ。似てたら、剣が鈍ってた。」


 同意するよ。

 コロよりも厳つかったもんね。


 フィーの横に俺が座る。

 俺もまた、疲れた体を休ませる。

 火照った体に、森の風の涼しさが心地いい。


「全く、この事をギルドは知ってたのか? いや、知らないか。知ってたら止められてただろうしな。」


 そうだね。

 町の近くにこんなのがいたら騒動になっているだろうし。


「まぁ、報告だけでもしておくか。今日はもう帰ろう。歩く元気はもうない。」


 同じく。

 早くベッドで寛ぎたいよ。


 思わぬ戦いで疲労が溜まったのだ。

 これから歩く元気はもう残っていない。

 そう判断し帰ろうとした時だった。

 周りから、がさがさと音がする。


「なぁ、にゃんすけ。気のせいかな。」


にゃん。


 うん、気のせいだよ。

 だといいなぁ。


 きっと空耳だろう。

 そう願って音がした方を見る。

 しかし、儚い希望を打ち破るように肉食が現れる。


「だよなっ。もう勘弁してくれっ。」


 全くだよっ。

 連戦なんて聞いてないよ。


 急いで立ち上がって剣を構える。

 もう戦う気力も残っていない。

 それでも立ち向かう俺達の前に絶望が広がる。


「おいおい。」


 先程とは比べ物にならない程の数が現れる。

 数えるのも面倒になる程だ。


「多すぎないか?」


 うん、多いね。


 あまりの数に、焦りよりも呆れが勝る程だ。

 しかし、その一部は落ちている死体を見ている。


「なるほど。匂いに釣られて来たのか。」


 みたいだね。

 それでも、こっちを見ている者もいるんだけど。


 匂いに釣られたのは確か。

 しかし、獲物として見られているのは変わらない。


「にゃんすけ。」


にゃん。


 そうだね。


「逃げるぞ!」


 逃げよう!


 後ろを向いて走り出す。

 その際、炎の壁を貼って追っ手を防ぐ。

 それでも、俺達を追いかけようと数匹が追ってくる。

 そのまま、森での逃走が始まった。


「いっちゃった。」


 誰かがその後ろ姿を見ていた。

 そして、親玉を囲う者達に視線を向ける。


「おいたは、駄目、だよ?」


 その人物が指をならす。

 すると、そこにいた全ての者達が意識を飛ばす。


「僕からの、餞別、だよ。フィーさんが、認めたこいつを、ちゃんと、弔ってあげる。」


 そして、その人物が広場に姿を現した。

 フィーを追っていた気の弱い男だ。


「それにしても、あっちに、行っちゃったか。好かれ、てるね、運命に。」


 そう言って、足元の白い棒に視線を移す。

 フィーが先程見つけた、砕けた骨だ。

 それを拾い上げて歩き出す。


「草食の、骨。違うよ。獣の、でもない。」


 少し歩いて木の下へたどり着く。

 そして、その後ろを覗き込む。

 そこには、骸と化した片腕のない人の遺体が隠れていた。


「僕は、僕の、するべき事を、しないとね。」


 その男は、懐から丸い何かを取り出した。

 それを耳に嵌める。


「見つけ、たよ。」

『ようやくか。んじゃ、そのまま調査頼むな。』

「分かった、よ。」


 どこかに連絡をいれたのだろう。

 それだけ言うと、耳から丸い何かを取り出す。

 それと同時に、意識を飛ばしていた者達が立ち上がる。


「あれ、弱かった? じゃあ。」


 近づくのをやめて振り向いた。

 そして、どこからか斧のような物を取り出した。


「倒さなきゃだな。来な、まとめて相手してやるよ。」


 そうして、肉食達に立ち向かう。

 肉食達もそれに答える。

 フィーの知らない場所での戦いが始まった。

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