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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
呪われた村と堕ちた聖獣 フラリア王国編

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森の奥で見つけました

 ハンターギルドを出た俺とフィーは、そのまま門へと向かう。

 ハプニングはあったものの、目的に変更はない。


「はぁ、折角の旅気分が台無しだな。」


 そうだね。

 こっちの事に首を突っ込まないで欲しいよ。


「ま、いつまでも引きずってはいられまい。忘れよう。何も無かった、それで良いな?」


にゃん。


 いいよ。

 気持ちを切り替えてリフレッシュ。

 気分は、遠足に行く感じでね。


 ここで引きずれば、探索が終わるまで続くだろう。

 気持ちを切り替えて門へとたどり着く。

 そして、歩行者用の門を抜け無事外へと出る。


「確か、左の方角だったな。」


にゃん。


 来た道とは逆の方だったよね。

 道があるといいけど。


 向かうのは、聖獣を撮った場所。

 奥に山の麓にある森の中だ。

 教えてもらったその場所を目指して歩き出す。

 すると、草食の生き物が見えてくる。


「やっぱり多いな。捕食者が出る場所とは思えないが。」


 そういえばか。

 食べられてるとは思えないよ。


「それだけ、しっかりハンターが活躍してるという事だな。癪だが、認めざるをえないか。」


 嫌だけどね。

 でも、こうして出歩けるのもハンターのお陰なのは確かだしね。


 肉食が溢れていたら、外出許可すら出なかったかもしれない。

 しかし、実際にはこうして出れている。

 しっかり狩られている証拠だろう。

 そんな考えをしながらも、草食の群れの中を抜けていく。


「こいつら逃げないな。」


 ほんとだ。

 人間には慣れてるのかな?


 フィーが、群れの中の一匹に近づく。

 すると、向こうも食事を止めてフィーを見る。

 しかし、気にせず直ぐに食事へと戻る。

 その頭をフィーが撫でるも、全く反応がない。


「慣れすぎている。少なくとも、人と共存はしているようだな。」


 みたいだね。

 どんな風に慣れさせたかは分からないけど。


「肉食への警戒もなし。なら、この辺には出ないという事か。じゃあ、この辺りで森に入った方が良さそうだ。行くぞ、にゃんすけ。」


にゃー。


 行こー。

 安全なうちにね。


 あくまで、聖獣を見た場所の探索が目的だ。

 わざわざ危険な場所へと出向く必要はない。

 草食の群れを抜けて森へと入る。


 静かな普通の森だ。

 整地も特にされてないかな?

 樹がいっぱいで先が見えない。


「見通しが悪いな。危険が無いとはいえ、警戒をしておけよ。」


にゃん。


 分かってるよ。

 必ずいないとも限らないしね。


 安全というのは、予測に過ぎない。

 なので、どこかに何かがいたとしてもおかしくは無いのである。

 そんな中を、辺りを見ながら歩いていく。

 それからしばらく歩いた時の事だ。


「流石にいなさすぎじゃないか? 草食すら一匹もいないのはおかしいだろ。」


 思ってた。

 生き物の気配が全くしない。


 立ち止まって周りを見てみる。

 肉食がいない場所を選んだので、見当たらないのは問題ない。

 しかし、それ以外の生き物すらいないのだ。


「鳥すらもいない。どうなっているんだ?」


 不思議だね。

 ここだけ違う世界みたい。


 まるで、切り取られたような世界。

 その中を、再び歩き出す。

 森の奥に行けば行くほどそれが顕著になる。


「やはり見当たらない。にゃんすけはどうだ?」


にゃああ。


 同じく。

 何でだろう。


 薄暗く静まりかえった空間。

 ただそこを、俺とフィーが立てた音だけが響き渡る。

 更に歩くと、先に光がこぼれているのが見える。


「一体何があるんだ? 行ってみよう。」


にゃん。


 そうだね。

 行ってみよう。


 その場所もまた、静まりかえった場所だ。

 ただ、ひらけただけの空間。

 見えた光は、そこに落ちた木漏れ日がこぼれていただけだ。


「なにもなし。そんなものか。」


 みたいだね。

 なんか、神聖な場所っぽく見えるけど。


 特に期待していた訳ではない。

 しかし、そこだけが照らされた場所が気になっただけだ。

 相も変わらず、静寂が空間を包んでいる。


「それにしても、樹ばかりだと思ったが。こういう場所もあったんだな。」


 見渡す限りに樹が生えている。

 そんな場所に、開けた空間が見えれば気になるのも当然だ。


「まぁ、目印にもなるしいいか。」


にゃん。


 そうだね。

 同じ景色ばかりだと迷っちゃうし。


「さて、迷わなくなった所だし先に進むか・・・ふぐっ!」


 もう少し歩いてもだ迷わずに戻れるだろう。

 そう判断し歩き出した瞬間、何かを踏んづけて転んでしまう。


 あらら。

 やっちゃったよ。


「痛い、一体何なんだっ。」


 起き上がったフィーが踏んづけた物を拾い上げる。

 それは、一本の白い棒だ。

 それを見たフィーが怪訝な顔をする。

 


 どしたの?

 なに拾ったの?


「これは、骨? 草食のか?」


 ほんとだ。

 でも、どうしてここに?


 片方の端には、骨のような凹凸がある。

 そして、もう片方は砕けている。

 見るからに、砕けた骨そのものだろう。


「草食にしては・・・。いや、気のせいか。こういうのに詳しくないからな。気にしても仕方あるまい。」


 そうだね。

 無い知識を絞り出しても意味がないよ。

 草食の骨なんじゃない?

 

 骨一本で判断出来る程の知識があるわけでもない。

 状況からみるに、草食の骨と考えるのが自然だろう。

 直後、辺りからがさりと音がした。


「・・・にゃんすけ。構えろ。」


にゃん。


 うん。

 分かってるよ。


 何かがここにいる。

 しかし、一つだけではない。

 複数の音が、辺りからしている。


「人ではないな。と、なると。」


 人のわりには俊敏だ。

 そうなると、残る答えは一つだけ。

 フィーが剣を抜いたと同時に、それは現れた。


「やはりか。」


 それは、尾が長く毛に包まれた存在。

 そして、馬車の中から見た者達。

 草食を襲っていた肉食の群れだ。


「囲まれたか。骨の主を襲った奴らで間違いなさそうだな。」


 だろうね。

 まさか潜んでたなんて。


 肉食の獣は、俺とフィーを囲むように周りを歩く。

 その数は四匹だ。

 ぐるると唸って俺達を見ている。

 それに対して、俺達は隙を見せないように背中を合わせる。


「どうやら、友好的とはいかないようだ。」


 肉食だしね。

 どっからどう見ても、獲物を狙う目をしてるよ。


 今にも、襲いかかりそうな気配だ。

 しかし、そうしないのは様子を伺っているからだろうか。


「取り合えず、囲っとけば良いとでも思っているのか? 舐められたものだな。」


 むしろ、舐めてないからだと思うよ。

 それでどうするの?


にゃ?


「そうだな。来ないならこっちから行こう。合わせろっ!」


にゃん!


 任せてっ!


 フィーが駆けたと同時に、魔法で炎を前に撒き散らす。

 これにより、俺側の肉食は近づけない。


「はあっ!」


がうっ。


 フィーが駆け出すと、前の二匹も駆け出す。

 まずは、フィーが一匹目を攻めると見せかけ横に避ける。

 そして、そのまま一回転して首を斬る。


「もう一度っ!」


 もう一匹が来るも、反対に避けて同じように斬る。

 横から回り込んで来たのは、俺が火の玉で牽制する。


 させないよ!


「今のうちにっ。」


 そのまま抜けたフィーは、後ろを振り向き剣をかまえ直す。

 しかし、二匹もまた体勢を直してフィーを見る。

 

「効いていない。浅かったか。」


 首から血を流してはいるものの、ダメージにはなっていない。

 あれしきの傷では、特に影響は無さそうだ。


「ならば、もっと強く斬るまでだっ!」


 もう一度、フィーが駆け出した。

 すると、再び二匹が来る。


にゃん!


「分かっている!」


 そう見せかけて横から二匹が来る。

 当然フィーは気づいている。

 なので、既に近い方へと駆けていた。


「ふっ。」


 まずは、目の前の一匹。

 それと接触する直前、避けるふりして一回転。


「吹き飛べっ!」


 剣の代わりに、足を相手の横顔に叩き込む。

 すると、もう一匹へと吹き飛び突っ込んだ。

 巻き込まれた方の上に乗っかりながら倒れ込む。


「もらったっ。」


 丁度、相手の胴体の横が晒されて倒れている。

 その隙に近づくと、首に向かって剣を突き刺した。

 そして、そのまま裂くように斬り上げる。


「まずは一匹。」


 斬った相手は、そのまま動かなくなる。

 流石に、深く斬られては耐えられないようだ。

 更に、敷かれた個体の首も同じように裂く。


「二匹目っ。」


 最初の苦戦もどこへやら、順調に数を減らしていく。

 しかし、そんなフィーの所へ最初の二匹が迫る。


「次から次へとっ。にゃんすけ!」


にゃん!


 行くよ!


 ポイントダッシュでフィーへと迫る二匹を離れさせる。

 そして、その間に入ったフィーが剣を振る。


「終わりだ!」


 一回転して二匹の首を斬る。

 今度は、先程よりも強い一撃だ。

 しかし、フィーを越えた二匹は地面に着地する。

 直後、首から血を吹き出して倒れこんだ。


「討伐完了。」


にゃ。


 決まったね。


 無事に倒す事が出来たようだ。

 フィーが剣を振って血を払う。

 そして、剣を戻そうとした時だった。


ぐるぅおおおおおう。


 甲高い雄叫びが、辺りに響く。

 とても大きな遠吠えに俺達は耳を塞ぐ。


「なんだっ!」


にゃっ。


 何がっ。

 

 声がした方を向いた瞬間、大きな影が飛び出した。

 それは、他のと同じ肉食。

 しかし、大きさは比べ物にならない程に大きい。


「まさか、親玉か?」


 まさか。

 なんでこんな所に。


 親玉らしき個体は倒れている個体を見る。

 そして、俺とフィーを見て唸りだす。


「来るぞ!」


 子供を殺され怒っているのだろうか。

 怒りをぶつけるように、もう一度大きく吠えた。

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