ハンターギルドで絡まれました
次の日の朝。
今日の為に、昨日は早くに床についた。
準備を済ませて部屋を出る。
「まだ朝早いな。空いてるお店はあるだろうか。」
確かに。
どうなんだろう。
フィーは朝早くに起きる。
それに合わせて俺も早くに起きている。
そんな早くに開いているお店があるのか心配なのだ。
「取り合えず回ってみようか。行くぞ。」
にゃー。
行こー。
開いてると良いね。
そうじゃないと困るし。
宿を出た俺とフィーは、近くのお店を覗いていく。
一応部屋から見たものの、空いてそうなお店は無かった。
なので、部屋から見えないお店を回っていく。
すると、お店の前で準備をしている女性がいた。
「開店準備か? 行ってみよう。」
にゃん。
そうだね。
開いてますように。
無ければまた探し直しだ。
そうならないよう、祈りながら声をかける。
「すまない。これから開店か?」
「あら、お客さん? 食事ならどうぞ中へ。」
「助かる。行くぞ、にゃんすけ。」
にゃん。
お邪魔します。
路頭に迷わなくて良かったよ。
女性が開けた扉を潜って中へと入る。
店の中は、カウンターと木製の机と椅子が並んでいる普通の内装だ。
お店というより喫茶店に近い。
その奥にある席へ、俺達が座る。
「にゃんすけ、メニューだ。」
にゃ。
どうも。
どれどれ、何があるのかなっと。
フィーと一緒にメニューを見てみる。
そこには、お肉を使った料理が沢山ある。
「やはりここも肉料理か。」
「えぇ。この辺りに沢山いますから。」
メニューを見ていると、店員の女性が声をかけてきた。
沢山いるというのは、ここに来る時に見たもの達の事だろう。
「沢山か。しかし、町全体に行き渡る程か?」
「はい。ハンターさんに聞いた事がありますが、この辺りの草食を狙って集まって来ているようですよ。」
「という事は、肉食だけ狩っているのか?」
「らしいですね。肉食を呼ぶために、草食は間引かせているとか。」
あえて囮にしてるんだね。
勉強になるよ。
草食を狩り続けてもいつかはいなくなる。
だから、湧いてくる肉食を食べているのだろう。
そんな話をしていると、俺のお腹がなる。
「おっと、そろそろ食べないとな。注文いいか?」
「良いですよ。焼くだけの料理なら早めに用意できます。」
にゃん。
お恥ずかしい。
でも、お腹は待ってくれないからね。
それから、お肉の料理を頼んで朝ごはんを満喫する。
そして、食事を済ませて水を流し込む。
「旨かったな。出店の料理とは違った旨さだ。」
うん、満足だね。
やはり、肉は良いものだ。
果物も良かったけどね。
「さて。このまま森に向かいたかったが、ハンターギルドに寄った方がよさそうだな。」
肉食が一杯って話だもんね。
管理してる所に聞いた方がよさそう。
「すまないが、ハンターギルドの場所を教えてほしい。」
「それなら、町の入り口の近くにありますよ。」
「そうか、助かる。」
場所も分かった所で、勘定を済ませて店を出る。
向かう先は、昨日歩いてきた道を逆に歩いて門の方へ。
すると、武器を持った人達が向かうのが見えてくる。
「武器を持った者はハンターか。つまり、この先にあるのか。」
そうだね。
あんな武器を持った人なんてハンターぐらいだし。
そのままハンターの後を追っていく。
すると、その先に見覚えのある建物が見えてくる。
「ギルドハウスが見えてきたぞ。他のと似たような建物で分かりやすいな。」
実はそうなのである。
分かりやすいから良いんだけどね。
同じ建物だから、ハンターなら何処に行っても一目で分かるのだ。
ギルドハウスに着くとそのまま中へと入る。
「中も同じか。前の所とは人の数が違うがな。」
事情があったもんね。
閉まる直前でもあった訳だし。
ギルドハウスは、ハンター達がいるのが当たり前だ。
各自、話を交わしながら盛り上がっている。
その真ん中を歩くと視線が集まってくる。
「見られてるな。」
見られてるね。
主に俺がだけど。
ほとんどの視線は俺に集まっている。
珍しいのだろうか。
すると、話し声が聞こえてくる。
「おいおい。二足歩行の人形が歩いてるぜ。」
「弱そうだな。本当に戦えるのか?」
「どうみても無理だろ。逃げるときの身代わりなんじゃね?」
「確かにな。そうとも知らずに着いてんのか可哀想な奴だぜ。」
むぐっ。
蹴飛ばしてやろうか?
「やめとけ。ほっとけばいい。」
ごもっとも。
柄の悪いハンターもいるんだね。
全てのハンターが良い奴な訳ではない。
職業柄、ああいう者がいるのは当たり前なのだろう。
声に構わず、受付へと向かう。
「すまないが情報が欲しい。」
「どういった情報ですか?」
「森に入りたい。だから、最近の肉食の出現頻度を頼む。」
「えぇと、森に入る。ですか?」
「そうだ。」
フィーに聞かれた職員が戸惑っている。
どうやら何かがあるようだ。
すると、ハンターの一人が近づいてくる。
「森の中だぁ? そんな所に何しに行くつもりなんだよ。」
「ただの観光だ。それが何か?」
「観光? ぎゃははっ。面白い冗談を言うじゃねぇか。」
ハンターの男に合わせて、仲間らしき者達も笑いだす。
完全にこちらを馬鹿にしているようだ。
「やめとけ、やめとけ。あんたみたいなのが行ったら一瞬で奴等の餌だぜ。」
「そうそう。そんな所に行ってもなんもねぇって。行くだけ無駄だ。」
「そんな所より、俺達と遊ばねぇ? もっと面白れぇとこ案内するけど?」
なんかむかつくな。
嫌な感じ。
「すまないが森の情報を頼む。」
「え、えぇと。はいっ。」
フィーがハンターの男を無視する。
相手をする気を無くしたようだ。
怒りを滲ませたフィーの声に、受付が慌てて奥へと引っ込んだ。
「おいおい。まじでなんもねぇぞ? あそこ。」
「そうそう。町で遊んでた方が良いって。な?」
何故だか、急にハンター達が慌て出す。
しかし、フィーは相手にしない。
その間に、職員がファイルを持ってきた。
「あの。最近の討伐状況です。比較的に多くの数が運ばれています。」
「そうだぜ。だから、獲物を取ろうとしてもいねぇからな。行くだけ無駄だって。」
「つまり、数が減ったと。参考になる。」
「ちょっ。」
もはや、ここまで来ると意地である。
確認を済ませると、受付から離れる。
そして、出口へと歩いていく。
「おい、あんたっ!」
呼び止めるも無視である。
もはや聞く気はゼロである。
そのまま、ギルドハウスから出て行ってしまう。
「やべぇ。どうしよう。」
「たけつけ過ぎなんだよっ。」
「どうする? 今からでも止めるか?」
「いやぁ、聞かないだろう。」
ハンター達が、少女と人形が去った扉を見て慌てている。
もはや、何を言っても無意味だと分かっているからだ。
「いいん、だよ、あれで。」
「リーダー?」
リーダーと呼ばれる人物が立ち上がる。
その人物とは、小柄な男。
昨日、フィーに本を勧めた人物だ。
「大丈、夫。強いよ。あの子。」
「しかしあそこは。」
「大、丈夫。何かあったら、助けに、入るよ。」
リーダーと呼ばれる人物が扉へと向かう。
後を追いかけに行くようだ。
その男もまた、扉を開けて外へ出る。
「さて、キュリア、ちゃんが、認めた力。見せて、もらうよ?」
そう呟いて歩き出す。
気づかれないように、追いかける。




