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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
呪われた村と堕ちた聖獣 フラリア王国編

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山に向かって放浪旅です

 村を出て新たな旅が始まった。

 もちろん、何があるかは分からない。

 馬車に揺られての放浪旅だ。

 気づけば、山に囲まれた場所へと入っていく。


「この辺りは山が多いな。それと、毛深い獣だらけか。」


 ほんとだ。

 見渡す限り毛むくじゃら。


 馬車が通る街道。

 その周りには、角の生えた生き物達が草を食べている。

 草食だけなのか襲いに来る気配はない。


「ははっ。前の村の人達が見たら羨ましがるだろうな。」


 そうだね。

 まぁ、しばらくしたら向こうにも現れるだろうけど。


 以前の村では、いかつい顔の敵しかいなかった。

 しかし、その原因を解決したので他の生き物も現れる事だろう。

 きっと、村のハンター達も癒されるに違いない。


「前の村とは景色が違う。何が待っているんだろうな。」


にゃん。


 また良い人達と出会えるといいね。

 あと、美味しい食べ物も。


 以前の出会いに、次の旅への期待が膨れ上がっているのだ。

 この先にも、きっと素晴らしい出会いがあるのだろうと。


「にゃんすけ、よだれが出てるぞ?」


にゃ!


 はっ!

 おっと失礼。


 すぐによだれを引っ込める。

 食べ物への期待も充分だ。


「どうせ、ご飯の事でも考えてるんだろ? しばらく一緒にいたせいか、よく分かるようになってきたな。」


にゃん。


 お互い様だけどね。

 そこまで長い訳じゃないはずなんだけど。


 会ってから一月もたっていない。

 それでも、お互いの事が分かる程にはなってきた。

 充実した毎日が、それを可能にしているのだろう。


「分かったといえば、にゃんすけは聖獣なんだよな? 別れのゴタゴタで忘れてたけど。」


にゃん。


 らしいね。

 聖獣について何も知らないけど。


「にゃんすけは知ってたのか?」


にゃああ。


 自分が知ったのもあの時だよ。

 まさか、自分がなんて思わないでしょ。

 どこからどう見ても猫なので。


 自身の体をよく見てみる。

 しかし、そんなに凄い存在には思えない。

 可愛らしい見た目のマスコットだ。


「聖獣か。もっと詳しく聞いておけば良かったな。」


 そうだね。

 凄い精霊って事ぐらいしか知らないもん。

 自覚は全くないけどね。


 前の戦いで明らかになった事実。

 聖獣が使える聖火を俺が使えた。

 すなわち、俺自身が聖獣という事だ。

 しかし、そう言われてもピンときていない。


「もう他人事ではないからな。次の場所に着いたら調べて見ようか。」


にゃー。


 さんせー。

 もしかしたら、自分の事が分かるかもだしね。


「あと、ご飯もだな?」


 おっと、先に言われちゃった。

 そう口にされるとなんか照れるね。


 そんな様子の俺を見て、満足そうにフィーが笑う。

 とにかく、次の目的が決まった。

 気ままに外の景色を見ながら、次の目的地へと向かう。

 すると、目の前で草食の動物が襲われた。


「おっと。肉食もいるんだな。まぁ、草食の群れがいる場所を逃す訳がないか。」


 まぁ、肉食からしたら良い餌場だもんね。

 食物連鎖恐るべし。


 現れた肉食は群れのようだ。

 逃げる草食に襲いかかっていく。

 そして、逃げれた草食は全力で走っていく。


「それにしても、肉食も毛むくじゃらか。鱗の生き物はいないのか?」


 興味深そうにフィーが周りを見渡している。

 しかし、どこを見ても毛むくじゃらな生き物しかいない。

 すると、近くの席の人が声をかけてくる。


「なんだ、知らんのか。山と言ったら毛むくじゃらだろう?」

「最近旅を始めたものでな。それで、なんで毛むくじゃらが多いんだ?」

「夜の山は冷えるからだよ。鱗じゃあ防げねぇからな。」


 夜の山は冷えるのだ。

 だから、耐えられる毛の生えた生き物しかいないらしい。


「そんなに寒いのか?」

「まぁな、この辺は雨が多いのもあって気温が下がるんだよ。雪が降る地方と比べる程じゃねぇけどな。でも、鱗の奴では住み心地が悪いんだよ。」

「なるほどな。」


 住めない程じゃあないけど、無理する程でもない。

 だから、この辺りにはいないと。

 勉強になるね。


「先の村の周辺に鱗のが多いのは暖かかったからか。」

「かもな。暖かい地方のせいなのが大きいだろうよ。鱗の生き物は、そういう場所を好むからな。」


 じゃあ、寒い時期になるまでいかつい顔とご対面な訳か。

 可愛そうに。


「ちなみに、この馬車は襲われないのか?」

「そりゃあ、わざわざ止まってくれてるのがいるからな。動く馬車なんて襲わんさ。」

「そういえばだな。」

「一応この先の町にも向かうが、ハンターが倒すだろうから心配はいらねぇよ。」


 自然の摂理は自然にお任せだね。

 今度の旅はゆっくり寛げそうだ。


 脅威になる相手がいないのなら、戦う事もないだろう。

 今度こそ、楽しい旅になりそうだ。

 そんな話をしていると、大きな壁が見えてくる。


「目的地が見えて来ました。降りる準備をよろしくお願いします。」


 運転席からアナウンスが聞こえてくる。

 どうやら到着したようだ。

 馬車が壁へと近づいていく。


「意外と大きいな。」

「山に囲まれているとはいっても、交通はしっかりしてるからな。人が多いから町も大きくなったんだ。」


 馬車は、門の前で止まって受付をする。

 それが済むと、町へと入っていく。

 すると、あちこちから美味しい匂いが漂ってくる。


 もしかしてお肉?

 お肉だよね。

 楽しみだ。


 獣が多いので、沢山の肉を扱っているのだろう。

 再びよだれが垂れそうなのを我慢する。

 レンガの建物を過ぎて行くと、その先の停留場で停止する。

 そして、馬車を降りる。


「お別れだな。色々教えてくれて助かった。」

「構わねぇよ。さっきの話、気になるなら調べるといい。なにせ、人が多いからな。」

「そうさせて貰うよ。ではな。」

「おう。良い旅を祈ってるよ。」


 町なら調べる物にも困らないだろう。

 色々教えてくれた男とは、馬車を降りてお別れをする。

 こうして俺達は、新たな町へと降り立った。

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