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【90000PV突破!】猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
森の精と嘆きの巫女 フラリア王国編

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真の黒幕?です

「なぜじゃ。なぜ半端な力に押されるのじゃ。」


 まだ相手は大丈夫なようだ。

 後ろに下がって距離を取っている。


「なぜ、装身にも至らぬ力で完全なる心装が破れるのじゃ。」


 確かにそうだね。

 思ったより戦えてたね。


「まさか、力を失って?」


 最初の威力は、全く出ていなかった。

 明らかに弱くなっている。

 装身もどきでも戦えるぐらいには。

 森の王が鎧を確かめる。

  

「間違いない。力がいくらか抜けておる。なぜじゃ。」


 目を見開いて考えている。

 あまりの展開に、驚きを隠せないようだ。


「魔方陣は完璧だったはず。計算通りなら、こんな事は無いはずじゃ。」


 自分の作った魔方陣を思い返しているようだ。

 何度見ても間違いはない。

 ならばと、一つの答えに行き着いた。


「まさか、鏡か?」

「鏡? 鏡がどうしたんだ?」


 魔方陣が問題ないのなら、その他に原因がある。

 そうなると、鏡しかないのだが・・・。

 森の王が鏡に駆け寄った。


「まさか、失敗作か?」

「そうなのか? ユリーシャ。」

「いえ。去年のはちゃんと作動してました。今年は違うなんてありえないです。」


 作った者が同じなら、去年と同様のはずだ。

 なので、間違いなく完成されたものだろう。

 ならば、残る可能性は一つ。


「ならば、一体なぜっ・・・。まさか、偽物か? あの娘、偽物とすり替えたのかっ!」


 あの娘とは、キュリアの事だろう。

 運んでいるうちに、偽物とすり替えたとしか考えられない。

 そのはずだったが。


「残念。それは、間違いなく本物だよ。」


 しかし、その場に響く声がそれを否定する。

 そちらを見ると、逆さに立つキュリアがいた。


 うわっ、出た。

 って、何で逆さま?


「おい。邪魔しないんじゃ無かったのか?」

「邪魔しに来たわけじゃないよ? だから気にしないでね。」


 手をひらひらと振って、無罪を主張している。

 どうやら、森の王のピンチに駆けつけたようではないらしい。


「・・・ちなみに、何で逆さまなんだ?」

「ん? 答えは簡単、普通に立つのに飽きたからさ。」


 何を考えているのかよく分からん。

 元からだけど。


「そんな事よりっ。なぜ計算が狂っておるんじゃ!」

「当然、私がリミッターをかけたからさ。」

「リミッターじゃと!?」


 やっぱり原因があったようだ。

 しかも、キュリアが何かをしたようだ。


「うん。一定の力を出したと同時に、鏡の力が反転するっていうね。」

「反転じゃと? 鏡の力は力の収集。まさか。」

「そ、放出だよん。」


 収集の逆は放出。

 力を使いすぎると、溜めた力を吐き出すようになっていたようだ。


「ふざけるなっ。そんなの命令した覚えがないぞ!」

「だって、試したかったんだもん。普通にやっても成功するって分かってたし。それじゃあ、つまらないよね?」


 酷いっ。

 いや、敵だから同情しないけどね?


「お陰で、実験だいせーこー! ご協力、ありがとうね。」


 もしかして仲間割れ?


 キュリアがお腹を抱えて笑っている。

 まるで、相手を馬鹿にするように。


「くそっ。くそ、くそ、くそっ! 今すぐ戻すんじゃ!」

「え? やだ。めんどくさいし。」

「ふざっ。約束はどうしたっ!」

「うん。見せてくれるんだよね? 充分堪能したよ。って事で、はい、しゅーりょー。ね?」


 ね? って言われても。

 納得しないんじゃない?


 一方的な通告を受け入れる訳がない。

 実際、森の王が悔しそうに地面を強く踏んでいる。


「くそっ。人の実験で遊びやがって!」

「君だって、人で実験してるよね? いや、聖獣か。」


 そういう問題?


「どっちでもいい! 人間なんて信じるんじゃなかったわい!」

「悪い魔物を信じる人間がいるとでも? 是非、見てみたいね。」


 完全に煽ってるね。

 というか、始めから協力する気は無かったんだ。


「一体何が起こってるんだ?」

「さぁ。何が何やらです。」


 フィーとユリーシャが、おいてけぼりにあっている。

 話の展開に、ついていけて無いようだ。


「ぐうっ。つまり、協力関係を切るって事でいいんじゃな?」

「いいよ。始めから魔方陣の実験にしか興味ないし。それに今は。」


 キュリアが影の中に飛び込んだ。

 その直後、フィーの前に現れる。


「君達の方が興味あるかな?」

「っ!」


 ひっ!

 だから怖いんだよ。

 こっち見ないで。


「ふふーん。君、やっぱり精霊だったんだね?」

「っ。知ってたのか?」

「うん。言ったよね? 私のと同じ契約精霊だって。」


 キュリアは、楽しそうにお面をつついている。

 最初から知っていたようだ。


「それと、その子にも言ったよ? どうして契約獣の振りをしてるんだって。」

「ん? そうなのか?」


 言ってたけど。

 まさか、獣の方を聞いてたなんて。


「ま、聖獣かどうかは分かんなかったけどね。でも良かったよ。私の計画を越えてくれたんだもん。ここまで揃えるのに苦労したからね。」


 キュリアが楽しそうに回りだす。

 全ての努力が報われた幸せに酔っているのだ。


「計画じゃとっ!? じゃあ、全て貴様が仕組んだとでも言うのかっ!」

「そうだよ。まさか、自分が用意したと思ってるの?」


 ぴたりと回転を止めて森の王を見る。

 そう、全てはキュリアが仕組んだ事なのだ。


 要するに、真の黒幕って事か。

 あいつの計画もまた、この人の手のひらの上だったんだね。


「まさか、元凶だったとはな。目的はなんだ?」

「まぁね。元々、この辺りの不穏な空気を調査してたんだ。そしたら、面白そうな事してたから乗っかっちゃった。ついでに、あの爺ちゃんの弱体化も狙ってね。」

「一応は、動いてはいたんだな。」


 一応は、なんだね。


「だって、あの爺ちゃん強いし。戦うとなると、あの村まで巻き込んでたかもだしね。だから、被害を抑える方法を考えた末の結論だよ? むしろ、感謝してほしいぐらいだよ。」


 だから、スパイのスパイみたいな事をしたのか。

 そう思うと、怒るに怒れないね。


「いやぁ、ここまで準備するの大変だったよ。君の力があれば助けれる! なんて演技なんかしちゃったりね。」

「あっ、私に教えてくれた職員の人!」


 ユリーシャを呼んだのはキュリアのようだ。

 わざわざ変装してまでだ。


「ユリーシャを呼んだのはあんたかっ。なんでこんな所に。」

「そりゃあもう、必要だからだよ。彼女の力がね。」

「私の力? 巫女の力ですか?」

「違うよん。必要なのは、あの聖獣と結んだ絆の方。」 


 それは、コロと共に過ごした事により芽生えたもの。

 そして、友達として過ごす事により強くなったもの。


「そこまでして何を企んでおる!」

「んー。そうだね。そろそろ始めようか。いい感じに力も抜けてるだろうしね。」


 キュリアが、どこからか光を取り出した。

 例の魔法で隠してたものだ。


「それって、あの光の。おいっ、コロを傷つけるのは許さんぞ!」

「あー。大丈夫、大丈夫。見てて。」


 キュリアが光を掴むと、長い棒に変化する。

 そして、それを森の王へと投げつける。


「ぐうっ。なんじゃ!」


 危険を察してか森の王が逃げ出そうとする。

 しかし、自由に体が動かずに倒れてしまう。


「何って、見ればわかるよ。」


 光の棒が、倒れた森の王へと突き刺さる。

 すると、そこから魔方陣が広がっていく。

 そして、そこから鎖が伸びて鎧を包む。

 コロを捕まえた魔法のようだ。


「これはっ、ワシの大魔法っ!」

「即席だけどね。弱った君を捕らえるのは充分なはずだよ?」

「ぐっ。離せ! このっ!」

「無駄だよん。それが無理な事ぐらい、君が一番知ってるよね?」


 作った本人が詳しいのは当然である。

 それでも、逃げようと暴れ続けている。

 しかし、鎖は森の王を捕らえて離さない。

 そのまま宙へと浮いていく。


「ほいっ。次っ!」


 更に、森の王から出てる鎖がキュリアに伸びる。

 そして、それを掴み取るとユリーシャに繋げる。


「えっえっ!?」

「落ち着いてね。すぐだから。」


 いきなりの事でユリーシャが驚いている。

 そんなユリーシャに、落ち着くように言い聞かせる。


「準備完了っと。それじゃ、始めようか。強制契約の上書きをね。」


 最後に、ユリーシャの背中に手を当てにやっと笑う。

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