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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
森の精と嘆きの巫女 フラリア王国編

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町の中での襲撃です

 まずは、無事にユリーシャを届ける事が大事だ。

 広場へと歩みを進める。

 すると、屋台の骨組みにフィーが足を引っ掻けた。


「っと!?」

「フィーさん!?」


 体勢を崩して前へと倒れる。

 そのまま顔面から地面に突っ込んだ。


「ぐぇっ。」


 うわぁ痛そう。

 顔面からいったよ。


「あわわっ。すまない、嬢ちゃん。」

「いや、気にしないでくれ。足元を見てなかった私が悪い。」


 屋台の店主が心配してくれている。

 そして、ユリーシャまた心配する。


「大丈夫ですか? 私と話してたばっかりに。」

「大丈夫だ。ユリーシャのせいじゃない。」


 そうです。

 いつものポンコツのせいです。

 さっきまでの良い雰囲気が台無しだよ。


「あっ、おでこから血が出てる。氷ありますか?」

「いや、無いよ。食べ物屋じゃない所なら売ってるかもだが。」

「ありがとうございます。調べてみますね。」

「すまないな。代金持ってってくれ。」


 氷を買うお金を貰い移動する。

 取り合えず、屋台探しだ。

 雑貨を取り扱う屋台を探す。


「はぁ、締まらないなぁ。情けない。」

「大丈夫ですよ。よくある事です。」


 確かに、よくある事なんだけどね。

 でも多いのよ。この人。

 そろそろ慣れてきたけどね。


 ユリーシャが辺りを見渡し屋台を探す。

 すると、風呂敷を敷いただけのお店があった。

 どうやら、食べ物を扱う店では無いようだ。


「あれ、行ってみましょう。」


 早速そのお店へと向かう。

 そのお店には、風呂敷の上に商品が入った箱が置かれている。

 その奥で、笠のような物を被った店員が頭を垂れている。


「あの。」

「ん? 客か。どうぞ、見てってくれ。」

「えーと。冷やせる物あります?」

「冷やせる物か。魔法石ならあるな。」

「良いですね。布で包めば丁度良いかも。一つ下さい。」

「待っててくれ。」


 店員が懐の袋を開いた。

 その中に、青い石が沢山入っている。

 氷の魔法石だ。

 一つ取り出し布で包む。


「布はサービスだ。客が来ないから有り余っていてな。」

「そういえば、ほとんど売れて無いな。」

「食べ物の所に取られてるからな。その分、屋台からの注文が多い。」


 業者向けになってるんだね。

 まぁ、祭りに来て雑貨なんて買う人なんていないか。


 代金と引き換えに、魔法石が入った袋をユリーシャに渡す。

 受け取ったユリーシャがフィーに渡す。


「どうぞフィーさん。」

「ありがとう。それにしても、使い道の分からないものばかりだな。」


 フィーが袋を額に当てながら、商品を見ていく。

 どれも、使い道が分からないものばかりだ。


「気になるか? 汚れが簡単に落ちる布とか、壁にくっつく石とかあるが。」

「うむ。いらないな。」


 いらないね。

 商人向けばかりっぽいし。


 生活上では、使えそうではある。

 しかし、旅では使えそうにない物ばかりだ。

 その時、フィーがある商品に目を付ける。

 一件魔法に使う道具に見えるが。


「なんだ。契約札が気になるのか?」

「あぁ、なんか高いのがあるなって目がいってな。」

「へぇ、これが契約札なんですね。家が買えそうです。」

「そうだな。これぐらいが普通だ。金塊でも無ければ売れないな。」


 へぇ。

 って、何でそんなもの売ってんのさ。

 買う人絶対にいないって。


「売れるのか?」

「売れないな。」


 だろうね。

 売れたら驚くよ。


「これはただの客寄せだ。」

「なるほど。興味を持たせる為か。」

「そうだ。まぁ、買う奴がいるのなら売るがな。と言っても、金塊なんて持っている奴なんていないだろうけどな。」

「金塊ねぇ。」


 金塊。実はあるんだよね。

 大陸から出る時用に残してある奴。


 前回の旅で手にいれた奴だ。

 旅に必要な時の為に残してある。

 しばらくは、使う気がない物だ。


「あんたらでも良いぞ?」

「流石にいらないな。」

「そうだな。もう契約してるみたいだし。」


 してないけどね。

 まぁ、それで困っている訳でもないから。


 契約なんかなくとも充分戦えている。

 なので、契約が必要というわけではない。

 そんな話をしていると、賑やかな声が近づいてくる。


「あれ、もしかして動き出したか?」

「大変! 急がなくっちゃ。」

「くっ、すまない。急ごう。」


 ついに、三種の神器を乗せた台車が動き出したようだ。

 このままでは遅れてしまう。

 なので急ぐ必要があるのだが。


「おい待て。これ悲鳴じゃないか?」

「悲鳴だと?」


 店員の言葉に、フィーが耳を済ませる。


「誰か! ハンターを!」

「何でこんな所に魔物が!」


 間違いなく悲鳴のようだ。

 その声を聞いた直後にフィーが駆け出した。


「おいどけよ!」

「これだから来たくなかったんだ!」


 複数のリザードラに囲まれた観衆が悲鳴をあげている。

 そこに、ジリジリと距離を詰めるリザードラ。

 すると、台車の前に、ユリーシャの父親が立つ。


「くそっ! 来るなら来い! 俺が相手になる!」

「駄目じゃ! あんたに何かあったら!」

「分かってる。でも、この中のに何かあったら。俺!」


 台車の中には、娘の為に作られた物がある。

 父親として、どうしても守りたいのだ。

 その時、敵の奥から声がした。


「違う! ユリーシャが大事な物はっ!」

 

 その言葉と共に影が現れた。

 その影がリザードラの群れへと斬りかかる。


「はぁっ!」


 剣を抜いたと同時に一回転。

 まとめて三匹のリザードラが切り裂かれた。

 それにより、辺りの視線がフィーに集まる。


「なんだっ? 助っ人か?」


 観衆に見られるが、フィーは気にしない。

 振り向くリザードラに駆け寄り首を跳ねていく。

 そして、ユリーシャの父親の前に立つ。


「あんた。ユリーシャの。」

「ユリーシャが大事な物は道具じゃない! はき違えるな!」

「その通りじゃ! 逃げるぞ!」

「くっ。仕方ねぇ! 任せたぜ!」


 父親と村長が逃げていく。

 そこに敵が迫るが、フィーがさせない。

 一回転して、まとめて吹き飛ばす。


「今度はこちらの番だ!」


 前に踏み出して、目の前の敵を突き刺す。

 更に踏み込んで、二匹のリザードラを巻き込む。

 そこに他の敵が襲いかかる。


「ふっ!」


 フィーが剣を抜いて下がる。

 そこに、攻撃を空かした敵が迫ってくる。

 まずは一撃を逸らす。

 もう一度逸らした所で、相手に踏み込ませる。

 その隙を狙ったフィーが首を跳ねる。


「まとめて来い!」


 そして、剣を構え直したフィーが叫んだ。

 敵の注意を、自分に向けさせる為だ。

 その成果か、敵がまとめてフィーを襲う。


「それで良いっ。よっ、と。」


 攻撃を避ける。更に避ける。

 もう一度避けて、敵の首を跳ねる。

 その隙を狙った相手の攻撃を逸らして首を跳ねる。 


「なんだ? あの動き。」

「良く分かんないけど。」


 観衆の悲鳴が消えていく。

 そして、フィーの動きに見とれていく。

 フィーの動きは芸術による物だ。

 人を惹き付ける力がある。


「おい、逃げろ!」

「おっと、そうだ。今の内に。」


 フィーの声に、意識を取り戻す観衆達。

 急いで逃げ始めるが、そこに敵が襲いかかる。


「ちょっ、来てるぞっ!」

「くっ、間に合わん!」


 敵が逃げる観衆に気付いたようだ。

 そこに敵が迫るがフィーには届かない。

 その時、先程の笠を被った店員が現れた。


「君はっ。」

「気にするな。祭りが潰れると困るからなっ。」


 そう言って、笠の男が剣を抜く。

 そして、物凄い速度で敵の首を跳ねていく。


「早いっ。」

「商人は、足が強いからなっ!」


 各地を歩く商人は、足が強くないと成り立たない。

 それによって得た速度なのだ。

 次々と首を切り落としていく。


「ボケッとしてんなっ!」

「おっと、そうだった。」


 フィーにも相手は迫っている。

 迫る三匹の敵。

 一番前の攻撃を逸らすと同時に、その中へと入る。


「貰った!」


 そこで一回転して、三匹もろとも斬り飛ばす。

 しかし、まだまだ敵はやって来る。


「くっ、多すぎる。こんなにいたか?」

「いや。斬られた奴が立っているんだ。顔を拾い直してな。」

「なるほど。こいつらも植物か。」


 植物ゆえに何度も立ち上がるのだ。

 わざわざ首を拾い直してだ。

 まさに、不死身の生き物のようだ。


「にゃんすけはっ。いないか。」

「あんたの契約獣なら、もう片方に付いてるぞ。」

「助かるが。火の魔法石は無いのか?」

「置いてきた。こうなると分かればもって来てたが。」


 ユリーシャを守っているからこちらに来れない。

 火の魔法石もない。

 なので、火の攻撃はできない。


「ならば、動けぬように四肢を裂けば良い。合わせろ。」

「なるほどな。任せろ。」


 フィーと笠の男で相手を斬る。

 すると、相手は斜め十字に引き裂かれた。

 これでは立つことも出来ない。

 しかし、断面から蔦が伸びて周りのリザードラを巻き込んでいく。


「なんだ、これは。」

「こいつらは、死んだものを取り込む。はずなんだが。」


 以前の敵は、死んだもの達を取り込んでいた。

 しかし今、生きたままの仲間を取り込んでいる。

 そして、人よりも少し大きいぐらいに成長する。


「中型か。どうやら、取り込んだ量で変わるようだな。」

「なるほど。なら、固さもか?」

「鋭いな。その通りだ。」


 以前ほどではないはずだ。

 しかし、それでも強度は上がっているはずだ。

 それに、不死身な所も引き継いでいるはずだ。

 そんな中型のリザードラが、周りの味方を掴んで剣に変える。


「武器にも変わるのか。」

「そういえばだったな。」

「しかし、植物なら限界があるはずだ。ならば、それまで斬ればいい。」

「そういうことならっ。」


 まずはフィーが駆け出した。

 それに向かって、相手が剣を振り下ろす。

 しかし、それは罠だ。


「かかったな!」


 剣を横から叩いて逸らさせる。

 そして、腕を斬ってはね飛ばす。

 更に一回転して、相手を斬り飛ばす。


「今だっ!」

「任せろ!」


 笠の男が、後ろに倒れる相手に乗っかった。

 そして、首をはね飛ばす。


「よし。」


 今度こそ倒したのだろうか。

 しかし、相手が繋がっている腕で首を掴んだ。

 そして、笠の男へと振り落とす。


「危ない!」

「くっ。」


 咄嗟に宙返りで避ける。

 そして、すぐさま距離を取る。

 その間にも、相手が頭と腕をくっ付け直す。


「効かないか。」

「にゃんすけがいればな。」


 しかし、俺がユリーシャから離れる訳にはいかない。

 当然俺も、そんな事ぐらい分かっているので離れない。

 

「もう一度行くぞ。」

「了解だ。」


 こちらもまだ動ける。

 ならば、また斬るまでだ。

 もう一度斬りかかろうとした直後だった。


「うちの家族を困らせているのはあんたかい?」


 後ろの方から声がした。

 感じ慣れた圧と共に。

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