武器を買いました
「そんじゃ、早速準備に取りかかるぞ。」
「時間がねぇもんな。急ぐぜ。」
話し合っていた者達が部屋から出ていく。
いつまた、向こうが動き出すか分からない。
なので、迅速な行動が求められる。
ま、俺達には関係ないけどね。
頑張れー。
「さ、私達も行こうか。」
「はい。行きましょう。」
にゃん。
いつまでもいたら邪魔だろうしね。
行こー。
俺達もまた部屋から出ていく。
そして、来た道を戻り入り口へ。
その時、誰かに呼び止められる。
「ちょっと待った。」
「ん? もう出たんじゃなかったのか?」
そこにいたのは、格好つけの男。
まだ、残っていたようだ。
その男がフィーに向かって袋をつき出す。
「依頼料、忘れてるぜ。」
「おっと、すまないな。」
フィーが袋を受け取る。
すると、その重さに慌てて両手で支える。
「なんか、多くないか?」
「仲間を庇って壊れた武器の分だ。こっちの金の一部を入れておいたぜ。」
弁償って奴か。
良い人ではあるんだね。
「気にしなくても良いのにな。」
「つっても、武器なしでどう戦うってんだ? そいつで新しいのでも買っとけ。」
「そうか、わざわざすまない。えっと。」
「どうした。って、俺の名前か。フォルだ。よろしくな。」
名前を教えてない事に気付いたようだ。
親指で自分を指して名を名乗る。
やっぱり格好つけでもあるね。
まぁ、別にいいけど。
「私はフィーだ。よろしく。」
「おう。じゃ、次に依頼で会った時はよろしくって事で。」
お互いは、同じハンターだ。
ならば、また会う事もあるだろう。
別れを済ませて、今度こそ外へ。
「さて、武器か。」
「武器屋なら近くにありますよ。案内しますね。」
「それは助かるが、忙しく無いのか?」
「はい。後は自由時間ですから。」
という事で、武器屋へ向かう事になった。
歩き出すユリーシャの後に着いていく。
といっても、三つ横の建物だ。
「ここですよ。」
「本当に近いな。」
「ハンターの方ぐらいしか使いませんし。さ、入りましょう。」
そりゃそうだ。
一般人が武器なんて振り回さないしね。
早速、武器屋の中へと入る。
すると、奥にいた人物がこちらを見た。
「あれ、ユリーシャちゃん。どうした? 昨日来たばかりだろ。」
「仕事とは別件です。お客様をお連れしました。」
「そうか、客か。ゆっくり見てってくれ。」
店員のおじさんと挨拶を交わして店内を見る。
そこには、様々な武器が並んでいた。
歩きながら、武器を見ていく。
「へぇ。いろいろあるんだな。」
「そりゃあな。いろんな所から来る分、武器も色々と増やさなきゃいけねぇんだ。」
「売れるのか?」
「意外とな。世の中、いろんな奴がいるもんだと思い知らされる。」
フィーが武器を持って確かめる。
確かに、何でこんな物がという物も沢山あるようだ。
ほんと、凄い数。
棘の鉄球とか誰が買うのさ。
「もはや、種類に関しては王国級だな。」
「集めるのも楽しくなってな。お陰で自慢の武器屋になった。」
増えていくのが楽しいのか。
もはやコレクターの域だね。
売っちゃうけど。
「フィーさんは、どんな武器を使うんですか?」
「武器か。これといって、何が得意とかないな。」
「へぇ、珍しいな。どいつも、何かしらのこだわりを持ってるもんだがな。」
「こだわりか。」
そう言ったフィーが、ある一点を見る。
そこには、長い刃を持つ剣があった。
その瞬間、俺がフィーの服を掴む。
「なんだ。にゃんすけ。」
じーーーーーっ。
「・・・うん、そうだな。特にないかな。」
「そうか。中々面白いのが来たじゃねぇか。」
何とか守りきった。
これ以上、くどい展開にはさせませんよ。
店員のおじさんがこっちに来る。
どうやら、フィーが気になるようだ。
「今まではどんな武器を使ってたんだ?」
「これだ。」
そう言って、割れた銛を店員のおじさんに見せる。
すると、それを手に取り刃先を見る。
先には返しが着いており、漁で使う物だと一目で分かる。
「ほぅ、立派な銛じゃねぇか。って、何で銛なんだ?」
「貰い物だ。他にないからと餞別にくれた。」
「どんな餞別だよ。まぁ、槍とほぼ交わんねぇからな。問題は無いが。」
銛を置いた店員のおじさんが一つの武器を取る。
先程の銛と良く似た槍だ。
派手な装飾がついて重そうだ。
「これ突いてみてくれ。」
「分かった。」
フィーが手に持った槍を、何もない空間へと突いた。
その動きはぎこちなく、素人丸出しだ。
「わぁ、格好いいです。」
「いや、どこがだよ。本当にハンターか?」
「そうなのだが。」
「んじゃあ、もしかして素人か? 訳わかんねぇ。」
そう思うのも仕方無いよね。
うん、俺から見ても酷かった。
「ですが、凄い服装の人がフィーさんを誉めてましたよ?」
「凄い服装? フォルか。あいつが言うんならそうなんだろうけど。」
それで通じるんだ。
あの人、もしかして凄い人なの?
それからというもの、色々な武器を振っていく。
しかし、ユリーシャ以外には不評だ。
「分かんねぇ、分かんねぇよ。本気でやってんのか?」
「当然だ。」
「ぐぬぬぬぬ。こんなの初めてだぜ。」
「そうですか? 格好良いのに。」
なんか、うちの相棒がごめんなさい。
といっても、俺ですら分からないもん。
剣舞、あんた一体何もんなんだ。
「軽いとか重いのとかもねぇんじゃな。お手上げだ。」
「私も分からん。お手上げだな。」
あんたの事だよ。
何で、さっぱりな顔してんのさ。
「しゃあねぇ。人気な武器でも持ってくか?」
「そうだな。それで良い。頼む。」
「おう。じゃあ、待ってな。」
諦めたのか、店員のおじさんが人気らしい剣を掴んだ。
それを鞘から抜いて確かめている。
売る前に状態を確かめているんだろう。
「問題なし。んじゃあ、支払い頼むぜ。」
「分かった。」
支払いを済ませると武器を渡される。
よくある普通の剣だ。
受け取ると同時に、腰の紐に引っ掛ける。
うん、無難だね。
なんだかんだいって、普通が一番という事か。
まぁ、変なのを欲しがるなんて一部だろうし。
「それじゃあ、行こうか。」
「はい。」
「おう、ありがとな。」
最後に銛を掴んで外に出る。
とにかく買い物は出来たのだ。
武器に困る事も無いだろう。
「さて、これからどうしましょう。」
用事はもうない。
後はのんびりするだけだ。
「そうだな。まずは腹ごしらえといこうか。先程からお腹が空いてな。」
「私もです。もう、お昼も過ぎてますから。」
にゃ。
俺も同じです。
今日は一杯動いたからね。
「じゃあ、一緒に屋台巡りをしませんか?」
「そうだな。報酬も入った事だし。」
「ふふっ。誰かと一緒に回るのは久し振りなので楽しみです。」
楽しそうにユリーシャが歩き出す。
なんだか歩みが軽やかだ。
「おーい。慌てると転ぶぞ! にゃんすけ、私達も行こう。」
にゃん。
ご飯が待ってる。
行こー。
それから、三人で出店を回っていく。
そして、少し遅めの昼ご飯を買っていく。
ひとしきり買って、先程の橋へ。
「あ、それ食べたいです。」
「じゃあ、分けようか。」
「はい。にゃんすけもどうです?」
にゃん。
ありがたく頂きます。
川を眺めながらの昼ご飯。
時折、外の食事について聞いてくる。
興味があるのだろう。
そんな会話をしながら時間を潰す。
それは、夕方になり家に帰るまで続いたのだった。




