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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
森の精と嘆きの巫女 フラリア王国編

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「ん? 見ねぇ顔がいるな。」

「旅人だってよ。世話になっちまった。」

「そうか。感謝するぜ。」

「依頼をこなしただけだ。気にするな。」


 意外と誠実そうな人だね。

 なんかちゃらいけど。


 見た目は、格好つけた感じだ。

 しかし、仲間思いの所を見ると性格が良いのが伺える。

 そうこうしていると、巨大なリザードラが立ち上がる。


「やっぱ無傷か。お前ら、避難ついでにギルドに知らせろ!」

「しかし、信じてくれますかね。」

「こんなの見たら信じるしかないだろ。お前達も早く行け!」

「へいっ!」


 全ての村のハンターが避難を始める。

 このままいさせると危険だと判断したんだろう。

 リザードラの前に、翼の男と俺とフィーの三人が残る。


「お前達も引いて良いんだぞ?」

「足は引っ張らん。共に戦う。」

「そうか。同じ契約獣持ちらしいからな。頼りにさせて貰うよ。」

「同じ?」


 同じって。

 もしかして、あの翼の事?


「んじゃ、行くぜ!」


 真っ先に翼の男が飛び出した。

 それに対して、相手が拳を前に出す。

 それを避けた男が、ナイフを構えて顔に突っ込む。


「話は後で聞けばいいか。私達も行くぞ!」


にゃん!


 まずは、目の前の敵を倒すのが先だね。

 行くよ!


 俺とフィーも駆け出す。

 上を任せている間に下を攻める。

 二人合わせて、大木のような足に攻撃を与えるが。


「なるほど。これは固いな。」


にゃん。


 同じく。

 まるで樹を蹴ってるみたい。

 まぁ、実際植物なんだけどね。


 すると、足が動いたので急いで引く。

 はねのけようと、足を振ったようだ。

 その前に動いたので何とか避ける事が出来た。


「大丈夫か?」

「何とかな。しかし、攻撃が通らない。」

「そっちもそうか。こっちも同じだ。いくら攻撃を与えても通らねぇ。」


 強そうだけど、無理なのか。

 なら、こっちでどうにかするしかないか。

 俺にはあれがあるからね。


にゃん!


「っ。何か考えがあるんだな?」


 どうやらフィーに通じたようだ。

 割れた銛を構えて俺の出方を待つ。


にゃっ。


 じゃあ、遠慮はいらないね。

 行くよっ!


 まずは俺が前に駆け出す。

 そして、地面を蹴って宙を跳ぶ。

 そこから、ポイントダッシュエアで急接近。

 勢いを付けて足に突っ込む。

 しかし、効かない。


「にゃんすけ! 後ろだ!」


にゃん。


 相手の足を蹴って一回転。

 そして、フィーが構えた銛に着地する。

 そこから更にポイントダッシュで再び足に突っ込む。

 しかし、効かない。


「駄目か。」


にゃ。


 これでも無理だなんて。

 どんだけ固いんだ。


「くぅ、全然効かねぇ。どうすりゃ良いんだ?」


 向こうも手こずっているようだ。

 決定打が無さすぎる。


「くそっ。弱点でもあれば良いが。」

「うーん。弱点かぁ。顔が朽ちかけてるぐらいかな。それでも、俺の攻撃を弾きやがるからな。参考にはなんねぇか。」

「顔、だと?」


 さっき炎の球をぶつけた所か。

 効いてないから無視してたけど効いてたって事?


 男の言葉に、俺とフィーが顔を合わせて頷き合う。

 効いてたのならこっちの物だ。


「作戦がある。合わせてくれ。」

「会わせるっつったってよ。」


 動揺しているが気にしない。

 相手の顔に向けて炎の球を投げる。

 すると、当然向こうはこちらを見る。

 でも、それで良い。

 こちらに向けて、棍棒を振り下ろす。


「こっちだ!」


 地面を蹴って棍棒から逃れる。

 そして、横に駆けてたフィーの銛に着地する。

 それを蹴ると、棍棒胴体へとポイントダッシュ。


にゃん!


 もう一丁!


「来いっ!」


 胴体から銛へとポイントダッシュ。

 すると、相手の足が迫る。


「来てるぞ!」

「構うな!」


 フィーが叫んだ。

 しかしそれは、男に言った言葉ではない。


 俺に言ったんだよね?

 何度も戦ってきたから分かるよ。


 フィーの事は気にせず胴体へと跳ぶ。

 そしてフィーは、足に銛を当て受け流す。


「ひゅー。やるじゃねぇか。」


にゃん!


 感心するのはまだ早いよ!


 俺が胴体を蹴って空へ飛ぶ。

 それに合わせて、フィーが飛んで一回転。

 勢いを付けて、もう片方の足の膝裏を叩く。


にゃ、にゃ、にゃ、にゃっ。


 その間にも、ポイントダッシュエアで空高く飛んでいく。

 丁度相手は体勢を崩した所だ。

 しかし、まだ足りない。


「ははーん。そういう事ね。」

「おい、手を貸してくれ!」

「分かってるぜ! こうすりゃ良いんだろっ?」


 男が翼をはためかせて、相手の胴体に突っ込む。

 すると、相手の胴体が後ろに逸れる。

 

 それだ!

 丁度、良い感じだよ。


 角度は完璧。

 それを見た俺が、空にできた大きな点を蹴る。

 そのまま、相手に向かって急降下。


 でも、まだ足りないっ。

 だからっ!


 更に魔法で体を燃やす。

 そして、くるりと回って蹴りの体勢へ。

 相手の顔に向かって突き進む。


「行けっ!」

「ぶっ込め!」


貫け! ポイントダッシュミニメテオ!


 そのまま突き進み、相手の顔に突っ込み貫く。

 すると、その勢いで相手の顔が吹き飛んだ。


「よっしゃ、決まったな!」

「これでもう動けないだろう。」


 さすがに顔が飛んだら終わりだろう。

 しかし、俺達は一つ忘れている事がある。


「ん?」

「どうしたんだ?」


 男が違和感を感じる。

 それは、相手が中々倒れない事だ。

 上体を反らしたまま動かない。

 様子を伺っていると、相手が急に動き出す。


「な、なんだ!?」

「動き出しただと?」


 そう、相手は生き物では無いことだ。

 生き物でないなら、顔が無くとも関係が無い。

 顔がない相手は、再び棍棒を振り回す。


「ちっ。下がれ!」

「言われなくても。にゃんすけっ。」


にゃん。


 分かってるよ。


 相手の横を駆け抜ける。

 そして、二人と共に距離を取る。

 相手は無闇に、棍棒を振り回している。


「何なんだよ。いったい。」

「さぁな。だが、相手は植物だ。何でもありなんだろう。」

「植物? なんでそんなもんが。」


 植物が意思を持って動いている。

 普通はあり得ない事だ。

 暴れる相手を見ていると、後ろから馬車の音が聞こえてくる。

 そっちを見ると、受付の男が馬車に乗ってこっちに来ていた。


「おい、何なんだありゃ。」

「知るかっ。こっちが聞きたいぜ。」


 ほんとだよ。

 何なのあれ。


「あれは、生き物なのか?」

「さぁな。だが、意識はあったぜ。」

「あぁ、生き物の動きだ。間違いない。」


にゃ。


 間違いないよね。

 敵を選んできたし。


 実際、生き物らしく暴れている。

 すると、棍棒の先を首から突っ込んだ。


「なっ、何しやがるつもりだっ。」


 あまりにも意味が分からない動きだ。

 しばらく見ていると、棍棒の形が変わっていく。


「まさか、頭か?」

「棍棒を頭に変えたのか?」

「無茶苦茶だろ。」


 しかし、実際に頭が出来上がっている。

 そして、砕いたはずの頭が完成する。


「あーもう。何がなんやら。」

「って、しっかりしろ。こっちに来るぞ!」


 フィーの声に二人が反応する。

 飛び込んできた相手を、各自散らばり避ける。


「仕方ねぇ。とことんやるぞ!」

「くっ、にゃんすけ。もう一度出来るか?」


にゃん。


 出来ると思うけど。

 でも、意味があるのかな?


 相手は無限に生き返る。

 ならば、同じ事をしても意味がないかもしれない。

 それでも、やらなければ村が危ない。


「おっさん! あんたは村に戻ってギルドに報告だ!」

「わ、分かっ。おい、何か来てるぞ!」

「今度はなんだっ!」


 受付の男が指をさす。

 そちらを見ると、何かが飛び込んできた。

 そして、巨大なリザードラに噛みついた。


「おいおい、今度は魔物かよっ。何でこんな所に。」


 そいつは、巨大な魔物だ。

 鼻が長く、赤い模様で二足歩行だ。


「あいつはまさか。」


 ユリーシャが。

 言っていた奴。


 昨日ユリーシャが言っていた魔物。


「コロ?」


 特徴は一致している。

 そのコロらしきものの口から緑の炎が吹き出した。

 そして巨大なリザードラを、その緑の炎が包んでいく。


「やっつけちまった。」

「まじかよ。」


 あれほど苦戦した相手が、一瞬で焼け落ちた。

 目の前に、コロらしきものだけが残る。

 そして、こちらを見る。


「なんだ? やろうってのか!」

「待てっ!」


 翼の男が飛び出した。

 フィーが止めるも意味がない。

 すると、コロらしき相手が牙を向いた。


「やられる前にやる!」


 それは、ハンターとして当然の動きだ。

 魔物や魔獣が出たら倒すのが仕事だからだ。

 しかし、俺とフィーはそうはいかない。


「くらえっ!」

「させん!」


 一人と一匹が交差する瞬間、フィーが割り込んだ。

 銛の持ち手で男のナイフを流して押さえ、刃先をコロらしき相手の顎に向ける。

 それにより、双方が止まる。


「あんた、なにしてんだよ。」


 フィーは答えない。

 唸る相手をじっと見ている。


「お前、コロだな?」


 その一言で、相手の目が見開き唸りを止める。

 どうやらコロで間違いないらしい。


「知り合いか?」

「知り合いの知り合いだ。敵じゃない。」


 実際に、こちらへの殺意が消えた。

 どうやら、敵対関係ではないようだ。


「私は、ユリーシャの友だ。先に攻撃を仕掛けたのは謝る。許して欲しい。」


 ユリーシャの友であると、味方だと伝える。

 すると、コロはフィーの匂いを嗅ぎだした。

 そして、納得がいったのか後ろを向く。


「ユリーシャが会いたがってる。どうして、いなくなったんだ?」


 どうして、ユリーシャを残して去ったのか。

 しかし、少し立ち止まってから空へと飛んだ。


「待てっ!」


 フィーの声も虚しく、コロは空へと駆けていく。

 そして、雲の向こうへと姿を消した。

 静寂がその場に残る。

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