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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
森の精と嘆きの巫女 フラリア王国編

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驚きの正体でした

「いやぁ、助かった。ありがとな。」

「いや、助けるのも依頼のうちだ。」


 最初のチームの男が、フィーにお礼を言う。

 しかし、当たり前の事をしただけとフィーは気にしない。

 今度は女性が聞いてくる。


「見た事がないけど、あなた新人?」

「いや、旅人だ。時間を潰しに来ただけだよ。」

「なるほど。どうりで見ないわけね。」


 恐らく、この村のハンター達だろう。

 来たばかりのフィーが気になるのも当然だ。

 そして、視線が俺に移る。


「この子は、貴方の契約獣? 可愛い。」

「あぁ、共に旅をしている。」

「へぇ、羨ましい。魔物の顔ばかりで嫌になってたのよね。」


 女性のハンターが俺を撫でる。

 そして、顔を引っ張ったり両側から指先で押したりしてくる。


 あの、痛いです。

 もう少し、優しくお願いします。


「ま、あんたもありがとな。」


にゅーん。


 ほういはひまひへ。

 頬擦りされてるせいで喋れないんだけど。


「それにしても、いつもあんな戦いをしているのか?」

「いや。いつもはもっとハンターが多いからな。そこまで苦労しないぜ。」

「そういや、また減ったよな。あいつらも見かけねぇ。」


 最後に来たハンターが周りを見回す。

 知り合いのハンターの事だろうか。

 いつもは人数に困らないから対処出来てるらしい。


「そういえば、祭りの準備をしてるんだったか。」

「それもあるけどな。ただ、ハンターギルドに愛想をつかしている奴もいる。」

「愛想を?」

「あぁ、そうだ。討伐したっつっても信じてくんねぇ。」

「・・・。そういえば、受付の人が言ってたな。」


 言ってたね。

 嘘の報告がどうやらって。


「何度も説明してるんだけどな。」

「そうそう、何度も言ってんのに死体がねぇってよ。信じてくんねぇんだ。」

「そうか。じゃあ、嘘じゃないんだな?」

「当然だ。そもそも、嘘ついたって報酬なんて増えねぇからな。意味ねぇよ。」


 他のハンター達が頷いている。

 ここにいる皆が見ているのだろう。

 配られる報酬は、見回りの分だけ。

 だから、倒したと言おうが言わなかろうが意味がない。

 それなのに、ギルドは信じてくれないのだ。


「ギルドは死体は確認したのか?」

「それは、その・・・。」

「どうした?」


 言いづらそうにしている。

 なにかあるのだろうか。


「実は、消えるんだ。」

「消える? そんなまさか。」


 リザードラの死体を見る。

 しかし、依然としてそこにある。

 死体が消えるなんてあるのだろうか。


「本当なんだって。こう、崩れるように。」

「というか、朽ちて崩れるようにと言った方がいいな。」

「朽ちて崩れるか。」


 死体が崩れる?

 風化したみたいな感じ?


「調べたりはしないのか?」

「それなら、俺達のリーダーが森を調べてるぜ。」


 そう言ったのは、後から来たハンター達の一人だ。

 こんな非常事態にでもなると、調べるのは当然だろう。

 

「見ねぇと思ったらそういう事か。」

「あぁ。仲間達に呼ばせてるから直ぐに来るぜ。もう遅いけどな。」

「もう敵いないからな。あの人がいたら苦労せずに倒せてたんだけど。」

「しゃあねぇだろ。森に一人で入れるなんてあの人だけなんだし。」


 どうやら、その人の事を信頼しているようだ。

 それほどの人物なんだろう。

 つまり、そんな人物が離れないといけないような事が起こっているのだ。

 すると、最初のハンターの大男が声をかける。


「おい。死体を見ろ。」

「ん? あっ、ほら、やっぱり!」


 この場にいる全員が死体を見る。

 すると、先程言っていたように朽ち始めていた。

 どうやら、本当の事で間違いないらしい。


「朽ちるか。まるで植物みたい、な・・・。」


にゃん。


 どしたの?

 驚いた目をして。


「まさかっ。」

「おい、どうしたんだ?」


 いきなり、フィーが死体へと向かう。

 周りが聞くも答えない。

 代わりに銛を取り出して、死体に突き刺す。


「やはり。」

「いったい何が。」

「植物だ。」

「えっ?」

「こいつら全部植物で出来ている。」

「な、なんだとっ!」


 衝撃の事実。

 でも、確かに植物っぽい。


「確かに、言われて見ればだな。」

「じゃあ、植物が意思を持ってるって事なのか?」

「そうなるな。」


 実際、風化した植物のように崩れている。

 銛を刺す度に、枯れた植物のようにポロポロと破片がこぼれる。

 しかし、それだけでは終わらなかった。


「くっ、これはっ。」

「今度はなんだよっ。」


 死体から蔦が伸びて、銛に巻き付いたのだ。

 そして蔦が延びると、周りの死体を飲み込み始める。

 そして、フィーにも迫る。


「くっ。にゃんすけっ!」


にゃん!


 任せてっ!


 炎の球を飛ばして蔦にぶつける。

 そして、蔦を吹き飛ばしてフィーを解放する。

 自由になったフィーは、咄嗟に下がる。


「助かった。」


にゃん。


 どういたしまして。

 間に合って良かったよ。


 伸び続ける蔦は、死体を飲み込みながら大きくなっていく。

 そして、人よりも一回り大きいぐらいに成長する。


「どういう事か説明してもらうぜ。」

「こいつらは火に弱い。しかし、にゃんすけの炎で焼かれた。朽ちる様子も見て植物だと気づいたんだが。」


 蔦が伸びる勢いが止まる。

 そして、次第に何かの形になっていく。


「これの事は知らん!」

「おいおい。」


 おいおいだよ。

 でも、何なんだ? これ。


「ねぇ。リザードラじゃない?」

「言われてみればだ。」

「俺もそう見えるぜ。」


 自分もそう見える。

 シルエットも完全にそれだ。


 見た目は蔦の塊。

 しかし、所々がリザードラの体に見えるのだ。

 次第に、その形がリザードラそのものになる。


「どう思う?」

「敵、だろうな。」

「だよな。」


 完全にリザードラの姿になったそいつが動き出す。

 そして、こっちを見て拳を振り上げる。


「来るぞっ!」

「言われなくともっ。」


 後ろに飛んだ直後に、拳が降ってくる。

 完全に敵対しているようだ。

 それに対して、ハンター達が武器を取る。


「こんなのが村に来たら不味いぞ!」

「分かってるっ!」


 間違いなく影響は大きいだろう。

 被害も沢山出るかもしれない。

 ならば、ここで食い止めるしかないだろう。


「まずは、俺達だ。先程活躍出来なかった分、暴れてやろうぞ!」


 後から来たハンター達が飛び出した。

 再び迫る拳を避けて接近する。

 そして、攻撃を仕掛けていくが効かない。


「かてぇ!」


 刃先が肉体を通らない。

 そして、蹴られて吹き飛ばされる。

 更に、踏み潰そうと足が降ってくる。


「まずいっ!」

「させるかぁ!」


 先にいたハンター達が飛び出した。

 大男が突っ込んで足を逸らせる。

 そこに、二人の男女が斬り込んだが。


「なんだこれっ。」

「固すぎるよっ。」


 やはり刃先は通らない。

 肉質が固いのだろうか。

 すると、両手を絡めた塊が降ってくる。


「にゃんすけ!」


にゃん!


 分かってる、よっ!


 咄嗟に、炎の球を作って投げる。

 それが相手の顔に直撃すると、仰け反って動きを止める。


「今のうちだっ!」

「助かるっ!」


 動きを止めた隙に離脱する。

 近くにいては危険過ぎるのだ。

 引いたと同時に、相手も体勢を戻す。

 そして、仲間の死体を掴んだのをフィーが見る。


「投げるつもりか?」

「つっても、あんなの投げられた所で何になるよっ。」


 まぁ、そうだけど。

 たぶん。


 朽ちた植物を投げられた所でたいした事は無い。

 しかし、意味の無いことはしないはずだ。

 すると、相手が死体を高く掲げた。


「やっぱりか。目隠しでもするつもりかよ。」

「舐めやがって。かかってこいやぁ!」


 話し合ってた違うチームの二人が駆け出した。

 真正面からやりあうつもりだ。

 次の瞬間、手に握った死体から蔦が伸びる。


「ま、待てっ!」


 フィーが止めるももう遅い。

 伸びた蔦が棍棒の形になった。

 そして、迫る二人へと振り下ろされる。


「しまっ!」

「ふざけんなぁ!」


 既に範囲の中だ。

 このままだと、二人まとめて潰されてしまう。

 周りの者も、悲鳴をあげるだけで何も出来ない。


「世話が焼けるっ。にゃんすけ!」


にゃん。


 あいよっ!

 もう一発、喰らっとけ!


 もう一発の炎の球が頭に直撃。

 しかし棍棒は、速度を落としただけで止まらない。

 でも、それで良い。

 前に出たフィーが、棍棒を受け止めれたからだ。


「くっ、助かった。」

「良いから早く! これ以上はもたない!」

「すまねぇっ。」


 体もそうだが銛も限界だ。

 少しずつヒビが入っていく。

 そして、ついに限界が来た。


「これ以上はっ。」


にゃん!


 危ない!


 危険を感じて、俺が飛び出す。

 そして、銛が砕けたと同時に棍棒を蹴飛ばした。

 フィーもまた、砕けた片方をぶつけて逸らす。


「大丈夫かっ!」

「何とかな!」


 棍棒が横に落ちる。

 どうやら無事やり過ごせたようだ。

 後ろに飛んで距離を取る。


「もう気をつけてよねっ。」

「今のは、悪い手だぞ?」

「悪かったって。」


 助かった男は、後ろで仲間達に怒られている。

 心配させてしまったので仕方ないだろう。


 いや、ほんとにね?

 気を付けてね?


「って。あんた、武器が。」

「すまねぇ。俺達のせいだ。」

「気にするな。適当に貰った物だ。」


にゃー。


 でも武器が無くなったよ?

 どう戦うの?


「大丈夫。何とかなるさ。」


 何とかって。


 そう言っている間に、相手が動き出す。

 再び棍棒を上げて前に出る。


「おい。また来るぞ!」

「ちくしょう。避けろっ!」


 また降り下ろすつもりのようだ。

 精一杯振り上げてこちらに来る。

 そして、棍棒を振り下ろそうとしたその時だった。


「見ない間にとんでもない事になってんなぁ。」


 相手の背後から何かが飛び上がった。

 そして、急降下して首に突っ込む。


「おらよっ!」


 何かをしたのか、相手の胴体が前に押し出される。

 何とか耐えて後ろを見るが何もいない。


「まだだっ!」


 何かをしたと同時に、くるっと下に回っていたからだ。

 そのまま今度は、膝に何かをする。

 それにより、相手の膝が曲がって後ろに傾く。


「こっちだぜ。」


 何かがあちこち飛びまわる。

 早くて目で追う事が出来ない。


「あれはっ。」

「ようやく来てくれたか。」

「知っているのか?」


 知ってるの?

 何か人間の動きじゃないけど。


「当然だろ! 俺達のリーダーだぜ? 分からない訳ねぇ!」


 リーダー?

 さっき言ってた人? 


 リーダーと呼ばれている何かは、飛び回っては突っ込んでいく。

 その度に、相手が体勢を崩していく。


「んじゃ、とどめといくかっ!」


 最後に足を払うと、高く飛び上がった。

 そして、一度くるっと回ってから相手に突っ込む。

 すると、その衝撃で相手が倒れる。

 その直後に、地面に着地する。


「よっと。」

「リーダー!」


 その人物は、マフラーとマントを着けた男性だ。

 そして、背中に大きな翼を生やしている。

 

「無事だったか? お前ら。」


 その男は、チームの仲間を見てからそう言った。

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