大蛇を皆で食べました
朝日の日差しを受けながら、焚き火へと戻る。
騒いでいたマッチョや村人は少ししかいない。
離れた所でミランがただ一人寛いでいた。
「皆はどうした?」
「神殿の解体。だ、そうですよ。」
「あぁ、なるほど。」
神殿の上の方を見ると、人溜まりが出来ている。
上から解体していくようだ。
あれもどうにかしなきゃだもんね。
残してたら目立つし。
盗人とか呼び寄せそうだし。
「それより、フィーさんは寝ないんですか?」
「濡れた服の状態で寝たくはない。」
「ですよねぇ。」
風邪引くからね。
それに、水で濡れて身持ち悪いし。
「にゃんすけも乾いてから?」
にゃん。
そう言う自分も同じです。
今すぐにでも寝たいんだけど。
「おーい、嬢ちゃん。大蛇持ってきたぜ。」
神殿の横からミラン父が現れる。
後ろにマッチョ達が並んでいる。
大蛇の体の一部をそれぞれが担いでいる。
「運びにくいから切っておいたぜ。」
「問題ない。それじゃあ、・・・どうしようか。」
「考えて無いのか。」
「思い付きだからな。」
威張らなくてよろしい。
自分も思い付かなかったけどね。
「これ全部焼くとなると時間がかかるな。」
「確かにな。まとめて焼けたら良いんだが。」
量が量だからね。
大きいから火も通らないだろうし。
どうするか考えている。
すると、村長がやって来た。
「それなら良い案があるよ。」
「良い案?」
「ほら、使いの人さん。わしのところで作ってたでしょ。」
「あぁ、団子の事か?。」
「そうだよ。本来は魚でやるんじゃが、その肉でも出来ると思うよ。」
魚肉団子って奴ね。
どっかと言うとハンバーグかな?
「んー。良く分からんが、面白そうだな。ちょっと教えてくれ。」
「いいよ。どうせなら皆でやろう。」
村長が他の村人を呼ぶ。
それが伝わり、村人が増えていく。
台や包丁も用意される。
「おーい。調理台の準備が出来たぞぉ。」
「まずは、身を切ってと。あれ固い。」
「切り落とすなら俺がするぜ。」
ミランの父によって魚が置かれ台の上へ。
それをさらに、村長が粉々に切っていく。
「お、いけそうだな。後は団子と同じだよ。捏ねて丸めて焼く。簡単だろ?」
「へー。良く考えるなぁ。」
「ゴブリンに捕まっている間に、食べ物を保存して残す方法を探していたんじゃよ。団子にして焼いちゃえば、腐りにくくなるじゃろ?」
まぁ、生よりは持つだろうね。
少しだけど。
そうやって、普通の団子にたどり着いたんだろうね。
村長が大蛇の肉を捏ねて棒に刺して焚き火に当てる。
ミラン父も同じように団子を作って焼く。
団子に焦げ目がつくと取り出す。
「試作品の出来上がりです。さ、食べましょう。」
「おう、頂くぜ。」
二人が団子を一口。
周りがそれを黙って見届ける。
「こいつぁ。」
「美味しくないのぅ。」
だろうね。
だって蛇の肉だし。
「不味くはないが美味しくもねぇ。」
「そうじゃの。でも、久し振りの肉が空腹に効くのぅ。」
村長がお腹を擦っている。
お腹に物が入った時の余韻を味わっているのだろう。
「俺も食いてぇ。」
「俺もだっ。」
「よっしゃあ、まとめて作ろうぜ。台持ってこーい。」
台が並べられていく。
そこに、村人が並んで団子を作っていく。
マッチョもそれに混ざる。
「誰か、出来た奴に火を通してくれないか?」
「私がやるわよ。」
「俺もやるぜ。」
団子に火が通って完成していく。
それを村人が食べていく。
「あっははは。なんだこの味。」
「どれどれ? ほんとだっ、美味しくなーい。」
「まじでな。でも、腹が寄越せって。」
「あー分かる。もっと食べたいっ。」
村人達は、大蛇の団子を食べて笑っている。
団子が満たすのは、お腹だけではないのだろう。
「この光景を見るのは二度目だな。」
にゃん。
「楽しそうですね。」
「あぁ、守れて良かった。」
そうだね。
頑張ったから見れた光景だ。
「おーい。お前達も食ってみろよ。」
ミランの父が、団子を持ってくる。
それを貰って、口に放り込む。
「ほんとだ。美味しくない。」
うん、全然美味しくないね。
後、食感もへん。
「どうだ? 嬢ちゃん。」
「そうだな。・・・美味しくないなっ!」
フィーがとびきりの笑顔を見せる。
それにつられ、二人も笑う。
ただの味の感想じゃ無いって知ってるよ。
俺も同じだからね。
「おーい。これ、後始末している奴等にも配ろうぜ。」
「さんせーい。」
団子が作られ、焼かれて、そして並べられる。
団子が乗ったお盆が運ばれていく。
入り口に、神殿に、村中に。
「まだまだいっぱいあるぞっ。」
「人手が足りねぇ。」
村人は、忙しそうだ。
運ぶお盆も増えていく。
大蛇の肉は、まだまだある。
「おやっさん、手伝ってくれ。」
「おぅ。今行くぜ。」
マッチョが呼ぶと、ミランの父が手を上げて返事する。
すると、フィーが立ちあがる。
「なら、私も行こう。団子作りには、自信があるんでな。」
「私もやる。面白そう。」
にゃん。
もちろん俺も行く。
負けてられないね。
「やる気充分だな。じゃあ、早速。」
「おやっさん。待ってくれ。」
「ん? どうしたよ。」
ミランの父を、マッチョが止める。
神殿の奥から来たので、船で大蛇を解体したマッチョだろう。
「これ、見てくれ。」
マッチョがミランの父に、何かを投げた。
受け止めたミランの父がそれを見る。
「なんだこりゃ。宝石か? どこでこれを?」
「大蛇の頭が急に光ってな。切って確認したらそいつが出てきた。」
「変な話だな。ほい、嬢ちゃん。」
ミランの父が、宝石をフィーに渡す。
それを受け取ったフィーがそれを見る。
ミランもそれを覗きこむ。
「良いのか?」
「良いも何もお前さんのだろう。」
確かに倒したのはフィーだしね。
受け取る資格もフィーにある。
「そんなものより、前の飯だ。ほら、行くんだろ?」
「二人とも、行くよ。」
「ちょっと待ってくれっ。」
フィーが、宝石を懐に入れる。
歩き出したミランの父とミランを、後ろから追いかける。
「さて、やるか。」
「任せろ。」
それからは地獄だった。
次から次へと団子を作っていく。
終わったと同時に、新しい肉が運ばれる。
それから何時間たっただろうか。
「終わりっ。もういいよっ。」
配り終えたようだ。
マッチョ達以外は、疲れて机に突っ伏している。
フィーも机にもたれている。
ちなみに俺は、地面に倒れている。
「疲れがぶり返した。結局寝れなかったしな。」
にゃん。
すっかり忘れていたよ。
気付いたら急に眠気が。
「大蛇の肉、まだまだあるな。」
「残りは干物にでもするかのう。」
「干物?」
「乾燥させて腐らないようにするんじゃ。団子より長持ちじゃよ。」
「面白そうだな。教えてくれ。」
村長とミランの父が、残りの肉の場所へ。
フィーと俺は、それを見送る。
だって動きたくないんだもん。
「あっ、お姉ちゃん。何してるの?」
「面白そう。」
双子が起きてきたようだ。
広場に並んだ台を見ている。
「もう起きて良いのか?」
「うん。平気だよ。」
「元々、夜遅くまで寝てたからね。」
ゴブリンの襲撃が来て起こされたんだね。
なら、ちゃんと寝れたって事だね。
フィーが起き上がる。
そこに、双子が近付いてくる。
「二人はご飯食べたか?」
「まだだよ。」
「だよ。」
起きたばかりのようだ。
なら、お腹が空いているのも当然だ。
「なら、一緒に団子を作ろうか。」
「団子?」
「美味しいやつ?」
「美味しくないやつ。」
「「なにそれっ!」」
双子が笑っている。
実際、美味しくないから仕方ない。
「じゃあ、私貰って来るね。」
ミランが走っていった。
動けないこっちに気を使っての事だろう。
というか、元気だね。
流石、漁師の娘。
「さてと、やるか。」
気合いで起きて再び調理台へ。
寝れるのはいつになるだろうか。




