表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
大蛇祭る隠れ村 フラリア王国編
20/286

神殿の結界、崩しました

 まずは小手調べ。

 くらえっ。


 炎の玉を投げる。

 真っ直ぐ飛んだ炎の玉が、体がゴツいゴブリンに直撃。


「効かねぇんだよっ。」


 打ち落とさずに、直で受けやがった。

 しかも、全然びくともしていない。


「おらっ。もっと来いよっ。」


 しかも、煽ってきたし。

 ならこれでっ。


にゃっ。


 今度は、最初から拡散させた炎の玉を投げる。

 今度も打ち落とさずに直撃。

 次々と当たっていくが、全てを胴体で受けとめきられてしまった。


「はっ。対したことねぇな。」


にゃっ。


 ちくしょう。

 これならっ。


 炎を溜めて大きな玉を投げる。

 直撃して分裂。

 上空に飛んだ炎の玉が、ゴツいゴブリンに降り注ぐ。


「終わりかぁ? じゃあ、今度はこっちから行くぜっ。」


 ゴツいゴブリンがこっちに向かって駆け出した。

 それに向かって、炎の玉を投げていく。


 このこのこのっ。

 止まれっ。


「無駄無駄ぁっ。」


 全然止まらない。

 ならば爆発でっ。


 最後の一個を爆発させる。

 それにより、ゴツいゴブリンが煙に包まれる。

 次の瞬間、ゴブリンが煙から飛び出した。


「無駄だっつってんだろっ。」


 やばっ。

 ぶつかるっ。


 直撃の瞬間に、横にかわして避ける。

 そのまま進んだゴツいゴブリンは、樹に衝突した。

 その衝撃に耐えられず、樹は倒れてしまった。


「どうだ? 固さってのもすげぇ威力だろ。」


 なるほど。

 こいつは固さって事だね。

 ならっ。


にゃっ。


 思いっきり蹴る。

 しかし、びくともしない。

 相手のお腹を蹴って離脱。


「無駄だって言ってんだろがっ。」


 再び、ゴツいゴブリンが突っ込んで来た。

 それを、横に飛んでかわす。

 すると、今度はブレーキをして方向転換。


「これは、かわせるかぁっ?」


 勢いよく飛んで、殴りかかってきた。

 俺は、後ろに跳んでかわす。


「まだまだっ。」


 さらに、殴りかかってきた。

 こっちもさらに、跳んでかわす。


「おらっ。」


 またまた、殴りかかってきた。

 こっちも、またまた同じくかわす。


 何度も殴ってくる攻撃を、後ろへのポイントダッシュでかわしていく。

 そして、段々後ろに追い込まれていく。


「それ以上行くと樹にぶつかるぜぇっ。」


 知ってるよ。

 誘導したからねっ。


 今度は後ろに一回転。

 樹を蹴って、ゴツいゴブリンに突っ込む。


にゃっ!


 体勢を変えてドロップキック。

 ポイントダッシュで溜めた威力を解き放つ。

 受けたゴツいゴブリンが、後ろに下がる。


「ぐぅっ。効かねぇなぁ。」


 ダメージは無しか。

 無茶苦茶だね。


 お腹を蹴って後ろに飛ぶ。

 そして、一回転して着地。

 すると、目の前にゴツいゴブリンが迫っていた。

 

「隙ありだっ。」


 やばっ。

 いつの間にっ。


「させんっ。」


 フィーが目の前に現れた。

 鞘でゴツいゴブリンを受け止める。


「なんだぁ。さっきまで見てただけのくせによう。」

「お前の弱点を探していただけだ。」

「ほう。で、見つかったかよ。」

「あぁ、お前は遅い。そしてっ、力は弱いっ。」


 鞘で拳をはねのけて長包丁で斬る。

 狙いは首。

 直撃したが傷は無し。

 

「あぁそうさ。一発の威力はよえぇよ。だがそれがどうしたっ。」


 フィーに蹴りが迫る。

 それを、後ろに倒れてかわす。

 そして、俺がフィーの肩を足場にジャンプする。


「行けっ。」


にゃっ。


 相手の足に、こっちも足を当てる。

 すると、相手は吹き飛んだ。


 確かに弱い。

 もしかして、こいつは。


「固さを利用して生まれる重さを利用しなければ、たいした攻撃が出来ないって事だ。」


 フィーが立ち上がって斬りかかる。

 しかし、腕で防がれてしまう。

 もちろん傷はない。


「だからっ。それがどうしたってんだ。結局、俺に傷一つつけれねぇんだろが。」


 それはそうだ。

 なら、何度でも攻撃すればいい。


にゃっ。


 フィーが下がり、俺が前に。

 ゴツいゴブリンに蹴りかかるが。


「おらっ。」


 俺に向けて殴りかかってくる。

 それを、冷静に見てかわす。

 すると、腕と肩に点が。


 点を蹴ってポイントダッシュ。

 肩を蹴ってジャンプ。

 後ろに跳んで一回転。


「くそっ。」

「させん。」


 蹴られた肩の方の拳を振るうが、前に出たフィーが鞘で止める。

 鞘で拳を逸らして、横に避ける。


「にゃんすけっ。」


 着地した直後、フィーの鞘とゴツいゴブリンの腕にポイントダッシュ。

 鞘を蹴った後、ゴツいゴブリンの腕を蹴飛ばす。


「くそがっ。」


 くるりと後ろに回って、先程ので倒れていたフィーの鞘へ。

 そこから、上にジャンプ。


「何しやがるつもりだっ。」


 こうするつもりだよっ。


 爆発の衝撃を蹴って、ゴツいゴブリンに突っ込む。

 そこからの、ドロップキック。

 相手はかわせず、顔に直撃。

 ついに相手は倒れるが。


「何度やっても無駄だよ。弱点なんてもんはねぇぞ。」


 ゴツいゴブリンがゆっくり起き上がる。

 鼻血の一つも出していない。


 まじかよっ。

 無敵じゃん。


「とっとと諦めたらどうだ? てめぇらじゃあ、俺には無理なんだよ。」

「くそっ。どうすれば。」


 何をやっても歯が立たない。

 ダメージが無いなら倒せない。


「リーダー。そろそろ時間だ。」

「ふっ、そうだったな。後はお前に任せるぞ。」

「あ? あぁ、大陸中から集めたゴブリンを迎えに行くんだったな。構わねぇぜ。ここは任せて行ってきな。」

「うむ。ではさらばだ。」


 手を空にかざした瞬間、上のゴブリン二匹が見えなくなった。

 飛んでいったとかではなく、その場から姿を消したのだ。


 ワープの魔法かな。

 って、そんな事より、とんでもない事言ってなかった?


「大陸中のだと?」

「そうだ。ここから俺達の世界が始まるんだ。お前達は、その生け贄だっ。」


 しまったっ。

 勢いをつけさせてしまった。


「くぅっ。」


 横にジャンプ。

 何とかかわすっ。


 ゴツいゴブリンは、樹にぶつかって止まった。

 振り向いて、俺達じゃ無い方を見る。


「おい。いつまで寝てんだっ。」

「ぐっ。分かっている。」


 剣使いのゴブリンが、無理矢理体を起こした。

 そして、剣を掴んでゴツいゴブリンに並ぶ。


「時間が無ぇ。力合わせて潰すぞ。」

「あぁ。」


 いきなり、剣使いのゴブリンが駆け出す。

 とっさにフィーが受け止める。


「おらぁ、避けなぁっ。」


 急に剣使いのゴブリンが避ける。

 その代わりに、ゴツいゴブリンが突っ込んでくる。


「避けれんっ。」


にゃっ。


 咄嗟にフィーを蹴ってかわさせる。

 ゴツいゴブリンは、そのまま通り過ぎる。


「そこっ。」


 剣使いのゴブリンが、倒れたフィーに襲いかかる。

 フィーは、鞘でそれを受け止めた。

 そのゴブリンを俺が蹴って助けるが。


「まだだぜっ。」

「ちっ。」


 ゴツいゴブリンが再び突っ込んでくる。

 何とか立ち上がったフィーがそれをかわす。


「ふっ。」

「くっ。」


 再び剣使いのゴブリンが斬りかかってきた。

 何度か斬っていくが、フィーの足を蹴って転けさせる。


「もういっちょうっ。」

「させんっ。」


 フィーが転けた所に、ゴツいゴブリンが突っ込んでくる。

 今度はフィーが、鞘をゴツいゴブリンの足に当ててこけさせる。


「くらえっ!」


 またまた、剣使いのゴブリンが。

 ってさせんっ。


 魔法を撃って下がらせる。

 ゴブリン二匹が並んだ所に炎の玉を放り投げる。


にゃっ!


「おらっ!」


 前に出たゴツいゴブリンが、それを拳で弾いた。

 こっちは、手も足も出せない。


「お前らは馬鹿か? 一体いつになったら無駄って学ぶんだよ。いいか、俺はこの結界と同じぐらい固てぇんだ。俺すら傷をつけれねぇあんたらに、この結界は壊せねぇんだよっ。」


 なるほど、同じくらい固い、か。

 良い事を聞いた。


にゃん。


「何か考えがあるのか?」


 じっとフィーを見つめる。

 フィーもこっちを見つめてくる。

 そして、フィーが息を吐いて剣を構えた。

 

 伝わったようだね。

 まだ、諦めてないって事をっ。


にゃん。


 俺は、勢いよく駆け出した。

 フィーも後をついてくる。


「これでしまいに、しようやぁっ!」


 ごもっともっ。


「はっ。」


 まず、剣使いのゴブリンが斬りかかって来る。

 それを、フィーが受け止める。


にゃっ。


 剣使いのゴブリンのお腹を蹴飛ばした。

 そして、フィーが取り出した鞘に移って、そこからさらにジャンプ。


「行けっ。」


 爆発を蹴って、ゴツいゴブリンの下へ。

 着地した瞬間に拳が迫る。


「そっちから来るなんてなっ。」


にゃっ。


 そうだ…ね。


 かわして懐に。

 地面を蹴ってゴツいゴブリンを蹴り上げる。

 そこからジャンプ。


にゃっ。


 空に飛んだゴツいゴブリンを、さらに蹴り上げる。

 俺も爆発を蹴って、追いかける。


 おらっ。


 さらにゴツいゴブリンを蹴り上げる。

 俺も、さらに爆発を蹴って追いかける。


 まだまだっ。


 まだまだ蹴り上げる。

 さらに追いかける。


 もっと。


 蹴る、追う、蹴る、追う、蹴る、追う、蹴る、追う、蹴る、追う、蹴る、追う。


 気付けば空へ。

 地上のフィー達は小さい。


 って、寒いっ。

 体が冷えるぅっ。


「いい加減に蹴るのをやめろっ。っていねぇっ。」


 爆発を蹴ってあんたの上に移動したからね。

 ってことで、始めようか。


 足下に大きな点を作る。

 今までのポイントダッシュエアで溜めた力だ。

 それを、おもいっきり蹴る。

 半回転して、ゴツいゴブリンを蹴る。


「くそっ、何がっ。」


 確か、あんた結界と同じくらい固いんだよねっ。

 なら、思いっきりお互いをぶつけたらどうなるかなっ。


 俺は、ゴツいゴブリンを巻き込んで地上へ落下していく。

 あまりの勢いに、はげしく燃え上がる。


「やめろぉっ。」


 無理っ、止まんないっ。

 止める気、無いけどっ。


 フィーも事情を察して走り出した。

 剣使いのゴブリンも追いかけるが。


「お前は、そこで寝てろっ。」


「ぐっ。」


 鞘で剣使いのゴブリンを転ばせる。

 その時、剣を奪ってゴブリンを地面に刺して固定する。


「じゃあなっ。」


 フィーは、そのまま下へ飛び降りた。

 着地と同時に走り出す。

 

 その間にも、段々と地面に迫っていく。

 ゴツいゴブリンが暴れだす。


「くそっ、こんなちびすけにっ。俺はっ。」


 ちびで悪かったねっ。

 それと俺はっ。

 猫だっ。


「大蛇様っ。申し訳っ。」


 次の瞬間、地面に衝突。


 ポイントダッシュメテオっ。


 その勢いで、地面が割れる。

 結界らしき物もまとめて割れる。

 神殿は割れない、でも下へ沈んでいく。

 どんどん割り進むと、その勢いで土の柱が空に上がった。


にゃんっ。


 ゴブリンを押し込んでジャンプ。

 すると、神殿の上に土が降っていく。

 その衝撃で、頭上の山の土も崩れて神殿に降り注ぐ。


 その上に、華麗に着地。

 やり過ぎちゃったかな?


 神殿は、完全に土の中へ。

 いかに大蛇とはいっても、出る事は不可能だろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ