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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
大蛇祭る隠れ村 フラリア王国編
18/283

激戦繰り広げました

「まさか、ここまで来るとはな。」


にゃ。

 

 急に現れて、偉そうな奴だな。

 しかも、見下ろすような場所に出やがって。

 降りてこーい。


「この周辺は、見張りのアルキルに任せていたはずだが。」

「そういえばいねぇな。何してんだ?」

「果樹園にいた奴か。そいつなら私が倒したよ。」

「なにっ。」


 次の瞬間、真ん中の気配が変わった。

 見るだけでおぞましい。


「あっ、こいつっ。最近来た奴じゃねぇか。」

「そうか、お前がか。人間風情が。余計な事をしてくれたものだ。」

「ふんっ。ゴブリン風情に言われたくないなっ。」

「ぐっ。我々を、ゴブリンと呼ぶなっ!」


 真ん中のゴブリンから雷が。

 フィーが、長包丁で受け止める。


 どうやら、ゴブリンと呼ばれたくはないようだね。

 どこからどう見てもゴブリンの癖に。


「我々で殺そう。」

「そうだな。やってしまおう。」


 被り物のゴブリン達が飛び降りてきた。

 その中の二匹が襲いかかってくる。


「まずは、俺達からだっ!」

「俺達に関わった事を後悔しな!」


 剣を持った二匹が斬りかかってくる。

 その手前に跳び蹴り。

 そのまま、蹴飛ばしてもう一匹へ。

 しかし、剣が迫る。


「させねぇ!」

「させんっ!」


 その剣を、フィーが止める。

 そのうちに、跳び蹴り。

 とどめをさそうとフィーが攻めるが。


にゃっ。


「後ろかっ。」


 蹴り飛ばした奴が、もう復帰していた。

 フィーがすぐさま受け止める。


「ちっ。面倒なっ。」


 すぐに俺が蹴って引き離す。

 すると、また後ろから斬りかかってくる。


「おらぁっ。」


 後ろを向いたフィーが受け止める。

 さらに、俺が蹴り飛ばす。


 次から次へと鬱陶しい。

 何とかさばけているけど、きりがないね。


「合わせろっ!」

「おぅっ!」


 前後から同時に来た。

 フィーと俺は、背中を合わせて待ち構える。


にゃんっ!


「っ。はぁっ!」


 後ろを向いたフィーが、俺に飛びかかる奴を払いのける。

 代わりに俺が、フィーに迫る奴を蹴り飛ばす。

 とっさの事で、二人は対処できない。


 俺が鳴いたときは、こっちに合わせろと言う時。

 フィーもだんだん慣れてきたね。


「くそっ。」


にゃんっ。


 再び鳴いて、尻餅をついた方の顔を蹴りあげる。

 そして、フィーがそいつを斬る。


 まずは、一匹。

 上手くいくもんだねっ。


「イギアっ。貴様っ!」


 怒ったもう一匹が斬りかかる。

 俺がそれを蹴り飛ばそうとするが。


「させんっ!」


 急な横やり。

 またもや、吹き飛ばされる。


 いったいなぁ。

 また横からかっ。


「一体何をしてやがる。」

「すまねぇ。こいつら強過ぎだっ。」

「ちっ。このちびは俺がやるっ。そっちはお前たちでやれっ。」


 ちびで悪かったね。

 お陰で、素早く動けるけど。


 横やりのゴブリンが死んだ奴の剣を持つ。

 そして、背中の後ろに隠れていた翼を広げた。


 翼っ!? そんなのあり?

 翼を生やしたゴブリンとか聞いた事がないけどっ。


 翼を生やしたゴブリンが空へ。

 そして、滑空する。

 こちらに向けて剣の先を向けて迫ってくる。


「おらっ。」


にゃんっ。


 ギリギリ回避。

 しかし、体勢を立て直してもう一度来る。

 それもまた回避。

 すると、また同じように迫ってくる。

 避けるので精一杯だ。


「おらおらっ。どうしたっ。」


にゃっ。


 いつまでも、こうしてはいられない。

 かわしたと同時に蹴り。

 しかし、かわされる。

 すると、翼を上手く使い、くるり周って蹴りが迫る。


 しまったっ。

 よけれないっ。


 直撃して吹き飛ばされる。

 しかし、空中で回って着地する。


「にゃんすけっ!」

「人の心配をしている場合かっ。」

「ちぃっ。」


 フィーもまた戦っている。

 ゴブリンの剣をさばいていく。

 そして、隙をついて反撃。

 しかし、かわされる。


「あんたの攻撃、それ以上早くなんねぇようだなっ。」


 その通りです。

 野良ゴブリンですらかわされるほど遅いんです。


「ふっ。遅いからなんだっ。当たるまで振れば良いだけだっ!」


 フィーがもう一振り。

 それをかわしてゴブリンが迫る。

 それに対して、フィーが何とか剣を引いて防御した。

 攻撃は当たらないと分かったのか、ゴブリンが攻めを強める。


「おらおらぁっ。どうしたっ。」

「調子に乗るのもっ。」


 また、フィーが剣を振る。

 それをかわしたゴブリンが懐に。


「何度も同じ手にっ。かかるかぁっ!」


 フィーに斬りかかる。

 しかし、フィーがにやりと笑った。


「それを待ってた。」

「はぁ?」


 フィーが、腰のカンテラを掴んで振った。

 そこから炎が飛び出した。

 その炎はゴブリンの目に。


「くそっがっ。」

「そこだっ!」


 隙が出来たフィーがゴブリンに斬りかかる。

 しかし、寸前で防がれる。


「くそっ。くそっ。」


 目を押さえて下がった。

 すると、翼が生えたゴブリンがそいつの下へ。

 

「オリオントっ。」


にゃんっ。


 そこっ。

 隙を見せたね。

 

 翼が生えたゴブリンが、俺に蹴られて吹き飛んだ。

 すぐさまフィーの下へ行くが。


「させねぇ。」


 吹き飛ばされた奴が復帰して、俺の前に立ちふさがる。

 フィーが斬りかかるが、かわされる。

 体勢を立て直されたようだ。


「ならもう一度すれば良いだけだっ。」


 フィーが再び炎を放つ。

 しかし、かわされてしまう。

 その直後、追加で出した炎が直撃。


「貰ったっ!」


 ゴブリンが怯んだ隙に、フィーが斬りかかった。

 今度は、無事直撃。これで二匹目。


「人間風情がっ。舐めやがって。」

「もう一度言おう。ゴブリン風情に言われたくないっ。」

「こいつ。また、ゴブリンって。許さんっ。」


 急降下で迫ってくる。

 剣を振ってくるが、フィーが受け止める。

 その隙に、俺が蹴りかかるがかわされる。


「はっ。結局てめぇらじゃあ、俺に届かねぇじゃねぇか。」


 確かにそうだ。

 それをどうにかしないと。


 すると、翼の生えたゴブリンが空を飛び始めた。

 俺達の周りを周って隙を伺っているようだ。

 次の瞬間、剣を構えて襲いかかってきた。


「はぁっ。」


 その攻撃をフィーが防いだ。

 そして、再び空へ。

 俺が攻撃する暇もない。

 

 はやいっ。

 攻撃しようとしたらもういない。


「無駄無駄っ。もういっちょ。」

「どっちからだっ。」

「分かんねぇだろ。んじゃあ、俺達をゴブリン呼ばわりした事を後悔しながら、死ねっ。」


 再び剣を構えてフィーに迫る。

 そして、フィーがそっちを見た。


「わざわざどうもっ。」

「なっ。」


 フィーは、ゴブリンの方を見たと同時にカンテラを振っていた。

 カンテラから出た炎がゴブリンを襲う。

 相手に喋らせて場所を探ったのだ。


「にゃんすけっ!」


にゃん!


 場所さえ分かればっ!


 既に俺は、ゴブリンの後ろへ。

 樹を蹴って相手の後ろにジャンプ。

 そして、乗っかる。


 もちろん気付いてたよ?

 攻める直前、言葉を止めたから、ねっ。


 ゴブリンの高度が落ちたと同時にジャンプ。

 その勢いで更に落下。

 その先には、フィーが剣を構えている。


「しまっ。」


「くらえっ!」


 落ちてくるゴブリンに合わせて剣を振る。

 ゴブリンは、かわせず斬られてしまう。

 これで三匹目だ。


「どうだ。これで終わりか?」

「ぐぬぅ。よくもっ。」

「どうした? 来ないのか? いや無理なんだよな、だって神殿を覆っているのが崩れるからな。」

「な、何を。」


 どう言うこと? はったり?

 でも、そのわりに相手が狼狽えているけど。


「分かるさ。だって、いつでも横槍が出来たはずだもんな。それに、最初の魔法もただの包丁で防げる程度だ。」


 そういえば、漂わせている魔力に比べて魔法は弱かったね。

 要するに、魔力も魔法もブラフだったのか。


「あれ以上のを出したら、既に使っている魔法の維持が出来なくなる。違うか?」

「ふん。それが分かったからってどうした。こっちはまだ戦えるぞ? 貴様らはもうへばっているだろう。」


 そう言われると、何も言い返せないんだよね。

 フィーも、何度も魔法を使っているし。


「さてと。あいつらはへばっている。ジャーノルド。お前が行け。」

「はい。」


 一人のゴブリンが下りてきた。

 着地と同時に、走り出した。

 剣を構えて、斬りかかってくる。

 早いっ。

 何とか、フィーが防いだ。


「こいつらは、複数の戦いを嫌う。なぜか分かるか? 強すぎて、他の邪魔になるからだ。」

「嘘だな。戦力は一匹に注ぎ込んだと聞いている。」

「なぜそれを。なるほど、お前達が。道理で強いわけだ。ジャーノルド、手加減するな。」

「はい。」


 剣をはらって、フィーの懐に。

 もう片方の手にも剣を持って、フィーを刺そうと迫る。


「にゃんすけっ!」


にゃん!


 横からキック。

 しかし、防がれる。

 こいつ、強い。


「さぁて、どうする? ジャーノルド、力だけが強さじゃないと見せつけろ。」


 目の前のゴブリンが、両手に剣を構える。

 一方、俺とフィーも構える。

 そして、再び戦いが始まった。

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