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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
人魔大陸防衛大戦 フラリア王国編
172/286

大陸の最強戦力です

 まず動いたのは、大きな魔法の塊を放った武将の屍達だ。

 やり損じたと思ったのか、一斉に駆け出す。

 それを見て、フラリア王が大剣を構える。

 

「まずはお前達か。良いだろう。先程の礼をしないとなっ。」


 そう言って、迫る一体へと大剣を斬り飛ばす。

 すると、その相手は後ろにいたのともつれ合う。

 そこへ、フラリア王が大剣を叩きつける。


「そのまま、お帰りいただこうかっ!」


 そう言いながら、敵を当てたまま大剣を振り抜く。

 すると、絡んだままの武将の屍達が飛んでいく。

 しかし、そんなフラリア王の隙へと他の武将に屍達が迫るが…。


「無視すんなよ! てめぇら!」


 その一体の顔を掴んだスターク。

 そのまま地面へと叩きつけると、追撃の拳を叩き込む。


「師匠に手出しはさせない。」


 その反対側の武将の屍を斬るファウスト。

 そのまま姿を消した直後、相手が切り刻まれる。

 その真ん中で、フラリア王が武器を構え直す。


「さぁ、今度はこっちの番だ!」


 そう言いながら、フラリア王が駆け出す。

 その後を、スタークとファウストがついていく。

 その光景に、武将達が慌て出す。


「生きてんのかいっ。しかも、余計なもんまで増えてやがるっ!」

「面倒な事になりそうだね。うんざりするよ。」

「良いじゃん、しときなって。迷惑かけた分、思い知りなってね。」


 思いがけない展開に、焦りを募らせているようだ。

 それを見たオルティが楽しそうに笑っている。

 その間にも、三人の前に武将の屍達が現れる。

 それでも三人は止まらない。


「お前達とっ、一緒にっ、戦うのはっ、懐かしいなっ!」


 そう言いながら、相手へと剣を振るっていくフラリア王。

 勢い良く斬り上げると同時に自身も跳ぶ。

 そして、剣を叩き込むと一回転して地面へと叩きつける。


「まだ懐かしむような歳じゃないんじゃねぇかっ? 暴れるのがっ、楽しいのはっ、確かだがなっ!」


 そう言いながら、相手へと拳で殴り付けるスターク。

 お腹から首の下の順に殴ると、相手の頭を掴み取る。

 そして、顔面へと拳を叩きつける。


「君と一緒にするのは失礼だぞ、スタークっ。乱暴なところはっ、変わらないようだねっ!」


 そう言いながら、相手へと斬りかかるファウスト。

 斬り飛ばした直後、その姿をかき消す。

 そして、相手の後ろへと回り込むと同時に真っ二つにする。

 すると、ファウストを見たスタークは笑う。


「なんだ? びびってんのか?」

「言ってくれるね。では、どちらが沢山倒せるか競うかい?」

「面白れぇ。乗ったぜ!」


 そうして、次の相手へと向かう二人。

 楽しそうに笑いながら、攻撃を仕掛けていく。

 それを見たフラリア王が頭を抱える。


「お前達はいつも、競い合う口実を探しよる。まぁ、それでこそとも言えるがね。」

「あんたも参加して良いんだぜ?」

「師匠と手合わせもまた一興です。」

「ふっそうか、仕方あるまい。獲物が減っても文句は言うなよ?」

「こっちの台詞だ!」「こっちの台詞ですよ。」


 そうして、フラリア王も参加する。

 呆れてはいるものの、フラリア王もまた楽しそうに笑っている。

 なんだかんだ、弟子と共に戦えるのが嬉しいのだろう。

 そうして、勢い良く狩っていく三人に騎士達が気づく。


「王だ! 団長もいるぞ!」

「本当だ! ご無事だったのですね!」

「うん! 心配かけてごめんよ!」


 歓喜の声をあげる騎士達の下へファウストが駆けつける。

 そして、騎士達を押していた武将の屍を一気に斬る。

 それに負けじと、スタークもまた相手を殴り潰す。

 更に、フラリア王もまた相手を叩き斬る。


「「「おおおおおおおっ!」」」


 雄叫びを上げながら、武器を振るう三人。

 そのお陰か、次々と武将の屍が斬られていく。

 その光景にフィー達が驚く。


「圧倒的すぎる。こんなにも簡単に倒せる相手じゃない筈なんだが。」

「はい。それに、あんなに楽しそうな兄さんは久しぶりよ。」


 まあね。

 向こうからしたら恐怖でしかないと思うけどね。


 本気のフィーですら、傷を与えられる程の相手だ。

 そんな相手が、簡単に倒されていく。

 その光景が、三人の強さを物語る。

 そんな三人をカミーユもまた見る。


「あれが、大陸の最高戦力の力。彼らの師弟だった頃、空いた時間に大陸の凶悪な魔物を狩って回ってたと聞きました。」

「まるで、散歩にでも行くみたいな言い方だな。」

「実際、散歩気分だったんだと思いますよ。その時の気分で出てたらしいので。」

「そうか。えげつないな。」


 そりゃあ、強くなる筈だよね。

 そんなのを繰り返してたらさ。


 あの強さは、凶悪な魔物に鍛え上げられたものでもある。

 なので、あれ程の実力を持っているのも当然だろう。

 その強さに驚いているのは、見ている武将達も同じ事。


「どうなってんのさ。腐っても武将クラスの魔獣化だよ? こんなに簡単に倒されるなんて聞いてないよ!」

「これ程までの力があったとは、誤算にも程があるね。」

「本当にムカつく奴らだねっ。でも、数はこっちが勝っているよ! おら! 何してんだい! まとめて攻めちまいな! ……あれ?」


 呼びかけるも、武将の屍達の動きはない。

 それどころか、姿すら見当たらない。


「どういう事だい?」

「どこにもいないね。」

「一体、何が起きてるって言うのさ!」


 見渡す二体だが、武将の屍達がいない。

 暴れる三人の場所にいるので全てだ。

 それに疑問を持つ二人に、どこからか答えが返ってくる。


「そんなの、決まってるよん。」

「端にいたのは潰しておいたぜ。残らずな。」

「なんだと!」


 その声の主は、キュリアとリュノだ。

 暴れる三人に注目が集まっている間に、残りの全てを倒していたのだ。

 そうして残ったのも、あっという間に倒される。


「こりゃ、俺の勝ちだな。」

「何を見てるんだか。僕の方が多かったよ。」

「後にしなさい。ほれ、黒幕までたどり着いたぞ。」

「おっと、いつの間にかだな。」


 その言葉と共に、三人が二体の武将を見る。

 それに合わせて、全ての視線が武将達に集まる。

 そんな二体の前にオルティが立つ。


「残るはあんた達。これで終わりって訳だね。で、どうするん? 降参するなら今のうちだけど。」

「くそがっ。」「ぐ、ぐうっ。」


 二体の武将は、今まで以上に顔を歪ませる。

 苛立ちや悔しさが顔に出てるのだ。

 これ程の強者に囲まれては仕方ない。


「まずいねぇ。帝様にどう説明したもんか。」

「こうなれば、僕達自身でどうにかするしかなさそうだね。」

「おっ? まだこりてない? 良いよ、どうぞご自由に。」

「ぐっ、この。馬鹿にしやがって。」


 オルティの挑発に、苛立ちを隠せない武将達。

 しかし、戦力差は圧倒的だ。

 武将が暴れて、どうにかなるものではない。

 その時だった。


「お前達、何をしている。」


 そう声が聞こえた直後、この場にいるもの達の肌に悪寒が走る。

 そして、武将達の間にその声の主が現れる。

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