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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
人魔大陸防衛大戦 フラリア王国編
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追い詰めました

「さぁて、どっからでも来な。」


 武器を構えるオルティ達。

 そんなオルティ達へと、魔物型のゴーレム達が襲いかかる。

 しかし、何かにぶつかったように体がひしゃげる。


「ざんねーん。そんじゃ、今度はこっちの番。頼むよ、リュノ君。」

「うん、行くよ。」


 オルティに呼ばれたリュノが前に出る。

 そして、魔物型のゴーレム達へと斧を振る。

 すると、斧から出た衝撃が魔物型のゴーレム達を吹き飛ばす。


「お願い、キュリアちゃん。」

「ほい。」


 リュノの前にキュリアが降り立つ。

 そして、地面へと手を当てる。

 すると、左右から地面が浮き出て魔物型のゴーレムを挟み込む。


「任せたよ、オルティ。」

「あいよ。」


 一ヶ所に集められた箇所の頭上へと跳ぶオルティ。

 その下へ向けてパドルを振ると、下へ向けて魔力の塊が落ちる。

 それが地面に着くと、地盤が大きく崩壊。

 そこに、魔物型のゴーレムが飲み込まれていく。


「完璧っ。」


 その手前に着地する三人。

 崩壊した地面から動きはない。

 どうやら、止める事が出来たようだ。


「この中を隔離しといたよ。これで、術者との繋がりも切れたろうね。」

「だねー。中の人は、このまま砂の中で寝ててもらうよん。」

「うん。それじゃあ、他の人も、だね。」


 崩壊した地面の中では、ゴーレム達が復活する事はない。

 つまり、ここに入れれば無力化出来るという事だ。

 それをすべく、兵士達へと呼びかけようとした時だった。


「後は兵士達に…あれ?」


 気づいた時には、地面の下から現れた口の中に囲われてしまう。

 更に、かなりの速度で頭上の出口が閉じられる。


「しまった。やられたっ。」


 気づいた時にはもう遅い。

 出口の無い空間に閉じ込められてしまったのだ。

 その横壁へと、リュノが斧を叩き込むが…。


「分厚い、ね。本気で、作ってる、よ。」

「くそう。あいつらは、この為の罠だったか。してやられたね。」


 魔物型のゴーレムは、オルティ達を集める為に用意したもの。

 つまり、まんまと相手の罠にはまってしまったのだ。

 そして、その為だけにした訳ではない事も明らかだ。


「外に術の反応。新しいのが出たかな?」

「そりゃまずい。早いこと出るしかないかね。」

「急ごう、ね。」


 そう言って、壁を破壊するべく魔力を込める。

 一方、その外ではキュリアの指摘通りに魔物型のゴーレムが暴れている。


「く、来るぞ! う、うわああああっ。」

「逃げるな! 集まれ! 数で押せば負けはしない!」


 騎士や兵士達が対処に追われている。

 迫る魔物型のゴーレムへと攻撃をしかける。

 そして、フィーもまた斬りかかる。


「くそっ、素早いっ。」


 剣を振るうが、相手に当たらず空を切る。

 魔物型のゴーレムの速さに翻弄されている。


「にゃんすけ、頼む!」


にゃっ。


 やってみるよっと。


 前に向かって駆け出す俺。

 相手の視界の外から懐へ。

 そのまま、相手のお腹へと蹴りを与える。


にゃ!


 決まった!


「良いぞ! はあっ。」


 蹴りで怯んだ隙にフィーが斬る。

 それを受けた相手は真っ二つ。

 しかし、すぐに元に戻ってしまう。


「しぶといな。キュリア達はまだか。」


 無事だと良いね。


 元に戻った魔物型のゴーレムを尻目に、地面から生えているそれを見る。

 その存在は、オルティ達を飲み込んでからは動きがない。


「やはり、私達でどうにかするしかないか。」


 動きがない以上は、援護を待つのは無意味だろう。

 そう決断したフィーは、剣を構え直す。

 そんなフィーへと、魔物型のゴーレムが襲いかかる。


「にゃんすけ!」


にゃ!


 あいよ!


 突っ込んでくる相手の前へと着地する俺。

 そのまま地面を蹴ると、相手の首を蹴り上げる。

 その隙に、相手の足を切り落とす。


「くっ。中の者の事を考えると、迂闊に斬れん。」


 下手に斬れば、中の者まで斬りかない。

 なので、いなさそうな場所しか斬る事が出来ない。


「せめて場所さえ分かれば…。」


にゃ!


 危ない!


「何だ?」


 俺に呼ばれたフィーが後ろを見る。

 すると、斬ったばかりの足を戻した相手の牙がそこにあった。


「なっ、速すぎるっ。」


 咄嗟にそれを逸らすフィー。

 しかし、その隙を狙った頭突きに剣を逸らされる。


「くっ。」


 フィーに大きな隙が出来る。

 そこへと、再びの牙が迫るが…。


「しまっ。」

「させません!」


 どこからか飛んできた魔法が、魔物型のゴーレムを吹き飛ばす。

 すると、その方角から一台の馬車が現れる。


「助けに来たわ。」

「フィーさん、行けますか?」

「セイラとカミーユか。問題ないっ。」


 そこにいたのは、先程のメンバーだ。

 カミーユ達が見守る前で、フィーが剣を構え直す。

 その横に、アルティスと付き添いの兵士の二人が並ぶ。


「お供しましょう。」

「我々も。」「お忘れなく。」

「当然だ。共に戦おうっ。」


にゃ!


 一緒にね!


 そう言って、迫る魔物型のゴーレムを蹴り飛ばす俺。

 その隙に、フィーが剣で斬り飛ばす。

 その背後からは、魔法も飛んでいく。

 その下では、フィーに迫る別の相手をアルティスが斬り飛ばす。


「やるなっ。」

「いいえ、この程度っ。」


 そう言って、次に来た相手を斬るアルティス。

 それを斬り飛ばすと、更に次の相手へと向かう。


「おい、無茶をするなよ?」

「問題ありません。」


 フィーの心配をよそに、アルティスが突っ切る。

 そのまま、迫る相手を斬っていく。

 その様子を、他のを斬り飛ばしたフィーが見つめる。


「なんか、焦ってるように見えるな。」


にゃ。


 そうだね。

 自信があるからって訳でもなさそう。


 アルティスの動きは、一つ一つが素早い。

 しかし、それは実力があるからという訳では無さそうだ。

 ただ、がむしゃらに剣を振っているように見えてしまう。

 そんなアルティスの代わりにカミーユが答える。


「恐らく、騎士団長の事でしょうか。」

「思い入れでもあるのか?」

「分かりません。しかし、このままだと危険なのは事実です。守ってあげて下さい。」

「そうだな。任せろ。」


 そのアルティスの剣に、どのような思いがあるのだろうか。

 そんな、一人で突っ走るアルティスをフィー達も追う。

 そのまま、アルティスの隙を狙っているのを斬り飛ばす。


「再生する速度で斬ればどうにかなる。力を貸してくれ。」

「…分かりました。」


 渋々と、フィーと共に駆けるアルティス。

 そして、魔物型のゴーレムを同時に斬る。

 それでもすぐに再生をしてしまう。


「これでも無理か。どうすればいいんだ。」

「こんな奴らに時間を取る訳にはいかないのに。」


 斬ってもすぐに再生する相手に苦戦する俺達。

 このまま何も出来ずに、同じ事を繰り返すしか無いのだろうか。

 その時、急にゴーレム達の動きが止まる。


「何だ?」

「動きが止まった?」


 ほんとだ。

 どうしたのかな?


 あれだけ動いていたのが、身動き一つ取らなくなった。

 その代わりに、オルティ達を閉じ込めていた大きな口がもがき出す。

 その光景に、フィー達が驚く。


「な、なんだ!?」

「敵襲? ではなさそう。」


 何々?

 ついに動いちゃうの?


 一同の視線が集まる中で、更に大きくもがき出す。

 その光景に、驚いて見続けるしか出来ない。

 次の瞬間、大きな口が破裂したように散っていく。

 その中からオルティ達が現れる。


「ぷはぁ、上手くいったかな?」

「どうやら成功みたいだね。」

「流石、キュリア、ちゃん、だよ。」


 あれだけの大きな口の残骸が崩れていく。

 降りかかるそれを、オルティ達が払う。

 そして、周りの偽物のゴーレム達も崩れていく。

 そんなオルティ達へとフィーが駆け寄る。


「大丈夫か!」

「ん? あぁ、大丈夫大丈夫。気にしないで良いよ。」

「そ、そうか。」


 心配するフィーへと、軽く手を振り返すオルティ。

 言葉通り、怪我をしている様子はない。

 すると、その手前で二つの影が現れる。


「やってくれたねぇ。」

「褒めてあげるよ。感謝すると良いよ。」

「なっ、お前達っ。」


 そこに現れたのは、二体の武将だ。

 しかし、どこか疲れているようだ。


「まさか、命令を逆流させて来やがるなんてね。しかも、ド派手に送り込みやがってさ。」

「まあね。動きは任せてるって言っても、繋がり自体はないと動かないからねぇ。探ってみたら見つけちゃったんで介入しちゃったよん。」


 偽物のゴーレムは、完全に自立している訳ではない。

 なので、最低限の指示をする為にも繋げる必要があった。

 それを上手く利用したようだ。


「ふん。簡単に言ってくれるね。お陰で、全ての通信を切る羽目になったよね。」

「いやぁ、あの時の慌てっぷりね。思い返すだけで笑っちゃうよ。あはははっ!」

「くそう、こんな奴にっ。」


 思い出し笑いをするキュリアを武将達が睨む。

 偽物のゴーレム達が止まったのも、キュリアの反撃に抵抗する為だ。

 しかし、これで相手が操れるものは残っていない。

 そんな武将達の前にオルティが立つ。


「さて、いい加減諦めてくんないかな。それとも、まだやるつもり?」

「いいや、まだだよ。本番はこっからさ。」

「ここまで追い詰めた君達に、我々の奥の手を見せてあげる。」


 そう言いながら、二人が手を上空に突き上げる。

 すると、その周りに大量の召喚陣が現れる。

 それと共に、覚えのある腐敗臭にフィーが気づく。


「何をする気だ!」

「なに、今までと変わらないさ。」

「ただ、今までとは比べものにならないけどね。」


 その表情からは、余裕を感じる。

 何度も策を挫かれたのにも関わらずだ。


「今までのものは実験さ。こいつらを動かすのは初めてだったからね。」

「でも、君達のお陰で良いデータが集まった。これで、気兼ねなく動かせるよ。」

「「さぁ、我らの最強の兵器。その身で味わえ!」」


 そして、召喚陣から沢山の影が現れる。

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