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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
人魔大陸防衛大戦 フラリア王国編
166/283

新たな戦いの始まりです

 どこを見ても、目に入る程の魔物の数。

 それらの一部が王都へと向かってくる。

 それとぶつかるのは、王都の騎士達。


「なんて数だ。」

「勝てるのか?」

「おい、いつまで怯んでる! 来るぞ!」


 魔物達に怯えている暇はない。

 立ち尽くしている間にも、魔物達が襲い来る。

 こうして、騎士達と魔物達がぶつかり合う。

 そんな中、オルティもまた魔物達を吹き飛ばす。


「群れるな群れるな。ここは、あんたらの巣じゃないだけどっ?」


 そう文句言いながら、飛んでくる魔法を避けていく。

 そして、突っ込んでくる魔物を後ろに跳んで避ける。

 そのまま縦に回ると、軽く地面に着地する。


「流石に四方は面倒か。さて、どうしたものかな。」


 流石のオルティも、囲まれては対処に困るようだ。

 そんなオルティへと、魔物達が迫るが…。


「お待たせっ。」


 その魔物を、後ろから現れたキュリアが吹き飛ばす。

 その後ろから、フィーとリュノも現れる。


「無事か?」

「まーね。億劫になりつつはあったけど。」


 気持ちは分かるけどね。


 これだけの魔物の数だ。

 気が滅入るのも仕方ない。

 それは、他の物も同じ事だ。


「こんなに多いとね。それで、現状は?」

「あの蛇の動きは封じたかな。なんか、首しか出てないのが気になるけど。」


 四つ首の蛇の魔物は、項垂れるように首を落としている。

 その首から下の胴体は、ほんの少しだけしか出ていない。

 その様子を、キュリアもまた確認する。


「ほんとだ。詰まってるのかな? 大きいし。」

「召喚陣も、ギリギリ、だし。」

「あの様子だと、暴れる事は出来ないだろうかね。」


 召喚陣から出られなければ、移動する事は出来ない。

 その間は、暴れられる心配はしなくて良いだろう。

 しかし、問題は他にある。


「それよりも、召喚陣と言えばかな。っと、早速っ!」


 飛んできた魔法へと、オルティが手を払う。

 すると、その手から飛び出た何かが魔法を打ち消す。


「やっぱり、封印が解かれたのは間違いじゃないみたいだねっ。」


 キュリアもまた、迫る魔物を斬り落とす。


「折角、したのに、なっ。」


 リュノもまた、迫る魔法を斬り落とす。

 それでも、次第に魔物も魔法が増えていく。

 そして、フィーもまた地上に降りた魔物を斬る。


「そんな事よりもだっ。この大陸はどうなる!」

「あちこちが魔物に乗っ取られるねっ。そんで、人間の住む場所がなくなっちゃう。」


 飛び交う魔物を見上げる。

 そこには、見渡すかぎりに魔物がいる。

 その光景が、封印がどうなったかを物語る。


「これじゃ、まるで魔界そのもの…なるほど、これが奴らの目的って事かな。」

「なら、この魔物達はついでって事?」

「確かに、襲撃の、つもりにしては、弱すぎる、ね。」


 これだけの魔物は確かに驚異だ。

 しかし、どうにか出来る程度の攻撃だ。

 その程度の攻撃で済むような相手ではない。


「そうなると、この魔物は陽動かな。…おっと。」


 そうオルティが言うと同時に、地面が揺れ出す。

 その振動にフィーが驚く。


「また揺れか、まさか敵襲か?」

「今更、自然現象なんてありえないよね。」


 そうだよね。

 それじゃあ…


 このタイミングでの、本物の地震は考えられない。

 つまり、誰かによって起こされたものだ。

 その直後、地面から大量の偽物のゴーレムが現れる。


「合ってたようだね。こっちが本番ってこった。こっからは予定通りでっ。」

「りょうかーい。」「了解、だよ。」「了解だ。」


にゃ!


 さぁ、やっちゃおう!


 最初に偽物のゴーレムが来る事は、事前の予測通りだ。

 駆けた四人と一匹が、そのゴーレムへと向かう。

 その前方では、騎士達が苦戦をしていた。


「大きいな。これが例のかっ。」

「魔物と同時だと対処が難しいなっ!」

「くうっ、避けられん!」


 偽物のゴーレムの攻撃を避けるのは厳しい。

 しかも、その隙を狙った魔物に襲われる。

 ただの一般の騎士では、上手く対処が出来ないようだ。

 その直後だった。


「情けないってな。それでも、騎士のはしくれかい?」


 突然の声と共に、偽物のゴーレムが一ヶ所へと引きずり込まれていく。

 中には抵抗するものもいたが、呆気なく吸い込まれるように飛んでいく。

 その様子に驚く騎士達。


「なっ!? 一体何がっ。」


 てこずっていた相手が、良いようにされているのだ。

 驚いてしまうのも無理はない。

 そんな騎士達の横を、オルティ達が駆け抜ける。


「びびってる奴は、引っ込んでてなっ。」

「くうっ。負けはいられん。ここで怯めば、団長に合わせる顔は無いぞ! かかれ!」

「「「おおおおおおおおおっ!」」」


 煽りながらも、偽物のゴーレムへと向かうオルティ達。

 騎士達も負けじと、偽物のゴーレムへと立ち向かう。

 そんな騎士達を見たオルティが笑う。


「おーおーやるじゃないの。それじゃ、こっちもやりますかっ。」


 そう言いながら、オルティが偽物のゴーレムを集めていく。


「言い出しっぺが何も出来なかったら情けないからねぇっ。」


 そう言いながら、キュリアが地面に氷を走らせる。

 それにより、偽物のゴーレムの足を凍らせる。


「ふふっ、負けて、られないのは、こっちも、だねっ。」


 そう言いながら、リュノが地面に斧を突き立てる。

 そして、そこから発せられる振動で偽物のゴーレムの動きを止める。

 こうして動きを止めている三人の横でフィーと俺が駆ける。


「負けてられないのはこっちもだ。にゃんすけ、行くぞ!」


にゃ!


 任せて!


 前に飛び出した俺が、偽物のゴーレムの腕を蹴っ飛ばす。

 その間に飛び込んだフィーが、逆手に持った剣で足を斬り飛ばす。

 それでもすぐに戻るがお構い無しだ。


「しかし数が多いな。」

「うちらの役目は時間稼ぎ。深追いは必要ないからね。」

「分かってるさ。」


にゃ。


 止めるだけだよね。


 あくまで相手の動きを止めるだけ。

 それ以上の事は求めない。

 その代わりに、上空の魔物が襲いかかるが…。


「させない!」


 後ろから現れた騎士達が止めていく。

 そのお陰で、フィー達へと向かう魔物達はいない。


「すまない。」

「いいや。役割分担した方が良いと思ってな。」

「お前達、我が同士の事は任せたぞ。」

「あぁ。任せろ!」


にゃ!


 大丈夫だからね。


 やはり、騎士達では偽物のゴーレムを止められない。

 なので、止められる者に任せて魔物を倒す事にしたようだ。

 こうして、協力をし合いながら偽物のゴーレムを止める。

 その時だった。


「兵士の皆さんをお連れしました!」


 その声と共に、馬車を操るカミーユが現れる。

 その周りには、大量の兵士達がいる。

 その中央で、カミーユが手を前につき出す。


「皆さん! よろしくお願いします!」

「「「おおおおおおおおおおっ!」」」


 カミーユの指示で、兵士達が駆けていく。

 そして、偽物のゴーレムへと突っ込んでいく。

 その様子をオルティが見る。


「来てくれたね。お手並み拝見といきますか。」


 そのオルティの目の前で、兵士達が戦い出す。

 その兵士達を、偽物のゴーレムが追いかける。

 そのお陰か、偽物のゴーレムが散っていく。

 その様子をキュリアも見る。


「上手く行ってるね。数には数を作戦。大成功だよん。」

「問題は、密集してた、事だもんね。あぁして、散らばれば、怖くない、ね。」


 以前の戦いでは、四方から来る攻撃にてこずっていた。

 しかし、偽物のゴーレムを散らせば問題ない。

 視界の外からの攻撃が無くなるからだ。

 その結果にオルティが笑う。


「あのまま引き付けてくれれば問題は無いかな。さぁ、自慢のゴーレムと上空の魔物はどうにかしたよ。これで終わりなんてないよな?」


 偽物のゴーレムの奥を睨むオルティ。

 向こうの策は完全に封じ込めた。

 しかし、これで終わりなんて無いだろう。

 すると、新たな偽物のゴーレムが現れる。

 しかも、今度は人形ではない。


「これは、魔物型のゴーレムかな? 随分と器用なこった。」

「しかも、大きい、ね。」

「まぁ、人型しか作れないなんて言ってなかったからねー。」

 

 その形は、四足や翼を生やしたものだ。

 その大きさは、人の背丈を軽く越える。

 しかも、変わらずの不死身だろう。

 それを見た騎士達が後ろへと下がっていく。


「くっ、引くわけには。」

「いんや。引いてくれると嬉しいかな。」


 後ろへと引く騎士の前にオルティが立つ。

 その横には、キュリアとリュノも並び立つ。


「少しばかり本気出す。邪魔だから下がっててな?」

「わ、分かった。引き続き、魔物の駆除を行う。」

「よろしくなー。」


 軽く手を振るオルティの指示で騎士達が下がっていく。

 それを見送ったオルティ達が武器を構える。

 こうして、次の戦いが始まる。

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