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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
人魔大陸防衛大戦 フラリア王国編
160/283

異なる次元の戦いです

「私達はどうすれば?」

「んー。良いかな。そこで見てて。」

「見ててって。おいっ。」


 あ、行っちゃった。


 フィーを無視して駆け出すオルティ。

 要するに、戦力にはならないという事だろう。


「まずは、先手必勝!」


 前に出たオルティが、空間を掴んで上下にはたく。

 すると、波のように突き進む歪みが剣聖のゴーレムを吹き飛ばす。


「なんの! 向かい撃て!」


 それでも、剣聖のゴーレムは空中で聖剣を振るう。

 それにより、聖剣から出た光がオルティを襲うが…。


「利用させて貰うよっ!」


 空中を掴んだオルティは、手前へと引っ張る。

 そして、迫る光に合わせて手を離す。

 すると、何かに弾かれるように光が剣聖のゴーレムへと返っていく。


「おーし、完璧っ! 二人とも、今だよ!」

「やるねー。」

「負けない、よ。」


 上空での爆発の下で、キュリアとリュノが突っ込む。

 しかし、それを遮るように偽物のゴーレム達が現れる。


「無駄だよ!」

「通さない!」


 どれだけの偽物のゴーレムを温存させているのだろうか。

 まだまだ尽きる気配がない。

 そんな偽物のゴーレムへと、二人が武器を振るう。


「知ってたよん!」

「だから、僕達が、だよ!」


 二人が起こした衝撃が、偽物のゴーレム達を吹き飛ばす。

 すると、その開いた空間へと三人が飛び込む。


「同じ芸しか出来ないのかい? そんなんじゃ、止まってあげないけどっ!」

「ふん。余裕ぶるのも今のうちだっ!」


 向き合うお互いが武器を振るう。

 そして、キュリアとリュノが二体の武将と。

 その奥で、オルティが帝とぶつかり合う。


「よく止めたねー。」

「はっ。なめんじゃないよっ。」

「まぁ、本気だして、ないけど、ね。」

「それは、お互い様さ。」


 力を込めての押し合い。

 そこから、オルティが帝を吹き飛ばす。

 その途中、帝が雷を放つ。


「雷よ!」

「甘いね。」


 複数の雷が、オルティ達へと降りそそぐ。

 しかし、それが直撃する前に消えてしまう。


「くっ、また消えたか。」

「そりゃね。どんなに強力でも、距離が離れたら威力も落ちるっしょ?」

「なるほど、距離を弄ったのか。前には見なかったものだ。」


 以前の戦いでは見なかったものだ。

 だから、戦った事のある帝ですら分からなかったのだ。


「うちだって、成長してるって事。んじゃあ、今度はこっちの番ってね。」


 空間を掴んだオルティが、再び遠距離攻撃を飛ばす。

 しかし、それでも帝は突っ込んでくる。


「ならば、その瞬間の距離は縮んでいるという事だなっ。」


 距離を詰めた帝は、オルティへと殴り付ける。

 それを、オルティがパドルで受け止める。

 そんなオルティがニヤリと笑う。


「正解っ。」


 余裕な表情を見せながら、帝の攻撃に耐える。

 その両者の間には、激しい雷が走っている。


「はっ、この距離ならもう弄れんだろうっ!」

「だと思うじゃん?」


 直接触れていては、距離を伸ばすどころではないだろう。

 しかし、次の瞬間オルティと帝の位置が入れ替わる。


「何っ!?」


 目の前の相手がいなくなった事により、帝の拳が空を切る。

 そんな帝は、その時の勢いのまま前へと突っ込む。


「変えるのは、距離の長さだけではないって事。」


 そう言いながら、帝の背中へとパドルを叩き込む。

 それを受けた帝は、地面へと叩きつけられる。


「ぐはっ。」

「帝様!」「帝様!」

 

 キュリアとリュノと打ち合う二体が後ろを見る。

 そんな二体の隙を見逃す二人ではない。


「よそ見してるっ!」

「場合、かなっ!」

「なっ。」「ぐっ。」


 一気に二体の武将の武器をはねのける二人。

 二体の武将が意識を戻すがもう遅い。


「一瞬の隙が命取りっ。」


 まずは、キュリアが相手の胴体への連続切り。


「見せたそっちが、悪いんだ、よっ。」


 そして、リュノが斧を回してからの振り上げを叩き込む。

 更に一回転した二人同時で、強力な一撃を叩き込む。


「良いねぇ。もう一発、決めるよん!」

「力を、合わせて、ね!」


 そう言いながら、高くへと跳ぶ二人。

 そこに、オルティも合流する。

 そして、それぞれが武器を構える。


「んじゃ、一発でかいのいっとくかい!」


 そうして武器を振り下ろす三人。

 すると、強力な爆発が帝達を襲う。

 そのまま三人は、爆風に押されながらも着地する。


「おっし。決まったかな?」


 帝達は、煙の中で見えない。

 しかし、あれだけの一撃を与えたのだ。

 ダメージは決して少なくない。

 その光景に、フィー達は驚く。


「一方的だ。動きに追いつけん。異常にも程があるだろう。」

「そうね。しかも、あの連携。普通じゃないわ。」

「あぁ。確かに、私が行っても邪魔になってただろうな。」


 あの三人だからこそって感じだったもんね。

 入る余地が無いよね。


 三人による連携で完成されていた。

 帝達を押せたのも、そのお陰だろう。

 その筈だったが…。


「まだだ。」

「ん?」


 そう煙の中から聞こえてきた時だった。

 地面の下から、土で出来た大きな手が現れる。

 その腕は、掴むようにオルティ達へと襲いかかる。


「おっと。」


 その腕を、後ろへ跳んで避けるオルティ達。

 そこに、もう反対側の手が現れオルティ達を包む。

 それでも、オルティが魔法で吹き飛ばす。


「今度は、何の遊びだい?」

「喜べ、とても楽しい戯れだ。潰される虫の気分を味わうというな。」


 そう言った直後、吹き飛ばしたばかりの手が甦る。

 そして、もう一方の腕と共に襲いかかってくる


「それはどうもっ。」


 そう言いながらも、大きな腕を避けていく。

 たまに破壊をするも、すぐに元通りだ。


「壊しても、すぐに元通り。さて、どうしたもんかね。」

「仕組みは他と同じ筈だよん。」

「そうなると、中身は、人間かな? っと、下、来てる。」


 リュノが下の地面の気配を感じ取る。

 次の瞬間、三人を覆うような感じで下の地面が浮き上がる。

 まるで、人の口に入るかのように。

 それから逃げるように三人が跳ぶ。


「危うく一口か。とても、大きな口なこった。」

「パクリと、ね。最近の、魔族は、虫も食べるん、だね。」

「うはーっ。それは勘弁だなぁ。」

「そう? 意外といけるかもよん?」


 そうして軽口を叩きながら着地をする。

 その直後、ついにその顔が現れる。

 それは、つい先ほど見たばかりの顔だ。


「あー。フィーちゃんが連れて来た奴ね。」

「出来損ないの、魔獣化の、奴。」


 その顔は、フィーと戦っていた魔族と同じ顔だ。

 帝に殺されて、四方に散った筈だが…。


「中々良いものが出来たな。」

「腐っても魔獣化。素材としては、バッチリだねぇ。」

「ゴーレムの強さは、核の強さに比例するからね。期待すると良いよ。」


 ゴーレムの強さは、中にいる者に比例する。

 それが魔獣化した存在だと、強さも相当な筈だ。

 しかも、その頭の上には剣聖のゴーレムもいる。


「これがうちらの本気だよ。」

「最後まで出し惜しみ無くぶつけるよ。」


 そう言いながら、ゴーレム達に指示を出す。

 すると、両方の手が襲いかかってくる。


「任せて良いかい?」

「良いよん。」「良い、よ。」


 そう返事をしたキュリアとリュノが前にかける。

 そして、手を引きつけてから避ける。

 すると、その二人を目掛けて剣聖のゴーレムが襲いかかってくるが…。


「おっと。あんたの相手はうちってね。」


 聖剣の光をはね飛ばしたオルティが、パドルで殴りかかる。

 すると、剣聖のゴーレムが聖剣で受け止める。


「さて、腕前はどうかなっと。」


 パドルを構えたオルティは、剣聖のゴーレムと打ち合う。

 その聖剣の動きは早く、目視する事は敵わない。

 それでもと、聖剣の攻撃をオルティが防いでいく。 


「やるじゃない? 流石、剣聖様々だっと。」


 見えない聖剣をパドルで受けていくオルティ。

 防戦一方で、反撃する余裕もない。

 その様子を見た武将の一人が笑う。


「ははっ、無駄だよ。動かしてるのは、中にいる奴の脳だからね。」

「まさに、本人そのもの。剣聖とやらと、どれだけ渡り合えるかな?」


 操られているとはいえ、その動きは中にいる剣聖に委ねられている。

 つまり、目の前にいるのは剣聖そのものだ。

 それでも、オルティは笑っている。


「そりゃ、光栄なこった。しかし残念かなっ。剣聖との戦いは慣れてるんでねっ。」


 そう言ったオルティが、迫る聖剣の隙をついてはねのける。

 そして、そのまま剣聖をパドルではね飛ばす。


「動きが止まればこっちのもんっ。遠くへっ、ぶっ飛べ!」


 そう言いながら、オルティがパドルを強く振る。

 すると、それにより発生した風が剣聖のゴーレムを吹き飛ばす。

 その勢いは強く、それを受けた剣聖にゴーレムは遥か彼方へと飛んでいく。


「撃破っ。って、良いのかな? まぁ良いか。よし次!」


 吹き飛ばした剣聖に、問題が無いのかを心配してるのだろう。

 しかし、すでに遥か彼方へととんでいる。

 心配しても遅いだろうと、目の前の顔へと飛び込む。

 その横では、キュリアとリュノが大きな手と戦っている。


「こっちこっち。」

「遅い、よ。」


 逃げまどう二人を、大きな手が追いかける。

 そんな手を、破壊をしながらも避けていく。

 その間にも、オルティが大きな顔の一部ををパドルで吹き飛ばす。


「さあて、いい加減終わらせるか。一気に叩き込むよ!」

「ほーい。」「うんっ。」


 今後は、三人揃っての攻撃だ。

 一部が欠けた大きな顔を、今度こそまとめて吹き飛ばす。

 そしてそのまま、帝達へと突っ込んでいく。


「観念して出ていきなっ。」

「くっ。」


 勢いをつけたままのもう一撃。

 それを、帝達へと叩き込む。



 次の時、帝達が砕け散る。


「なっ!?」


 まるで砂のように崩れていく。

 いや、砂そのものだ。


「ゴーレム。逃げやがったか。」


 その正体は、ゴーレムで作った帝達だ。

 大きなゴーレム達と戦わせている間に入れ替わったのだろう。

 すると、王都に声が響く。


「人間よ。今回は引かせて貰う。しかし、次こそ我らが勝つ番だ。それまで、束の間の平穏を楽しむと良い。」

「今回と言わずに、もう来なくて良いけどなー。」

「そうはいかん。では、その時までさらばだ。」


 そうして、声が聞こえなくなる。

 そして、雲が晴れ王都に光が差す。

前半戦終了です

前半は、某無双ゲーをイメージして書きました。

これからは、タワーディフェンスゲーへと移ります

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