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猫です。~猫になった男とぽんこつの元お嬢様の放浪旅~  作者: 鍋敷
人魔大陸防衛大戦 フラリア王国編
138/283

研究所を襲う異変です

 剣を返してもらった俺達は、教室のような場所に案内される。

 そして、セイラと同じ班へと割り振られる。


「セイラさん。すみませんが、彼女達の面倒をお願い出来ますか?」

「はい。任せてください。」


 先生からの急なお願いを受け入れるセイラ。

 上品に胸に手を当て返事する。


「では、分からない事があれば聞いてね。」

「お願いするよ。」


にゃ。


 お願いします。


 こちらを見るセイラへとお願いする俺達。

 見知った相手なら、お互い安心できるだろう。

 当然ながら、他のメンバーにも挨拶をする。


「楽しみだな。にゃんすけ。」


にゃっ。


 楽しみだね。

 ワクワク。


「ふふっ。教えがいがありそうね。」


 ワクワク気分で待つ俺達を見て微笑むセイラ。

 そうしていると、教室に白衣を着た者が現れる。

 すると、その人物をフィーと俺が凝視する。


「なぁにゃんすけ。どこかで見た事ないか?」


にゃ。


 見た事あるような無いような。


 その人物に疑問を持つ俺達。

 そんな俺達に気づかずに、その人物は挨拶を始める。


「どうも、お待たせしました。今日の担当をする研究員です。よろしくお願いします。」

「「「お願いします。」」」


 挨拶をした研究員に生徒達が挨拶をする。

 それを受けた研究員は、とある魔科学のアイテムを取り出す。


「私の専門は、変換させた魔力の威力を弄る装置の開発。作り出した魔法が上手く調整出来ているかの研究を日々しています。それさえ出来ればこんな事も出来るよ。」


 そう言いながら、研究員が魔科学のアイテムから火を作り出す。

 その火へと研究員が一息。

 すると、火が消えて花が現れる。

 それを見た俺達は、昨日の事を思い出す。


「あ、昨日の大道芸の。」

「あれ、見て下さってました? お恥ずかしい。」


 そういえばいたなぁ。


 その研究員は、道端でマジックを見せていた者だ。

 見た事があると思うのも当然だ。


「ちなみにこれは、火を花に変えたのでなく…。」

「はいはい! 光量の強い火の光で持っている花を隠してた。だよねーっ?」

「正解だよ。光の強さによってはこうして物も隠せるんだ。これを当てるとは流石だね。」


 答えを当てたアクティを誉める研究員。

 花は元々持っていた。

 それを特別な魔法で作った火の光で隠していただけだ。


「ほう、面白いアイテムだ。それで、それのどこが恥ずかしいんだ?」

「ははっ。見せたかっただけだからね。我々研究員は、自慢したがりが殆どだから。なので、ああやって許可を取って研究の成果を見せびらすんだよ。」


 恥ずかしそうに頬をかく研究員。

 マジックの披露は、ただ自慢したかっただけ。

 あまり知られたくは無かった事のようだ。


「まぁでも、そのお陰で次の開発のイメージが湧いてくるんだ。次はどのように驚かせようってね。興味を持つのは何も作る人だけではない。それを忘れずにね?」


 自分が作りたい物を作る事は大事な事だ。

 しかし、それだけでは閃く事に限界がある。

 誰かが求めるものを追求してこそ思い浮かぶ物もあるのだ。


「さてと、上手く話がまとまった所で授業を始めようか。今回君たちに教えるのは、魔科学のランタンの構造だよ。明かりの調整がどれだけ大事なのかを勉強していってね。」


 そうして、魔科学の授業が始まった。

 各班が渡された魔科学のランプを分解していく。

 そして、それぞれのパーツの意味を学んでいく。

 それを黙って聞いていた俺達をセイラが見る。


「ここまでは分かる?」

「流石にな。どのようにと言われるとさっぱりだが。」


にゃ。


 だよね。

 でも、中身を見るのは楽しいよ。


 パーツそのものに関しての理解は追い付いている。

 中身を知るのは、未知の探索みたいで楽しい。

 それを聞いていた研究員が答える。


「それを知る為の授業だよ。じゃあ、このパーツを取ってみようか。このパーツこそが、僕達が開発した調整機能だ。これがあれば、作り出した魔法の光を…。」


 まだまだ授業は続く。

 光量を調整する仕組みや、調整された光による役割。

 それがどのように使われているかを交えて説明される。


「光魔法にも色々あるんだな。」

「光魔法は、明るさを変えるだけの物ではないからね。」

「そうなのか?」

「えぇ。見たいと思えば何でも見る事が出来るのよ。何でもね。」

「そう、そこに何を指定するかは本人次第。だから、その分役割も増えるんだ。」


 指定されない分、出来る事は増えていく。

 出来る事が増えれば役目も増える。

 それを叶える為の光の魔科学のアイテムだ。


「そういえば、霧を晴らす事が出来たな。」

「霧を晴らすなんて余裕だよ。その気になれば、視界に映らないような遠い場所も見る事が出来る。といっても、そこまでの高位魔法の開発には至って無いけどね。」


 出来るといっても難易度がある。

 そもそもの魔法の難易度を無視する事は不可能なのだ。

 難易度が上がる分、再現するのも難しい。


「大事なのは、人々の生活を豊かにする事だ。必要ない物は無理にする必要もない。なんて言いつつも、いつかは実現したいものだよ。」


 職人魂ってやつだね。


 実現は不可能で、そもそも必要がない物だ。

 それでも、一研究員として実現がしたいのだろう。


「さて、光魔法の需要が分かった所で次に行こうか。本題の調整の仕方について学んでいくよ。じゃあ、調整用のパーツを持ってね。」


 各班が指定されたパーツを取る。

 次は、ついにパーツの中を見ていくのだろう。

 その時だった。


ドカーーーーーーーン!


 研究所のどこかで爆発が起きた。


「あちゃあ、またか。」


 それでも、研究員は冷静にしている。

 よく見ると、学生達も冷静だ

 まるで、慣れた事のように。

 唯一知らない俺達が代わりに慌てる。


「良いのか?」

「うん。研究には爆発は付き物だしね。それだけ大変な分野なんだよ。」


 まぁそうだよね。

 簡単だったらもっと研究が進んでいる筈だし。


 研究と言っても、毎回上手くいく物ではない。

 こうして失敗を重ねて、新たな発見へと至るのだ。

 その筈だったが…。


ドカンドカーーーーーン!


 爆発は止まらない。

 何度もあちこちから聞こえてくる。

 一ヶ所で起きている爆発ではない。


「随分と失敗するんだな。」

「いや。こんな事は今まで無かったけど。何か起きているのか?」


 ここに来て、ようやく研究員が動揺する。

 すると、爆発以外にも破壊音が続く。

 その中には…。


うわーーーーーーーっ!


「ひ、悲鳴!? ほ、本当によくある事なのか?」


 あるの?

 本当に?


 慌てる俺達を無視して研究員は考え込む。

 そして、扉へと向かう。


「少し見てくるよ。それまで授業は中断だ。」

「私も行きます。」


 部屋の隅で授業を見ていた先生が立ち上がる。

 それを見た研究員が頷く。


「助かります。」

「えぇ、早く行きましょう。皆さんはここで待機を。」


 そう言いながら、研究員と先生が部屋を出ていく。

 それからも、爆発と破壊音は続く。


「大丈夫なのか?」

「えぇ、ここにいるのは私達の先輩ですもの。何かあっても問題ないわよ。」


 ここで働くのは、魔法学校を出たベテランばかりだ。

 何かあっても、自分達で対処出来るだろう。

 それを知ってか誰も慌てていない。

 ただ一人、アクティを除いては。


「本当にそうかなぁ?」

「どういう事?」

「んーん。何でもー。」


 ソリューが聞くも、アクティは答えない。

 それでも、複雑そうに天井を見ている。

 そして、気づく。

 その大きな力の波動を。


「っ!? まずい!」

「え?」


 再び聞かれるも答えない。

 いや、答えられない。

 何故なら。


チュドーーーーーン!


 今まで以上の爆発が起きたからだ。

 その爆発は威力を増していく。

 そして、生徒達がいる教室を巻き込む。

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