子猫の3兄妹 クリスマスプレゼント
とら:
今日は、猫でも楽しいクリスマス。僕は、元気よく、はしゃいでいる妹たちのために、プレゼントを用意した。
野良猫の僕たちにとって、一番、大切なのは食べ物。僕は、取って置きの場所へ、調達に出かけた。鼻をくすぐる美味しそうな鳥肉の匂い。それは、犬小屋の方から漂ってきた。犬小屋の中では、大きな犬が、小さく丸まって眠っていた。僕は、気づかれないように体を屈めて、音を出さないように用心深く、ゆっくりと餌のある皿を目指した。
「おまえ、そこで何をしてる?」
突然の声に、僕はこわばり、返事もできなかった。
「鳥肉が欲しいのか? それならやるぞ」
「え?」
僕は、思わず、目を丸くした。
「そいつは、骨が鋭くてな。さっき、かぶりついたら、骨が刺さったんだ。もう、こりごりだから、やる」
なんという幸運だろう。感謝しなくては。
「僕は、とら。あなたの名前は?」
「俺は、ベル」
「ベルさん、どうも、ありがとう」
僕は、鳥肉をひきずりながら、妹たちの待つ、ねぐらに戻ってきた。
妹たちも、プレゼントを用意していた。
しろは、輝く紐。揺れるとキラキラと輝いた。綺麗なものが何より好きな、しろらしいプレゼントだった。
ミケは、大きな靴下。中にもぐり込みたくなる魅力に満ちていた。
僕たちは、美味しい料理を心ゆくまで楽しんだ。
しろ:
メリークリスマス。これは、兄さんとミケちゃん、そして、わたしへのプレゼント。
近くの家の小さな木に引っ掛かっていた、とても、綺麗な紐。きらきらして、揺れて、思わず、じゃれたくなる。他に、星型のねこじゃらしや、丸く点滅する玉もあったけど、わたしは、これが好き。
兄さんは、骨付き鳥肉。こんな豪華な料理を用意するなんて、なかなかやるじゃない。
ミケちゃんは、赤い大きな靴下。3匹で入ったら、きっと、暖かいね。
わたしたちは、きらきら揺れて輝く紐に、思いっきり、じゃれる。兄さんも、ミケちゃんも、紐が絡んだみたい。だめだよ。わたしみたいに、綺麗に絡まなきゃ。
ミケ:
今日は、草木も踊るクリスマスです。ミケは、とらちゃんと、しろちゃんに、プレゼントを用意します。
近くの家の庭に進入します。誰もいません。安全確認よし。右を見て、左を見て、ほふく前進。目標、発見。暖かそうな寝袋です。ダッシュ。ジャンプ。ゲット。任務完了。
とらちゃんは、豪華な料理。さすが、ミケの兄さんです。素敵です。
しろちゃんは、リボン。これはいいです。プレゼントが引き立ちます。
ミケたちは、寝袋を引っ張りながら、元の場所にやってきます。
「さぁ、みんなで、入ろう」
ミケたちは、寝袋の中で、じゃれあいます。
大きな靴下に、潜り込んだ3匹。
もぞもぞしながら、やがて、小さな3つの頭が出てきました。
しばらくすると、子供がやってきました。
「わぁ、靴下に、子猫がいる。可愛い。お母さん、これがプレゼントなの?」
お母さんは、驚いて、靴下を覗き込みました。
「子猫がいるの? どうしたのかしら。あら、リボンまで付けて、可愛いわね」
「お母さん、この子猫達、飼ってもいい?」
「今日だけですよ。家に入れてあげなさい」
3匹にとって、暖かい家の中が、何よりのプレゼントになった。