第8話:ドロップ
「それじゃあ俺と一緒にクエストに行く?」
エリアルにそう提案する。彼女は驚いた表情でこちらを見た。
もちろん無理にとは言わないけど、と俺は付け加えた。
「いえいえ、もちろんアレスさんなら大歓迎ですよ。私のために時間を使って下さるのは大変ありがたいのですが、お忙しくはないのでしょうか?」
「今日は他にもうやる事がないから大丈夫。それじゃあさっそく行こうか」
「はい」
ちょっと強引な形ではあったがエリアルのクエストに参加した。
ルーゼンベルグを出発して近くの森に繰り出す。
俺達が向かった先は、森の中にひっそりと存在する今は廃墟となった貴族の邸宅。
ルゼイン家というそこそこ裕福な貴族の屋敷だったが、宮廷内の権力闘争に巻き込まれて失脚してしまったそうだ。
屋敷は売り払われて未だに買い手が見つかっていない。
そして、いつの間にか魔物が住みついてダンジョン化したという経緯だ。
しばらく歩くと目的地の廃墟に到着する。
見るからにおばけが出てきそうな感じの屋敷で、外壁の塗装は剥げていて、草木も伸びきっている。
窓ガラスも割れている所が多い。
「そういえば、勝手に屋敷に入って大丈夫なのかい?」
「ギルドの許可が下りてるので大丈夫ですよ。買い手が見つかるまで、現在は一時的にギルドが買い取っているそうです」
「そうなのか。それなら安心だね」
玄関には鍵がかかっておらず普通に入る事ができた。
屋敷の中は完全にモンスターの巣窟となっており、玄関を抜けてすぐにオークとエンカウントした。
二週間前に倒したハイオークほど強い魔物ではないが、中級モンスターとして人々から恐れられているので油断はできない。
討伐推奨レベルは20前半。
オークはこちらに気づくと雄たけびを上げて迫ってきた。
俺は聖剣を構えてオークと応戦する。
勇者紋を発動して身体能力を強化すると、俺は地面を蹴ってオークに肉薄して左膝から右肩に向けて斜め斬りを放つ。
オークの体が真っ二つになってボッコーンと爆発した。
ドロップアイテムの【オークの牙】だけが残った。
魔族の特徴として、魔族は死亡すると炎となって現世から消える。
代わりに魔族の部位が加工されて出現する。
人々はこの現象を【落ちるもの】と呼んでいる。
いまだに解明されてない謎の現象であり、学者達は日夜研究してるそうだ。
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