第7話:エリアルとの再会
精霊魔術で防御盾を作る、剣を盾にする、神聖術で結界を張る。
ロザリー、エルザ、レスティアの三名はそのすべてを怠っていた。
その結果、聖竜王との戦いで空の彼方へと吹き飛ばされた。
彼らは《竜の渓谷》から北に10キロ先にある森の中で発見された。
上空から転落した時に全身を激しく強打して全治一か月の大怪我を負ってしまった。
そして、現在はルーゼンベルグの病院で仲良く入院している。
神聖術で彼らを治療する事もできたが、後遺症が残るといけないので、病院での長期治療を勧めた。
一週間後、俺は魔王城に向けてルーゼンベルグを出発する予定だ。
三人の治療期間は一か月となるので戦線離脱といっても差し支えないだろう。
これで俺も気兼ねなく、新しいパーティを作るための大義名分ができた。
前回はそれができなかった。
勇者としての立場を維持するためにロザリー、エルザ、レスティアの三名を優先せざる得なかった。
だが、今回は違う。
彼らが明確に戦線離脱したので俺は晴れて自由だ。
その辺に優秀な精霊術士と聖騎士と聖女が生えてないかな。
俺はそんな事を考えながら冒険者ギルドを目指していく。
すると、公園のベンチに座っているエリアルを発見した。
エリアルとはフリークス魔法学校の女子生徒。鮮やかな青髪が印象的な大人しい女の子だ。
「やあエリアル、久しぶり、元気にしていたかい?」
「あっ、アレスさん。二週間ぶりですね。また会えて嬉しいです!」
エリアルは立ち上がり、俺のところまで走ってきて笑顔でそう答えた。
「元気そうで良かったよ。公園のベンチでお昼寝かい?」
「いえいえ、友達を待ってたんです。実はワタシ、学校に通いながら休日は冒険者ギルドでクエストをしているんですよ」
「へー、意外」
「意外ですか?」
「うん、エリアルの事だから休日は寮で読書をしてると思ってたよ」
「あはは……よく言われます」
エリアルは苦笑いを浮かべる。
エリアルと談笑をしていると、エリアルの待ち人っぽい少女がやって来た。
少女はやって来るや否や、頭の上に両手を合わせて謝罪する。
「ごめんっ、エリアル! 今日彼氏と一緒にショッピングに行く予定があった事忘れてたっ! だから今日一緒にクエストいけないわっ!」
「えー!?」
「アナタとの付き合いも大事だけど、彼氏との付き合いも同じくらい大事なのっ! だからごめん! 今日のクエストはキャンセルでお願い!」
そう答えて、エリアルの返答を聞く事もなく走り去っていった。
清々しいまでのドタキャンだ。
「どどどうしましょう。キャンセルすると罰金が……」
冒険者クエストはキャンセルすると報酬の三割を支払う必要がある。
「明日じゃダメなのか?」
「外出できる休日は今日だけなんです。明日からまた寮生活です」
「それなら今日中にやらないとダメだね」
「はい……」
エリアルは悲しそうな表情を浮かべた。
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