第9話:皇太子、クーデターにあってしまう(1)
【クラウド視点】
ぐあああああああああああ!
痛い痛い痛い! くっそおおおおおおおお! あのクソアマ! 皇太子の俺によくもおおおおおおお!
俺は痛みで大絶叫する。
「皇太子様! い、いったいなにがあったんですか?」
「うわ、手足が千切れてる……」「ひどい……」「いったいなにがあったんだろう……」
シルドマルク城で働いている兵士達が駆けつけてくる。爆発した部屋の惨状を見て驚いている。
「あのクソアマを殺せえええええええ!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて下さい。今すぐに僧侶を呼びますから!」
「くそっ、はやくしろ!」
兵士は僧侶を呼びに走っていく。
しかし、慌ててすぐに帰ってきた。僧侶を連れておらず、戻ってくるなり、俺にこう言った。
「も、申し訳ありません。どうやら大教会で僧侶の緊急招集がかかっているようで、シルドマルク城から僧侶の姿が全員消えております!」
「はああああああああああああああああああああ!? ふざけるなぁ!? 皇太子の俺が怪我をしてるんだぞ!」
「そうは言われましても、聖女レスティア様がいらっしゃらなくなったので、緊急会議が必要みたいなのです」
「俺はその聖女レスティアにやられたんだよぉおおおおおおおおおお!」
俺は大声で叫ぶも、彼らはあたふたするばかりで役に立たない。
「もういい! お前達には頼まない。俺一人でなんとかする!」
俺はそう叫んで、欠損した手足を復活させる。
ニョキニョキニョキ……っと手足が生え変わっていく。
兵士達はマヌケな面で俺を眺めていた。
くくく……。俺は魔物薬を浴びてから特殊能力を手に入れたんだよ。
人知をはるかに超えた、超人的な再生能力。
これが新生クラウド様の力だ。
今思い返してみても、あの時のアレスのマヌケな面は面白かったなぁ……!
殺したはずの俺が復活してるんだもんなぁ……。
くくく、俺はこの再生能力がある限り何度でも蘇る。
アレス、ロザリー、エルザ、レスティア。
このクラウド様が………お前らに未来はないってことを教えてやるよ!
その時、俺の予想外な事が起きた。
「きゃああああああああああああああああああ!?」「ば、化け物ォ!?」
「魔法も使ってないのに、手足が生え変わってる!?」「皇太子が魔物って噂は本当だったんだ!」
「お、俺も聞いた事があるぞ! 皇太子はすでに魔物化していて、勇者パーティを妨害してるって!」
「うそっ!?」「だから昨日もあんな意味不明な事をしてたのか!」「アレス様をハーケテュリアに送り込むだけでも頭おかしいのに、ロザリー様やエルザ様にまで刃を向けてたしな」「そもそも私、クラウド嫌いなの」「お、おい。この皇太子の皮を被った化け物を殺そうぜ!」
兵士達が次々と意味の分からない事を言い始めたのだ。
「は? なに言ってんだお前ら!? 俺は皇太子だぞ!」
「黙れっ! 化け物!」
兵士達は次々と自分が持っている武器で俺の体をぶん殴っていく。
ボコボコボコボカバキッッッ!!
骨が折れる音、肉裂ける音、あたりに俺の悲鳴が響き渡る。
「いってえぇぇぇぇぇえんだよっぉおぉぉおおおおおおおおおおお!!」
その痛みに耐えきれなくなった俺は、力を開放して大蛇の姿に変身した。
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