第6話:権力の関係性
「シンシアさんの話によると、アンゴラさんは魔法生物学をスラスラ語れるほど博識な方らしいですね」
「生物学って、その響きだけで頭が良さそうだな」
俺は無学なので魔法学に関しては門外漢だ。レスティアも同様で魔法学はさっぱりわからないそうだ。
通路を進んでいるとエリアルと再会した。
「あっ、エリアル。数日振りだね」
「あれ、どうしてアレスさんが学園にいらっしゃるんですか?」
俺はゴールデンフィッシュの事を説明した。
「なるほどなるほど。事情は把握しました。ところで、そちらの方はどなたですか? すごく綺麗な方ですね」
エリアルはレスティアに視線を移した。するとレスティアは姿勢を正して丁寧にお辞儀をする。
「初めまして。私はレスティア=エルゼルベル=クォルテです。本日はアレスに同行する形で学園にお邪魔させていただきました」
「ご丁寧にどうも。私はエリアル=パークスです。見てわかるようにこの学園の生徒です」
「パークス? もしかしてパークス家の方ですか?」
「ええ、はい。一応」
「知らなかったとはいえ、こちらから挨拶が遅れて申し訳ございません」
「いえいえ、全然気にしてませんよ。それに今の私はただの学生ですから」
エリアルは優しく微笑みながらそう答えた。
レスティアも聖女なので身分的にはかなり偉いはずなんだが、パークス家の方が若干上っぽいのかな?
その辺の権力関係はさっぱりだから憶測でしかないけれど。
俺の方からはレスティアの事を詳しく説明せずに、大切な友達だから仲良くしてやってくれとだけ伝えた。
エリアルもBクラスのようでアンゴラを知っていた。だが、アンゴラの名前を聞くとやや暗い表情を浮かべた。エリアルの反応を見た時、俺はなんとなく嫌な予感がした。
アンゴラは普段教室の隅で魔法生物学の本を読んでいるそうだ。魔物の生態を研究して生物学の権威になるのが夢みたい。
「へー、学園長のお話通り、やっぱり博識な方なんですね」とレスティアが感心する。
「その代わり、ちょっとだけ変わっている方なので、お気を悪くしないでくださいね」
「天才はそういう変わった方が多いので全然気にしませんよ」
レスティアの受け答えは素晴らしいね。レスティアの寛容さは俺も見習わなきゃいけないな。
エリアルに案内されたのはBクラスの教室。教室の隅に丸眼鏡をかけた青年がいた。年齢は、エリアルよりは3歳ばかり年上って感じだ。大体18歳くらい?
「あちらの方がアンゴラ先輩ですね」
エリアルの方からアンゴラに話しかけるとアンゴラは眼鏡をクイッと引き上げた。
「アンゴラ先輩、少しお時間よろしいですか?」
「別に構いませんけど、私も暇ではないので手短にお願いしますね」
エリアルは俺達を紹介する。ゴールデンフィッシュが釣れたことを説明すると、アンゴラは目を驚かせた。
「ほ、本当ですか!? ぜひ私に売ってください!」
「これはいい感じですねー」とレスティアが笑顔で答えた。
「なあ、エリアル。ゴールデンフィッシュの相場ってどれくらいかわかるか?」
「えっと、私の記憶が正しければ金貨100枚くらいだった気がしますね。ただ、我々は一介の生徒なので値下げして頂けると助かります」
それじゃあ値下げしてあげようかな。
「どれくらいならお金が出せますか?」
「今すぐに出せる金額は金貨3枚程度です。流石に金貨100枚は難しいですね」
やっぱりそんなもんか。
とはいえこちらも商売。明らかに釣り合ってない値段で取引に応じる事はできない。
アンゴラとの取引は一旦保留にして他の二人に聞いてみるか。
「申し訳ありません。ちょっと考えさせてください」
俺はアンゴラに頭を下げた。案の定、彼も肩を落としていたが、仕方ないというような感じで読書に戻った。
アンゴラのあと、俺達は残り二人の所にも向かった。
レッドという生徒は金貨20枚、エディアという生徒は相場通りの金貨100枚を即決で提示した。
「これは決まりですね。アンゴラさんには悪いですが、エディアさんに売りましょう」
レスティアがそう提案した。俺もそれに頷いた。
「そうだな」
結局、俺達はエディアとゴールデンフィッシュの商談を済ませた。
実際の受け渡しは、放課後、別の場所で行うことが決まった。
「とりあえず、前金として金貨50枚渡しておくぞ」
エディアはそう発言して金貨を50枚その場で支払った。
はえー、お金持ちっすね。
エリアルの話によると現在事業が上手く行ってる伯爵令嬢らしい。なんにせよ、相場通りの値段で取引が済んで良かったよ。
売り手としては誰も買ってくれないのが一番困るからね。
「それじゃあ昼食でも食べに行こうか。エリアルもどうだい?」
「お供します。えっと、せっかくなので食堂で食べるのはどうでしょうか」
前回はロザリーの介入でめちゃくちゃになったから、そのリベンジとしていいかもしれないね。レスティアも学園の食堂には興味を持ってるご様子だった。
俺達三人は食堂へと向かった。
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