第18話:パーティ再結成
一週間後、最終決戦に向けて俺はルーゼンベルグを出発した。
パーティはロザリー、エルザ、レスティアの三人。
彼らを連れていくつもりは微塵もなかったが、勇者としての立場上、彼らを連れていく事を余儀なくされた。
要するに上層部から圧力が加わったというわけだ。ちなみにクラウドは行方不明者扱いとして失踪届が出されている。魔物となった上に俺から討伐されてしまったわけだからもう二度と見つかる事はないだろう。
さて、現在のパーティ状況だがはっきりいって最悪に近い。
「ひっ……!? ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
ロザリーはこんな感じになってしまった。以前のような乱暴な言動はなりを潜めたが、こちらから話しかけても泣きながら怯えているだけで会話にならない。
「あ、アレスよ。私のような役立たずを仲間に入れて本当にありがとう。アレスの邪魔にならないように後ろで待機しているから、私に何かして欲しい事があるならなんでも言ってくれ。お茶くみだってマッサージだってなんでもやるから私を見捨てないでくれ」
エルザは聖竜王の時に俺に迷惑をかけて以降、何をするにしても俺の意見を尊重するようになった。自分の意思で物事を考えることができなくなったと言えばいいのだろうか。
「あとは魔王を倒せば完全終了ですね♪ 見ての通り私はギブスをつけて戦いに参加できないので後ろで観戦してますね♪」
レスティアは平常運転だ。仲間二人がメンタルをやられている状況でも変わらず自分が楽する事だけを最優先に考えている。
まさに地獄みたいなパーティといえるだろう。
早く魔王を倒してパーティを解散したい。俺の望みはもはやそれだけだ。
魔王城に近づくにつれて魔物の数も徐々に増えてくる。四天王を倒した事で魔王軍の魔物の数は1/4にまで減少しているが、それでも俺一人で戦い続けるには限界がある。
魔物の一匹が俺の後方にいる三人のところへと向かっていくと、
「いやああああああああああ!? 生まれて来てごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
ロザリーは発狂し、あらぬ方向へと逃走してしまった。
「お、おいロザリー! どこへ行くんだ!」
「いやああああああああ!?」
パニックのあまり俺の言葉は届いていないようだ。
現在交戦中で手が離せないので、俺は素早くロザリーを連れ戻すように命じた。エルザが慌ててロザリーを追いかけていく。
だが、その先にはゴーレムがいて、向かってくるロザリーを巨大な右腕で殴り飛ばした。
その一撃で、精霊使いロザリーはあっけなく即死した。
ネタバレとなるので詳しくは言えませんがハッピーエンドタグをつけてるのでご安心ください。
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