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第10話:ハムサンド

次話は2022/10/27のお昼12:00に投稿します

 屋敷の二階でもエリアルの索敵能力が光る。

 一分もしないうちに敵の配置を書き記した地図を作製した。

 すごく優秀だな。あの三人を質屋に売ってエリアルを買いたいくらいだ。


「エリアルはきっと優秀な冒険者になれるよ」


 これはお世辞ではなく心からそう思った。

 冒険者において一番大事と言われている情報収集能力に長けているのは大きな強みと言えるだろう。


「本当ですか!? アレスさんに褒めて頂けるなんてすごく嬉しいですっ!」


 エリアルはすごく嬉しそうに笑った。

 エリアルが作成した地図を確認する。構造は一階とほぼ同じで、一部の部屋にはオークが潜んでいる。

 このような隠れているタイプの敵を俺は《特異種》と呼んでいる。このタイプの敵は他の個体よりも知能が高い事が多い。

 たとえば俺が先日倒した聖竜王もレッドドラゴンの特異種だ。四天王はすべて特異種と言っても過言ではないだろう。


 オークが隠れてる扉の前に立って俺は勇者紋を開放する。


 扉に向かって、俺は斬撃飛翔スキルの《ニュルンベルク》を発動する。

 三日月方の魔力の斬撃波が前方に飛んで部屋の内部にいるオークごと切り裂いた。

 ドロップした《オークの牙》を拾って《収納ポーチ》に収納した。


 収納ポーチとはアイテム箱の事であり、国から支給された宝具だ。

 このポーチの中は異次元空間になっており、アイテムを際限なく入れる事ができる。

 この《収納ポーチ》と《聖剣》が国から支給された宝具だ。


 ポーチを閉じて、エリアルの所まで引き返していった。


 30分ほどで二階に潜んでいるオークをすべて処理する事ができた。 


「そろそろ休憩しようか」

「そうですね、お疲れ様です。アレスさんのおかげですごく助かってます」


 エリアルは丁寧にお辞儀をした。

 それはこっちの台詞だよ。俺もエリアルの索敵のおかげでかなり楽に戦闘することができる。

 エリアルがパーティに入ってくれたら俺も嬉しいけど、フリークス魔法学園の生徒さんだから流石に誘えないな。


 近くに寝室があったので、一緒のベッドに座って休憩。

 エリアルと楽しく談笑する。エリアルはリュックからバスケットを取り出した。そこにはたくさんのサンドイッチが入っていた。


「アレスさん、もしよろしければ一緒に食べませんか?」

「え? いいの?」

「今日は作りすぎてきちゃったんです」


 たしかに一人分にしては量が多いな。


「それじゃあお言葉に甘えていただこうかな」

「どうぞどうぞ! 好きなだけお食べください。ちなみにハムサンドは私の自信作なんです」


 さりげなくエリアルはハムサンドを勧める。

 それじゃあハムサンドから試食させてもらおう。


 ハムサンドを一つ手にとって口に運ぶ。


「すごく美味しいよ。エリアルは料理上手なんだな」

「本当ですか!?  えへ、えへへ。アレスさんに褒めてもらえた、また褒めてもらえた、えへへ」


 エリアルは口元をニヤつかせながら嬉しそうに喜んでいる。


「エリアルがオススメするように、このハムサンドは絶品だね。これなら毎日でも食べられるよ」

「ええ!? そ、それってつまり結婚してもいいってことですか……⁉︎」

「え? 結婚?」


 意外なワードが聞こえてきて俺は聞き返した。


「あわわわわ⁉︎ ち、違うんですっ! こ、こっちの話です! そ、そうです、紅茶もあるのでどうぞお飲みください!」


 エリアルは水筒をこちらに差し出した。

 顔を真っ赤にしてすごく慌ててるけど、どうしたんだろう。


 料理を堪能し、紅茶を数杯呑んでエリアルとの時間を楽しんでいると……。


「アレスじゃねえか、どうしてお前がここにいる?」


 振り返ると、俺をパーティから追放した賢者クラウドがいた。


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