表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小品

きみは風に吹かれ

作者: 星野☆明美

「その帽子、どうしたんだい?」

彼女の新しい帽子を指差して、ぼくは尋ねた。

「編んだのよ。自分で」

「自分で?」

一見、麦わら帽子かとも思ったんだが、材質が微妙に違う。

「新しく開発された糸で編んだの」

ぶわっ。

下から吹き上げる風が帽子の広いつばを翻した。

「テクノロートって知ってる?」

「いや」

「帽子の型崩れをしないように編み込んであるの」

「手芸もここまでくると芸術的だね」

彼女は翻る帽子を見つめ、そしてその先の空を見つめた。

空は宇宙との境界線が曖昧で、どこまでもどこまでも続く。

「……」

沈黙。

「何を思っているの?」

「……。ふふふ」

「何?」

「何でもない。……あなたにも帽子、編んだげる」

「そんな女らしいデザインでは、ぼくはかぶれないよ」

「編み図を探すわ」

そう言って、彼女は立っていた岩から下へ飛び降りた。ぼくは面食らって慌てて降りた。

海岸の砂浜。打ち上がった流木。

「これでブレスレットを作るわ」

割れたガラスのカケラ、波に揉まれて角が取れている。

茶色に青にソーダ色

彼女はワイヤーワークスで繋ぐブレスレットを作るって言ってる。

米津玄師のm八七の歌詞を何回も反芻した。風に吹かれて翻る帽子見つめ、ということは、君、は女の子なのかな?星を追いかけた、僕、は男の子だから。もう一人の存在も匂わせる歌詞。もう一人は超生命?

あるいは、僕と君は同一人物をさしていて、視点が自分と超生命なのかも?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ