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お前のからだがほしい  作者: 神子夏樹
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4 実家

「こっここが須藤さんの実家か...」


あのあと管理人と住所や家族関係など互いに情報を交換し、僕は彼女の実家についた。


「緊張するなぁ。勝手に入って大丈夫なのか?...いやいや住所もここであっているし、僕はどこからどう見ても女子高生だ。迷わず入るんだ!」


 一瞬の勇気を振り絞り玄関のドアを開けて家の中に入った。


 ガチャッ


「お邪魔しま...あっ、ただいま!」


 緊張し過ぎてうっかり言い間違えてしまった。家の中は思っていたよりも静かだ。心臓の音が止まらない。知らない人の家に入って本当に大丈夫なのかとても不安で今にも押し潰されそうだ。僕は恐る恐るリビングの光が見えるドアを開いた。


「ただいま...」


「あっ玲奈お帰り。今日の塾はずいぶん遅いわね。」


「ごっごめんママ。今日はちょっと夜まで勉強をしていて...」


「ママ?いやだなあんた、何言ってんのよ。お母さんじゃなくてママだなんて。ママはとっくの昔に卒業したじゃないのよ。」


「まっ間違えた!おっお母さん!」


「どうしたんだい玲奈?勉強のやり過ぎかい。」


「大丈夫だよ。おっお父さん!」


 リビングに彼女のお母さんとお父さんがいた。いきなりミスをおかしてしまい僕は焦ってしまった。


「玲奈、勉強を頑張るのはいいけどせめて10時までには帰ってきてほしいわ。だってご飯が冷めちゃうもん。」


「ごめんお母さん!今度は気をつけるよ。」


「まぁいいわ、ご飯は全部温め直すわね。」


「うん、わかった。あっお母さんあしたも塾ってあったっけ?」


「えっ忘れたの?毎週日曜日と水曜日でしょ。しっかりしなさい。」


「玲奈また最近何か変わったか?一昨日にもいつものことを聞いてきたよね?」


「何もないよお父さん!心配しないで」


「そっか、だったらいいんだが...。もし何かあったらお父さんに相談するんだよ。」


「うん」


 とても優しそうな両親で良かった。少し緊張がほぐれてきたな。


「ご馳走さま!美味しかったよ。じゃあ僕あっいや私、部屋にいってるね」


「はいよ。お風呂が沸いたら呼んでくるね。」


 ご夕食を食べた後僕は二階に上がり彼女の部屋に入った。


「ここが玲奈さんの部屋かな?」


ガチャ


「うぁ、これが女子の部屋か...」


部屋は全体的片付いていて綺麗だ。ベッドにぬいぐるみがたくさんあるのも女の子らしい。


 「これが女子の部屋か、初めてだなぁ。」


 部屋をあたり見渡たすとタンスの上に写真立てがいくつか置いてあった。


「これが玲奈さんの昔の写真...。どの写真も笑顔が素敵で可愛いなぁ。」


 ふと僕は思い出した。


「僕と入れ替わった管理人って玲奈さんなのかな?とても冷静な雰囲気でこの写真の感じからみると少し違うのか...。そもそも管理人はなんで僕と入れ替わりたがっていたんだ?僕の会社に行きたかったからか?」


 考えれば考えるほどいろんな疑問が浮かぶ。そもそも入れ替わりの原理がわからん。魂が変わるってどういうことだよ。僕は混乱し、ベッドで頭を抱えた。


「玲奈!お風呂沸いたわよ!」


「あっうん。今すぐいく!」


 今日はいろんなことが起きたな、とにかくお風呂に入ってゆっくりとしていよう。


 僕は下に降りて洗面所にいき、制服を脱いで風呂場に入った。


「ん?そうだ!僕の体は女子高生だった!女の子の体って見ていいのか?いや大丈夫だろ、今はもう僕の体だし、あっでも玲奈さんには申し訳ないなぁ。けど、からだを洗わないといけないし...。」


 そんな葛藤をしながら僕は目を開け初めて鏡で自分の体を見た。


「あぁ、これが今の僕の体なのか...。モデルみたいに細くてスタイリッシュでとても綺麗だ。」


 申し訳なさそうに僕は胸もとや腰まわりなどを触った。


「肌はすべすべしてて綺麗だ。胸ってこんなに柔らかいんだ。男の大事なあそこがないのが不思議だなぁ。」


 そして、自分は本当に女子になったのだと強く実感したのだ。


 

 

 



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