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【短編集】『時代』  作者: 雨音れいん
『箱入り息子』
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二.

 それからモ吉はすくすく育ち、村一番相撲が強いわらしになった。


「モ吉や、次は絶対負けられんぞ〜」


 じいさんは豹変し、モ吉が相撲で取ってきた賞金で賭け事をやるようになった。


「分かったぞ〜」 


 モ吉は素直な良い子だったのでじいさんの言うとおり、相撲を取りに行っておった。


「次が本番じゃ〜負けたら破産するんじゃぞ〜」


 じいさんはそう言って賭け事に銭を注ぎ込んでおったそうな。


「じいさんや、いい加減目を覚ますんじゃ〜」


 ばあさんはそんなじいさんをしかっておったが


「うるさいのぉ、わしゃあ老い先短いんじゃ〜」


 じいさんは聞く耳を持たんかった。


「そう言って、なかなか死なないんじゃ〜」


 ばあさんはすっかり呆れていた。結婚相手をまちがえたと、後悔せずにはいられんかった。

 

 じいさんは他人に厳しく自分に甘かったので、モ吉の相撲の稽古は狂人的だった。


「わしゃあ、お前に人生捧げたんじゃあ」


 そう言ってモ吉を追い詰めておったが


「分かったぞ〜」


 素直なモ吉は、過酷な稽古にも弱音をあげずにがんばった。


 それは熊と相撲を取ったり、じいさんとばあさんをおぶって山へ茸狩りに行ったり、海女さんより長く海に潜ったり。じいさんが言うと何でもやりこなしておったそうな。


 そんなモ吉の姿を見て、ばあさんは関心しとったが、じいさんのほうは悪びれもせず相変わらず賭け事ばかりしとった。


「ありゃもう駄目じゃ。狂っちまった」


 じいさんの変わりように、ばあさんの心は灰になった。



        つづく。。。




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