第8話「見習い卒業」
冒険者生活7日目。
今日はダンジョン4Fからスタートだ。
ガーゴイルの攻撃パターンは覚えたし楽々倒せる。
たまに出現する格下の植物系モンスターであるウッドソンの方が倒し辛い。
とっととボスを倒して次のフロアへ進もうかと思ったのだが、思うようにボス部屋が見つからなかった。
結局、ボス部屋が見つかったのは、お昼過ぎだった。
ダンジョン4Fのボスは小さかった。
あれ? ガーゴイルのおっきいバージョンが出てくるんじゃあなかったの?
俺らと同じサイズの子が、フォークのでっかいのを持って暴れている。
いやぁ。もう武器を持ったゴブリンじゃん。ちょっと素早いなぁくらいだ。
あっけなく小さい悪魔は煙となって消えた。
ちなみに、正式名称は「使い魔」だったらしい。
そう言われると、使い魔っぽい。
どうやら、モンスターには大まかなジャンルがあるらしく、そのフロアのボスはそのジャンルの上位種が出てきているらしい。
亜人系モンスターであるゴブリンの上位種がホブゴブリンで、悪魔系モンスターであるガーゴイルの上位種は、同じ悪魔系モンスターである使い魔だったらしい。
ゴブリンが成長してホブゴブリンになっているわけではなさそうだ。
お。レベルが上がった。
ボスを倒したらレベルが上がるなぁ。
ヒコ 男 5歳
見習いLv5
装備 ナイフ
アナト 女 6歳
見習いLv4
装備 ナイフ 革の小盾
イリビ 女 6歳
見習いLv4
装備 ナイフ 革の小盾
見習いレベルが5に上がったので、ジョブチェンジ出来るようになった。
・戦士
・武道家
・シーフ
・アイテム士
「アイテム士?」
「アイテム士がどうかしたの?」
あれ?俺の見習いレベルが5になったことが二人はわからないのか?
もしかして、仲間のステータスを覗けるのって俺だけ?
なら黙っておくか。
「いやぁ、何でもないよ」
どんあジョブかを聞くまでもなく、だいたいの説明が頭に入って来る。
戦士:重装備が出来るパーティの盾。。
武道家:筋力と体力が伸びやすい。素手でも攻撃力が高い。
シーフ:トラップ回避やドロップ率上昇などのパーティのサポート職。
アイテム士:魔法職の登竜門。微力な魔力でアイテムの効果を引き出す。
いやもう絶対にアイテム士だ。
俺には戦いの才能がない。これはもうどうしようもない。
子供の頃から足も遅かったし、球技もダメだった。運動神経が悪いのだ。
で、科学に興味を持ち、大学は有機化学を勉強した。かつて俺にも学者になる夢があったのだ。
しかし化学もダメで大学院には進まなかった。大学に入ると自分がいかにバカなのかよくわかった。
そして化学は諦めて営業職として会社に入ったわけだが、営業としてもダメだった。
そんな俺に光を指すのが魔法職だ。
もう一度、化学を楽しみたい。
研究だ論文だと気にすることなく、純粋に化学を楽しんでいた頃を取り戻したい。
だから、魔法職への登竜門のアイテム士一択だ。
ヒコ 男 5歳
アイテム士Lv1
アビリティ アイテム
装備 ナイフ
アナト 女 6歳
見習いLv4
装備 ナイフ 革の小盾
イリビ 女 6歳
見習いLv4
装備 ナイフ 革の小盾
ん?見習いを卒業したので、冒険者養成所の出て行かないといけないのか?
それは心許ないな。
アナトとイリビが見習いを卒業するまで待っていよう。
ダンジョン5Fはカエルの王国だった。
1.5mサイズのカエルが長~い舌でペロンペロンしてくる。
ゲーロゲーロゲーロゲーロ。とうるさい。
爬虫類系モンスターの上位種は何なのだろうか?
あれ? カエルが爬虫類? カエルは両生類じゃなかったか?
まあ細かい事はいいだろう。
上位種はワニかカメか。やっぱり大きいカエルなのか。
まあいい。冒険を続けよう。
ちなみに、5F層はクィン率いる【ドクロのガイコツ】も探索中らしく、どこかで出会うかもしれない。
が、それは俺たちには関係がない。
アイテム士はアイテムを使わなければ、見習いとの違いはない。
逆にお金がたっぷりあり、アイテムを無限に使えれば、魔法職よりも便利なんじゃないだろうか。
そんなのは夢のまた夢なのだが。
いやいや。とにかく今は目の前のカエルをどうにかしなければ。
アナトもイリビも苦労している。
この二人って、亜人系モンスターに強いだけで他には弱いんじゃないだろうか。
冒険者生活7日目終了。
見習いは卒業したので、今日は良しとしよう。
しかし、カエルの攻略をどうにかしなくては…