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凡人が英雄になるたった2つの方法  作者: youko
第1章 見習い
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第6話「装備というかグッズ」

「おはよう」

「おはよう」

「ふぁー。おはよう」

 パーティは同じ部屋で寝泊まりを行う。

 自分の家じゃないのだから、個人部屋がないのも仕方がないか。


「今日もお粥を持っていくの?」

「ああ。もちろん」

「じゃあ、昨日よりも少し多めに持って行きましょうよ」

「いやぁ。そうは言っても箱の大きさは同じだからそれは無理だなぁ」

「そっか。じゃあ、今日買いに行きましょう」

 しまった。昨日、買っておけば良かった。



 ダンジョンに入ると、1Fと2Fを選択できるようになっていた。

 なるほど。そういうシステムになっているのか。

 

 ダンジョン2F

 ここはゴブリンとパンサーとエンカウントする階層だ。

 時に1匹ずつ、時に2匹同時にモンスターと遭遇した。

 1Fでは、モンスターは決まって1匹ずつしか出なかったので、効率がいい。

 


 ゴブリンとパンサーをちぎっては投げちぎっては投げ。

 レベルが上がらないのだが、俺の技術が上昇している。

 ゴブリンもパンサーも決まった動きをする。

 何度も戦っているとその動きのパターンが見えてくる。


 階層のボスは、その階層で出会うモンスターの上位種が出てくるシステムとなっているそうだ。

 1F層の雑魚モンスターはゴブリンで、階層ボスはゴブリンの上位種であるホブゴブリンであった。


 ならば、2Fの階層ボスはパンサーの上位種なのだろう。

 同じ種族なのだから、行動パターンも似通っている。

 現に、ゴブリンとホブゴブリンの行動パターンには一致していた。

 ゴブリンとホブゴブリンの差は、パワー、スピード、サイズ、それに武器だった。


 アナトはゴブリンの行動パターンを全て把握していた。

 だからホブゴブリンの攻撃全てを躱していた。

 1年間もゴブリンと対峙したのだから、行動パターンを体が覚えたのだろう。


 そう。行動パターンを覚えれば、もっと早くもっと効率よく攻略できるはずなのだ。


 休憩を入れ、栄養を摂り、モンスターの行動パターンを覚える。

 ダンジョンで出来ることはこれだけだ。


「じゃあ、今日はこれくらいで上がりましょう」

「おう」


 ダンジョン探索3日目は終了。

 集めた魔石をカジさんに買い取ってもらい、300シュ手に入れた。

「じゃあ、今日は一人90シュでパーティ用に30シュね」

「ところで、二人ともリュックと食べ物を入れる箱を買った方がいいんじゃないか?」

「そうね。カジさん、私たち二人にそれぞれ、それとそれをお願い」

「おう、なら50シュだな」

「はい。じゃあ、50シュね」

「ありがとさん」


 俺も買い物をしよう。

「カジさん、靴ってあります?」

「ああ。あるよ。ほら」

 子供用のはないのか…

「僕に合うのはなさそうですね…」

「じゃあ、作っといてやろうか?」

「お願い出来るんですか?」

「ああ。簡単だよ。ただ、ちょっと値が張るぞ?」

「どのくらいですか?」

「100シュほしいな」

「わかりました。明日には用意できると思いますので、お願いします」

「ああ。いいよ。じゃあ、ちょっと足を測らせてくれ」

「お願いします」

 カジさんは丁寧に俺の足のサイズと測っている。

「アナトとイリビも測っておいた方がいいよ」

「草履で十分だけどね~」


 ところで、今、俺たちが着ているのは、麻の服に藁の草履だ。

 ステータスを覗いても装備とみなされていない。

 おそらく守備力を上昇させるなどの効果がないので、装備として認識されないのだろう。

 しかし、だからと言っておろそかにしていいわけではない。

 この世界はレベルという概念があるが、レベルが上がるまでの道のりは長い。

 ならば、ちょっとしたことが生死に関わるのではないだろうか。


 ほんの少し集中力を切らしたり、ほんの少し足を滑せた時が生死を分ける。

 それはもう自分ではどうにもならない。

 ミスってものは自分じゃどうにもならないものなんだ。

 そして俺は他の人間よりもミスが多い。圧倒的に多い。

 簡単なミスを減らして死の危険を遠ざけるには、仲間に頼るか道具に頼るかしか道はない。


 だから装備品と認識されない装備にもお金をかける。当然だ。


「ま、俺は買うよ。ちょっとでも戦いやすくなるんだったら100シュなんて安いもんさ」

「まぁそうかもね。じゃあ、カジさん私も~」

「はいよ」

「じゃあ、私も~」

 結局、アナトとイリビも足のサイズを測ることになった。

 



 そして実家へ。

 腐りかけの安い野菜をそれなりの価格で買い取るので母も喜んでいる。

 おっと…口が悪いかな。



 そして、ツメさんの家こと、冒険者養成所に帰って17人分の飯を作る。

 その後は晩ご飯を食べながらクィンやルキのパーティメンバーとバカ話をする。 

 






 ダンジョン探索4日目。

 今日もダンジョン2Fでゴブリンとパンサーを倒している。

「あっ。ボス部屋発見!」

 イリビがボス部屋を見付けた。イリビは方向感覚に優れている。

 俺にはまったく現在位置がわからない。一人で置いていかれたら餓死するだろう。


「もうボスを倒しに行かないか?」

「ええっ?早くない?」アナトは否定的だが…

「余裕でしょ」イリビは乗り気だ。


「じゃあ多数決で行くってことに決まりでいい?」

「いいわよ」あら。あっさりOKが出ました。



 さっそくダンジョン2Fボス部屋へ。

 ボスは「レッドパンサー」だ。

 レッドパンサーの毛は赤く、体は2mを越えるサイズで、動きが速い。

 想定の範囲内だ。


 アナトがレッドパンサーの牙と爪を躱し続け、イリビがそのスキを突く。

 アナトもイリビもレッドパンサーに押されているが、レッドパンサーには決め手がない。

 俺は、レッドパンサーがイライラして大ぶりになったところを見計らってナイフをアナルに突き刺した。


「ねぇ…とどめってそこじゃないとダメなの?」

「そのナイフ、本当に洗いなよ」

「いや…もうピッカピカにします…」


 そして、レベルアップを果たした。


 ヒコ 男 5歳

 見習いLv3

 装備 銅のナイフ


 アナト 女 6歳

 見習いLv3

 装備 銅のナイフ


 イリビ 女 6歳

 見習いLv3

 装備 銅のナイフ



 あ。レベルが二人に追いついた。



 ダンジョン3F

 モンスターは、なんか動く植物だ。触手の様な枝でびゅんびゅんと攻撃を繰り出している。

 そんなこいつを、アナトとイリビはこいつをウッドソンと呼んでいる。 

 アメリカ人?ではないことは確実だ。



 ウッドソンの樹皮は硬く、銅のナイフで倒すのは一苦労だ。

 植物系モンスターってのは考えていたよりも厄介だ。


「銅のナイフじゃダメね~」イリビも銅のナイフの限界に気が付いたようだ。

「鉄のナイフってどのくらいするの?」

「知らない」

「アナトも?」

「知らない。後でカジさんに行けばいいわ」




 ダンジョン探索4日目終了。

 その足で直ぐに鍛冶師のカジさんのお店へ向かった。

 まずは魔石の換金を行う。今日は500シュだった。

 狩場をダンジョン2Fから3Fに進んだのだが、稼ぎが増えていない。

 効率が悪くなったからだ。

 ウッドソンとの戦いは長い。急所が見つからないからだ。


「この鉄のナイフっていくらですか?」

「あー。1000シュだ」

 うわぁ。高い。全然足りない。


「んー。パーティ予算で買ってもいい?」アナトが素敵な提案を行った。

「けっこう溜まってるよね?」

「なーに言ってんの。一回傷薬を買っちゃったじゃない?だからけっこうギリギリよ」

 そういえば、パーティ予算がどの程度あるのかを教えてもらったことがない。

 というか、傷薬を買ったことがあるのか。

 アナトとイリビのどちらかが、死にかけたことがあるのだろう。



「じゃ、カジさん、鉄のナイフを3本お願い」

「あいよっ。それと靴も3人分出来てるよ」

「それもお願い!」

 鉄のナイフはパーティ予算で、靴はそれぞれのお金で購入した。


「なぁ、鉄のナイフの代金は今度返すよ」

「え?いいのよ」

「だって、あの予算ってほとんど二人が貯めてたモノだろ?」

「バっカねぇ。パーティ予算は【ちんちくりん同盟団】だったら使っていいのよ。ヒコも一員でしょ?」

「ぐ…ありがとう。それ以上に貢献するよ」

「ええ、お願いね」


 まずは実家の野菜で貢献だ。

 俺は家に寄ってクズ野菜を買い取って、冒険者養成所に戻った。

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